全国過労死を考える家族の会ニュース 第91号
過労死防止法10年、過労死をなくす対策の実現を
過労死等防止対策推進法(略称・過労死防止法)が成立して10年経過しました。この法律は我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていることに鑑み、過労死等がなく仕事と生活を調和させ健康で充実して働き続けることのできる社会の実現を目的に定めたものです。初めて過労死等が定義され、国に対策を講じる責務があると明記されました。法律の枠組みは調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体の活動支援になっています。
私たちは11月の過労死等防止月間におこなわれるシンポジウムと学生向け啓発授業に参加し過労死等の問題に理解を深めていただくため体験を語っています。この10年間で大綱の見直しは3回おこなわれ協議会の当事者委員として述べ8名が参画し、過労死等をなくすための積極的意見を述べてきました。調査研究は幅広く進められ多くの知見が得られています。私たちが関わっている啓発シンポジウムと啓発授業についても良好な感想と評価を得られ定着してきました。政府発行の過労死等防止対策白書は年々充実しています。
しかし、令和5年度「過労死等の労災補償状況」によれば、脳・心臓疾患の申請者数は1,023件(うち死亡247件)精神障害の申請件数は3,575件(うち自殺212件)いずれも過去最多になっています。これを見る限り過労死ゼロにほど遠い現状のため、法律に基づき国の責務として過労死をなくす実効ある対策の実現を求めます。
(寺西)
「全国過労死を考える家族の会30周年記念誌」ご紹介
全国家族の会は1991年11月に結成され、2021年に30周年を迎えました。
これまでの足跡を残したい思いから取り組みましたが、関係資料を探す苦労もあり構想から完成まで長い期間を要しました。多くの皆様のご協力を得られ、ようやく11月1日発行の運びになりました。認定基準の厳しい時代に諦めることなく闘われ道を拓いてこられた先輩会員とご奮闘された弁護士先生と支援者の皆様に敬意を表すとともに、過労死のない社会をめざす活動の一助になること願っています。
目次
- 刊行にあたって…3
- 関係団体等からのメッセージ…9
- 主な活動…19
- 全国過労死を考える家族の会、各地の活動…73
- 全国過労死を考える家族の会のあゆみ…109
- 編集を終えて…116
全国過労死を考える家族の会世話人会 報告
【 4月7日(日)13:00~15:00 zoom会議 】
出席18名:弁護士(2)事務局(1)各地代表(14) 欠席(3) ※書記:大泉(宮城)
- 情勢:玉木弁護士より
労災保険のメリット制をめぐる上告審・最高裁にて弁論が開かれる。最高裁は3月28日付で、弁論を6月10日11時から開くことを決めた。事業主に不服申し立ての権利を認めた東京高裁判決を見直される可能性がある。 ※最高裁第一小法廷の傍聴は先着順。 - 協議事項:代議員制について
賛成:14 →決定 反対:1 - 2024年度統一行動の日程について
1案:9(11/6、午前・要請行動、午後・中央シンポ。11/7、午前・総会)→決定。
2案:3(11/6、午後・中央シンポ。11/7、午前・要請行動、午後・総会)
3地方優先案:3
【 6月16日(日)13:00~15:00 zoom会議 】
出席18名:弁護士(2)事務局(1)各地代表(15) 欠席(2) ※書記:吉田(長野)
- 情勢:玉木弁護士より
・6/10、事業主の取消し訴訟を認めた上告審の最弁論が開かれた。最高裁から「家族会の陳述書を読ませて頂いた」との報告があり影響を与えている。判決言い渡しは7月4日。東京高裁判決が見直される可能性がある。
・6/15、「過労死110番」実施、全国で215件の相談があった。 - 代議員制について前回世話人会の修正
賛成:12 反対:3 無回答:1 決定に従う:1
各提案者から意見を聞いた。
1案:従来どおり、会員数10人に対し1名(10人未満は1名、11人以上は四捨五入する。)
賛成9人
2案:各地の会員数に関係なく、一律2名にする。
賛成7人
・1案に決定としたことにより、各地域の会員名簿の提出が必要となる。
・提出名簿は氏名のみとする。A4サイズの用紙。
・提出期限:8/31までに会計に郵送する。※スマートレターで送る - 事務局連絡
- 各地の活動報告をおこなった。
【 9月8日(土)13:00~15:00 zoom会議 】
出席14名:弁護士(2)事務局(1)各地代表(11) 欠席(6) ※書記:深澤(山梨)
- 情勢 *資料・令和5年度「過労死等の労災補償状況」(厚生労働省)
【玉木弁護士より】
令和5年度の労災補償状況について、特徴として昨年度に比べると著しく増加した。脳・心臓疾患の申請件数は昨年803だったが今年1023件で220件増え最多になった。認定件数は216件、認定率は32.4%で6%落ちた。精神疾患の請求件数は3575件、900件近く増えている。認定率は34.2%で大きく変わっていない。なぜ急激に増えたのか厚労省の説明は、脳・心臓疾患が増えたのは55歳以上の人口が増えたから、精神疾患が労災になる周知が徹底したからと言った。55歳以上の労働者が25%も増えているということではないので納得できない。労働現場の状況が悪くなっていると評価している。過労死弁護団として分析して検討する。過労死防止法施行10年経過し危機感を持っている。
【松丸弁護士より】
地方公務員の関係で、脳・心臓疾患の受理件数は毎年度30件から50件ある、令和5年度は20件程度推移し認定件数は11件になっている。教員関係は、受理件数10件のうち8件認定されている認定率は高くなっている。公務員全体では30%前後。令和5年度受理件数は266件に対して75件、教員の精神疾患受理件数89件に対して認定率はまだまだ低い数字が出ている。公務員の持ち帰り残業は認められにくい。 - 11月全国家族の会統一行動について
◆ 1日目:11月6日(水)スケジュール
9:50 集合・打合せ会場:弁護士会館5階
アクセス:東京メトロ丸の内線、日比谷線、千代田線「霞が関駅」B1-b 出口より直結
10:00 地公災基金本部へ移動
10:10 厚生労働省へ移動
10:30 厚生労働省・地公災基金本部要請 開始
11:40 要請行動終了
11:50 厚生労働省前宣伝行動
12:20 宣伝行動終了
12:30 厚生労働省前からイイノホールへ徒歩移動(昼食は各自でとる)
13:00 東京中央シンポジウム開場(イイノホール)
13:45 ダ・カーポによる生演奏会(♪ぼくの夢、他)
14:00 過労死等防止対策推進シンポジウム開会
17:00 閉会
※中央シンポジウムの参加は、各自webで申込む(希望の会場は、A会場を選択)
http://www.mhlw.go.jp/karoshi-symposium/
◆ 2日目:11月7日(木)全国家族の会総会
会場:KKR東京ホテル東京 会議室
住所:東京都千代田区大手町1-4-1
アクセス:東京メトロ東西線 竹橋駅[3b]出口直結
・宿泊者はチェックアウトする。
・総会参加者:代議員、オブザーバー、事前登録制。
【総会・交流会】
9:00 開場・受付
9:30 開会
10:30 休憩
10:40 交流会
12:00 閉会 - 統一行動、宿泊について
・宿泊先、KKRホテル東京
・宿泊費負担について、遠方などの理由で宿泊を要する正会員
・総会参加する各地代表は宿泊費、交通費全額負担する
・地公災、厚労省要請者および代読者で、総会・交流会に参加する会員は11月6日の宿泊費全額負担する
・正会員で要請行動参加の支援者、総会オブザーバー参加者は5,000円補助する
・要請者で前泊を要する人には、宿泊先にかかわらず5,000円補助する - 要請書について
・要請者の連絡:9月18日までに全国世話人MLへ報告
・要請書の締切り:10月10日必着 - 要請行動参加者:10月9日までに全国世話人MLへ報告
- 総会・交流会参加者:10月9日までに全国世話人MLへ報告
- 全国家族の会ニュース第91号;原稿締切り 9月20日 発行 9月26日
オンライン相談室
【こども】
10/13(日)
小学生以上~高校生くらいまで
【大人】
10/23(水),10/25(金),10/30(水)
過労死遺児のおられるご家庭
過労死遺児交流会 報告
今年の遺児交流会は8月1,2日に埼玉県秩父で開催されました。今回は東京駅からバスで現地まで向かう参加者が多く、バスターミナルで一年ぶりに会って、子供の成長した姿に話が弾みました。現地にはすでに到着していた家族もおり、そこでも久しぶりに会った皆さんが、懐かしく再会を喜び合う姿が見られました。
夜はオープニングセレモニーで参加者が自分の家族を紹介し、厚生労働省からご挨拶がありました。その後は例年通り、男子チームは、お風呂ボランティアの大学生と小学生がロビーで待ち合わせをしていました。その時からすでに大騒ぎの子どもたちは、一団となってはしゃぎながらお風呂に向かっていきました。男の子達のお風呂では、大学生が小さい子どもたちの面倒をみてくれるので、お母さんたちも安心してゆっくり疲れをいやすことが出来ました。初参加の男の子もいましたが、何度も参加している子が自然に話しかけ、会話がはずみお風呂に向かう頃には一緒に走り回っていました。子どもたちがなじむスピードが速いのもこの会の特徴です。共通の辛い体験が子どもたちを結び付けているのかもしれません。
翌日の午前、子どもたちは年齢によって二つのグループに分かれて活動を行いました。昨年からの取組ですが、このプログラムはカウンセラーの先生がついて子どもたちの心をリラックスさせ、ストレスについて考えたり、ストレス発散の方法を学んだりと、親との死別によって心に負荷がかかってしまっている状態であっても、上手くコントロールして日常生活を送れるようにと考えられています。
保護者は、近所の人や親族にはなかなか理解してもらえない過労死特有の事情や心理状態、自分の心に抱えているものなど、胸の内を語り合いました。涙あり笑いありの時間ですが、ここでしか話せないという内容もありました。自分が話したいことだけを話し、聞く人も質問をしたりせず、自分と考え方が違っても受け止める、という参加者の共通理解の中で安心して自己開示ができる場でした。
お昼はBBQでしたが、子どもたちは自分で焼いて食べるだけではなく、他の人の分も作って配って歩いていました。今まではお世話をしてもらうだけでしたが、今回は人に何かをしてあげる、という成長した様子も見られました。午後は、子どもたちはラフティングと陶芸・ブルーベリー狩りのコースに分かれてそれぞれ楽しい時間を過ごしました。陶芸では集中して作品を作り、納得のいく作品が出来たようです。ブルーベリーは、なっている場所によって甘くなるようで、それを発見した子どもがみんなに教えてあげる、ということもありました。ラフティングチームは、係の人の説明の時は、静かに聞くことが出来たようで、普段のにぎやかな様子を見ている大人から、「きちんと場をわきまえて行動ができている」と、感心されていました。
その間に保護者は、絵本についてのお話を聴きました。参加者の皆さんは、突然過労死遺族となり、片親で子どもを育てることになってしまいました。そして労災を認定してもらうために労基署と掛け合ったり会社側と交渉したりする中で、子どもを守り、自分を守り、生活を立て直していくために強くならなければ生きてこられなかった経験をしています。でも、ご自身が子どものころ楽しんだ絵本を通じて、気を張って生きている日ごろの固い心をすこしときほぐし、子どもの頃の気持ちを思い出し、リラックスできるようにと考えた取り組みです。また、絵本を通じて、子どもとの関係を振り返ることもできます。今、大人の間でも絵本がブームになっています。絵本の中には子育てや生き方についていろいろなヒントがありますが、読み手に応じて受け取り方の違うことや、読んでいて自分の感情が動かされるということを参加者は実感しました。その後は、講演の感想や、子育てについてグループで話し合う時間を持ちました。
子ども達が帰ってきて、夕食とともにクロージングセレモニーを行い子どもたちはそれぞれ感想を皆さんの前で発表し、楽しい体験を振り返っていました。夜はお楽しみのスイカ割りと花火の時間です。一日一緒に過ごした子どもたちは大騒ぎをしながら最後の時間を楽しんでいました。
翌日、ロビーで解散する時に、「来年も来いよ」とか、「一年後にまた会おうね」とか、「来年は一人でも参加するから」と再会を誓う子どもたちの姿が見られました。遺児交流会も回数を重ね、当初は小学生、中学生だった子供が成人して、それぞれの道を進む中で、それでもこの会に来たい、とボランティアで来てくれる子どももいます。小さい子どもたちにとっても同じ体験をしたお兄さん、お姉さんたちが大きくなってしっかり生きている姿はきっとよい励みになると思います。
今回、しばらくぶりに参加してくれた大学生から「自分が父親を亡くした頃の年齢の子に甘えてもらって、涙が出そうになった」と感想がありました。同じ体験をした子どもたちが一緒に楽しい活動をする場を作ることで、子どもの心に何かを残し、辛い体験を乗り越え、前を向いて生きる力になって欲しいと願っています。子どもたちがこのような活動を行えるのも、皆様のご理解、ご協力のお陰です。今後とも子どもの健やかな成長のためにご協力よろしくお願い致します。
最後に参加者からの感想です。
「この集まりがあることで、1年間頑張ることができています。」
「子どもは受験生ですが、良い息抜きになりました。受験を体験したお兄ちゃんとも仲良くなって色々教えてもらったようです。年に一回ですが、みんな仲良しです」
「子どもはラフティングがすごく楽しかったと言っていました。強い波に乗って進むのが楽しかったそうです。ラフティングは私がやってみたいと思っていましたが、なかなかチャレンジさせてあげられなかったので、ここで経験をさせてもらえて嬉しかったです」
(遺児交流会担当 渡辺)
各地の報告
宮城過労死を考える家族会 報告
学習会を開催しました
6月9日、「過労死・過労自死が起きる労働現場の実状」をテーマに学習会を開催しました。参加者は若者を中心に30名でした。前半はNPO法人POSSEの今野晴貴代表による講演が行われ、労働相談の多くは過労死等の問題であり「その背景や過労死が続く理由を解き明かすことが重要だ」として、相談から浮かび上がる労働現場の実態やその背後の問題についてお話をいただきました。
後半はご遺族のKさんから、父親が51歳で被災した当時の状況から労災認定、損害賠償認定に至るまでの経過を詳しく報告していただきました。前日まで普段通り夜遅くまで働いていた父親が自宅で突然倒れ、翌日死亡したことで家族は大変ショックを受けました。会社に労災申請の協力を依頼したところ、「一人だけ仕事が多かったわけではない」と卑劣な対応。しかし、1年後に労災認定を勝ち取りました。
その後、会社は何一つ責任を取っていないことを知り、裁判を起こして会社の責任を追及し、勝訴して「判例」にすることで、他の過労死裁判に好影響を与えたいと考えました。今野さんの講演とKさんの報告は、過労死をなくす運動を進める上でとても参考になるものでした。
(大泉)
東京過労死を考える家族会 報告
東京家族の会では、昨年度要請行動を行った方の中から今までの闘いが報われた報告がありました。その中には何度も、何度も要請行動を行っていた方や、労基署の対応に心を痛めた方、まったく何の連絡もないまま1年が過ぎ、むなしい気持ちを抱えたまま、再度要請行動を繰り返した方もいます。悲しみや怒り、虚しさなどに押しつぶされそうになりながらも、あきらめずに続けたことが良い結果に結びつきました。今、闘いを続けている方やこれからの方も、是非これに続いてほしいと願っています。
今年度の過労死等防止対策推進シンポジウムは東京中央会場11月6日(水)13:45~ 場所はイイノホールです。今年は防止法制定10周年ということで初めにダ・カーポの生演奏会があります。また、東京会場は11月25日(月)14:00~ 場所はティアラこうとう大会議室です。基調講演は「パワーハラスメントー職場内解決技法―」金子雅臣氏です。その他11月12日群馬会場・11月18日埼玉会場・11月22日栃木会場・11月25日茨城会場・11月26日千葉会場で行われます。
皆様におかれましても、ぜひご参加下さいますようよろしくお願い致します。
(渡辺)
神奈川過労死を考える家族の会 報告
5月30日、第8回目の神奈川過労死等を考える家族の会の総会を無事に開催することが出来ました。7年前、5名ほどだった会員の皆さまも22名となりました。
当日は神奈川県立労働プラザにて、会員さん11名(うちzoom参加1名)、賛助会員さん13名(うちzoom参加1名)の合計26名の方にご出席頂きました。
活動としては、昨年度から会員さんの労働審査会及び裁判での傍聴支援がかなり増えました。多くの会員の皆さんが支援に駆けつけて下さり、傍聴席や待合席を埋めて頂いて、係争中の皆さまも心強いと思います。ただ、高い認定基準や司法の壁を感じずにはいられない、怒りやもどかしさ、悲しさを感じる判断が続いており、過労死等防止と矛盾する現状があります。今後も傍聴支援を続け、正当な判断がなされるように、無言の圧力をかけていきたいと思います。
Zoomでの交流会も続けられ、今後は対面での交流zoomでの交流の予定もいくつかありますので、顔を合わせて語り合ったり、楽しんだりしていきたいと思います。今年度も、総会後恒例の賛助会員の皆さまとの交流会を横浜中華街にて行い、皆さんと交流を深めることが出来ました。
(工藤)
長野過労死を考える家族の会 報告
長野家族の会Aさんより
私は、愛知県刈谷市に本社があるD社のグループ会社の、長野工場に勤務しています。2016年、日常的なサービス残業、上司、同僚からのハラスメントに苦しめられていた中での、非常にショックを受けた出来事(同僚へのパワハラの行為者と断罪された)により、精神疾患に罹患し休職を余儀なくされました。2019年に復職し、現在在籍中ですが、2023年6月、安全配慮義務違反による損害賠償請求のため、会社に対して訴えを起こしました。
訴えた理由は、実際の出来事の他に、入手出来た労災申請時の労基署による聞き取り調査、また、行政訴訟の証人尋問での内容で、会社側の偽りの供述が多く、労災の判定、裁判の判決に影響を及ぼす内容であったこと、その件で会社、さらには親会社D社のホットラインに相談しましたが、回答していただけなかったこと、等です。裁判を行ってる地元の、愛知いの健様にもご支援をいただけることになり、心強い限りです。労働者が「生きて」問題を普通に解決できる社会の実現のため、ほんの少しでもお役に立てるよう、頑張って参りたいと思います。
京都労災被災者家族の会
第36回定期総会報告
京都労災被災者家族の会は2024年6月8日に第36回定期総会を開催しました。
総会には会員、支援者の5名が参加しました。総会では、会の代表として活動して来られた、故中嶌清美さんに対して黙祷をささげた後、世話人である福井秀子さんにより開会の挨拶が行われました。
学習として、全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子さんから、問題となっていたあんしん財団事件について、「労災支給決定の使用者による取り消し訴訟のゆくえ~全国家族会の取組と動向~」とのテーマで、問題の重要性を強調して講演をしてもらい、被災者・遺族の想いをつなげ最高裁での勝利を勝ち取る決意を共有する場となりました。
総会議事では、新会長に荻野幸夫さんが選出され、①諸会議の開催 ②広報 ③財政 ④被災者支援活動 ⑤他団体との共同の取組みの各活動方針と予算案を確立しました。総会後は、過労死防止京都連絡会の第10回総会に荻野新会長が主催者を代表として「過労死問題は幅広い範囲・分野への対応が進められています。私の妻は過労死裁判が終わって20年ですが、働く職場の状況はまだまだ改善が必要です。『過労死のない社会』を目指して過労死防止の取組みの一層の強化をご一緒に進めていきましょう」と挨拶されました。
(芝井)
大阪過労死を考える家族の会 報告
総会を行いました
5月25日(土)、大阪家族の会の総会を天満橋ドーンセンターにて行いました。参加者は、23名でした。総会議事終了後、松丸正弁護士から「過労死運動の歩みと労働時間の課題」について、具体的な事例をあげていただき、労働時間の適正把握の重要性を学びました。岩城穣弁護士には、「過労死防止法成立10周年を迎えて~」と題し、悲願であった法制定までの流れ、法制定後についてご講演いただきました。
全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子氏から「労災支給決定の使用者による取り消し訴訟のゆくえ」についてお話しくださいました。7月4日、最高裁判決で、事業主側の請求を棄却した一審の東京地裁判決が確定し、安堵しています。その後、解決者にお花の贈呈を行いました。この遺族は、昨年11月の厚労省要請にご長男の認定を求め参加され、今年3月に労災が認定されました。
参加者交流の時間では、全員発言を行いました。最近ご家族を亡くされたお二人の遺族も涙をこらえ自己紹介されました。帰り際にはお二人とも少しご自分を取り戻し「来てよかった。前を向いてみます」と話され、世話人の皆で家族の会の重要性を再認識しました。
(小池)
兵庫過労死を考える家族の会 報告
兵庫家族会では昨年10月から、2ヶ月に1度の例会を毎月に変更しました。最近は毎年1~2名の新しい遺族や当事者が入会されましたが、働いている方、小・中・高校生のお子さんをもつ方ばかりです。仕事の都合がつかない時、学校行事や春・夏・冬休みの時期は参加が難しく、次の例会は4か月後になります。そこで、なるべく参加しやすいように毎月に変更しました。今後もその時々の状況を見て、皆で話し合い柔軟に対応していくつもりです。
また、過労死等防止対策推進兵庫センターの弁護士の先生方をはじめ、過労死問題に心を寄せてくださる方々にも参加をお願いしています。お互いがどのようなことを考えているのかわかれば、より良い関係を築き様々な場面で協力していけると思います。
最後になりましたが、兵庫家族会会員Kさんの署名活動にご協力くださった皆様、ありがとうございました。署名と共にあたたかい応援のメッセージもいただき、Kさんにとって非常に心強かったと思います。8月に証人尋問と本人尋問が行われ、来年1月には判決となりました。納得できる結果が得られる日まで、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
(福永)
全国過労死を考える家族の活動
【主な活動報告】
- 3月16日 全国家族の会事務局会議:zoom
- 3月19日 第27回過労死等防止対策推進協議会:厚生労働省会議室&オンライン
- 3月30日 過労死弁護団全国連絡会議拡大幹事会:東京&zoom
- 4月7日 全国家族の会事務局会議:zoom
- 4月13日 第29回全国家族の会30周年記念誌準備会:zoom
- 4月18日 第30回全国家族の会30周年記念誌準備会:zoom
- 4月22日 第1回遺児交流会準備会:zoom
- 4月26日 第1回中央シンポジウム会場準備会:zoom
- 5月22日 過労死等防止対策推進協議委員会議:zoom
- 5月25日 第2回遺児交流会準備会:zoom
- 5月29日 過労死等防止広報検討会:zoom
- 6月1日 全国家族の会事務局会議:zoom
- 6月4日 第28回過労死等防止対策推進協議会:厚生労働省会議室&オンライン
- 6月13日 いの健全国センター労働基準行政検討会:zoom
- 6月16日 全国家族の会世話人会議:zoom
- 6月25日 過労死等防止について考える議員連盟総会:衆議院第1議員会館
- 6月28日 第2回中央シンポジウム会場準備会:zoom
- 7月1日 第3回遺児交流会準備会:zoom
- 7月6日 第31回全国家族の会30周年記念誌準備会:zoom
- 7月20日 過労死防止全国センター総会:zoom
- 8月1日 遺児交流会:埼玉県秩父市周辺
- 8月2日 同
- 8月31日 過労死防止学会第10回大会:zoom
- 9月1日 同
- 9月8日 全国家族の会世話人会議:zoom
- 9月26日 全国家族の会ニュース第91号発行
カンパのお願い
家族の会は皆様のカンパを主な活動原資として活動しています。
カンパのご協力をよろしくお願いします。
ゆうちょ銀行 店名 〇五八(ゼロゴハチ) 店番 058
預金種目 普通預金 口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会(ゼンコク カゾクノカイ)
【発行】全国過労死を考える家族の会(2024.2.29発行)
【事務局】東京駿河台法律事務所内 TEL. 03-3234-9143
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町二丁目3番1号 岩波書店アネックス7F