全国過労死を考える家族の会

過労死家族の会とは

大切な人を働き過ぎで喪ったら・・・

会の成り立ち

長時間・過重労働で過労に陥り命を奪われた夫・妻・息子・娘……その大切な家族を喪った遺族が悲しみを乗り越えて、「家族の会を創ろう!」と声を上げたことから、1989年に「過労死を考える家族の会」が各地に誕生しました。ひとりぼっちだった遺族たちは、会を通して同じ苦しみをもつ人々と出会い交流を深めていく中で、逆境をバネに立ち上がりました。

会の広がり

その行動は次第に全国へと広がってゆきました。そして全国の遺族が手をつないだらもっと大きな力になるのでは……という想いがひとつになり、1991年11月22日、勤労感謝の日を前にして「全国過労死を考える家族の会」が結成されました。

会の活動

以来毎年この日には、全国の会員が東京に集まり、厚生労働省や地方公務員災害補償基金本部への要請行動を行うと共にビラまきをして多くの人々に過労死問題について呼びかけています。
また、会員の労災早期認定と遺族補償を求め、同じ苦しみを味わう人が後に出ないようにと願って活動しています。今後も過労死根絶を願って、更に固く手を結んで協力し合い、堅実な歩みを続けていきたいと思います。
過労死をなくすたたかいは、人間を取り戻す闘いです。

家族の会の活動 〜悲しみから分かち合いへ〜

悲しみを分かち合う

愛する家族を喪うことは、悲しく辛い体験です。その中でも過労死家族には特有の苦しみがあります。「あんなに仕事をしなければ……」[あの時無理にでも会社に行くのを止めていれば……」「こうなる前に会社を辞めていれば……」多くの遺族が後悔し、自分を責めています。その辛さを言葉にし、聞いてもらい、同じ立場の人でないとわからない気持ちを分かち合うことで、悲しみが少しでも和らぐよう願っています。

労災の手続き支援

過重な労働が原因で亡くなったと思われる場合、労働災害(労災)であると認めてもらうためには、労働基準監督署などに労災申請する必要があります。
家族の会には労災であると認められた遺族が大勢います。このような人から話を聞くことは、これからの手続きを行う人にとって大きな助けとなるでしょう。また、自分と同じような体験をしている人と話すことで情報交換も出来ます。裁判を行わなければならない時も、裁判で勝利した会員の体験が参考になります。お互いに裁判を傍聴し合い、学んだり励まし合いながら、労災(過労死)と認められるよう頑張っています。

過労死の苦しみの中にいる方たちへ

Q 夫が突然亡くなりました。毎日遅くまで働いていましたが、過労死なのかどうかわからず思い悩んでいます。
A まず、過労死に詳しい窓口に相談することをお勧めします。(リーフレットの裏面参照)

Q 家族が自殺しました。原因は仕事以外には思い当たりませんが、労災として認められますか。
A 認定基準に当てはまれば、労災と認められます。自分を責めたり、周囲の思惑を考えたりせずに、勇気を持って申請しましょう。

Q 長時間労働や上司のパワハラもあり、うつ病になり働けません。労災申請をしたいと思いますが、どうしたらよいでしょう。
A 労働時間と職場の出来事・ハラスメントなどの労働実態が重要です。労災問題に詳しい専門家に相談し、認定に必要なデータをまとめてから労災申請することをお勧めします。

会員からのメッセージ

・同じ体験をした方たちと交流することで分かち合えることがあるので、ひとりて脳まないで下さい(K.K)
・過労死だと思ったら迷わす労災申請して下さい。準備は大変かも知れませんか材料は必ずあります。事実を少しずつ組み立てていくことで認定に結びつきます。強い意志で臨んで下さい(T.K)
・大切な人が亡くなった原因が自分にあったのではないかと考えることはよくありますが、過労死は会社の体制や人間関係に問題があるのです。自分を責めないで下さい(N.N)

遺された子どもたち

親が働き過ぎて命をおとす……この体験は子どもにとって大きな衝撃です。過労死の遺児たちは親との死別という悲しみに加えて、残された親が労災申請や裁判で苦しんでいる後姿を見ながら育ちます。誠実に働き、会社からも頼りにされていた親が、仕事が原因で亡くなっても、会社から補償もされず、労災認定されるのは容易ではありません。このような体験は、社会に対する不信感となり成長に大きな影響を与えます。家族の会では「君たちのお父さんやお母さんは働き過ぎで亡くなり辛い体験をしたけれど、たくさんの人が君たちのことを見守って元気に育つことを願っているよ」という思いから寄付を募り、同じ体験をした人でないとわからない子どもや親の思いを分かち合い、元気になれるように活動しています。

ぼくの夢

大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシンをつくる
ぼくはタイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
まえの日に行く
そして『仕事に行ったらあかん』て
いうんや

この詩は、父親を過労自殺でなくしたマーくん(当時小学校1年生)が書きました。

全国家族の会は、遺児交流会をおこなっています。
子どもたちへのご支援をよろしくお願い致します。

郵便振込口座番号 00120-6-655259
加入者名 全国過労死を考える家族の会・遺児会

過労死をなくすために -運動の経過-

この会が結成された当時、厚生労働省(以下厚労省)は「過労死」という言葉を忌避していました。しかし、私たちは「過労死」の現状・労災認定までの苦労などを粘り強く社会に訴え、辛さに耐えてマスコミの取材に応じてきました。国連本部にまで訴えに行きました。その後、「過労死」が「KAROSHI」として世界的に注目されるようになると厚労省としても認めざるを得なくなり、労災認定基準の中に位置づけられるようになりました。その後2度ほど改訂されてはいますが、依然として長時間・過密労働によって命を奪われる人は後を絶たず、請求件数は増加の一途をたどっています。最近では過重労働やパワハラ等によるうつ病・過労自殺が激増していますが、認定される割合は現時点では30%前後です。

私たちは労災認定を求めていく中で、過労死は個人の責任ではなく社会の仕組みの問題であり、労働法制と関わって労働環境と密接に関係していることに気付きました。そこで、過労死を増やすような悪法については労働諸団体と共に強く反対してきました。例えば2006年の「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(過労死促進法・残業代ゼロ法案)」です。私たちはビラ撒き・署名活動・集会での訴え等全国各地で法案の導入阻止に反対活動を展開しました。幸い、この法案は見送られましたが、労働環境は近年益々劣悪になってきています。

そこで、もはや法による規制しか他に道はないと考え「過労死等防止基本法」の制定を求めて、弁護団のご指導の下に取り組みを始めました。2010年10月の「院内集会」を皮切りに、立法の場から国会議員にも超党派で取り組んでもらおうと呼びかけています。その道のりは遠く、平坦なものではないかもしれませんが、活動を全国的なうねりにして、是非実現したいと切望しています。20余年の経験を活かし、安心して働ける社会を目指して粘り強く活動してゆきたいとおもいます。

家族の会のあゆみ

1989年 各地域に「過労死を考える家族の会」結成
1991年 「全国過労死を考える家族の会」結成
「日本は幸福(しあわせ)か」出版 ~過労死 残された50人の妻たちの手記~
1997年  「死ぬほど大切な仕事ってなんですか」出版
~全国48人の過労死遺家族たちの手記 リストラ・職場いじめ時代に過労死を考える~
2006~2007年 「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入阻止行動
2009年 「過労死を出した企業名公表裁判」提訴
2010年 院内集会開催 於:衆議院第2議員会館
「ストップ過労死」 ~「過労死等防止基本法」の制定を求めて~
2011年 「過労死防止準備会」発足
「過労死防止基本法制定実行委員会」結成総会
全国家族の会は、過労死防止法の制定運動へ積極的に関与。
2013年 全国家族の会有志が国連欧州本部(ジュネーブ)を訪問し、社会権規約日本政府報告審査に際して「過労死は国際人権規約違反」を訴え。
日本政府へ社会権規約委員会から異例の勧告が出される。
2014年 (衆・参)厚生労働委員会で代表世話人が参考人意見陳述おこなう。
「過労死等防止対策推進法」全会一致で成立。
過労死等防止対策推進協議会委員に4人選任、大綱作成に関与。
2015年 「過労死ゼロ社会をめざして」院内集会開催。
2016年 東京弁護士会「人権賞」を受賞。
東京弁護士会「人権賞」受賞 東京弁護士会「人権賞」受賞

書籍

【日本は幸福か】
【死ぬほど大切な仕事ってなんですか】
教育史料出版会 「全国過労死を考える家族の会」編
【過労死の労災申請】
教育史料出版会 「全国過労死を考える家族の会」編
自由国民社 著者 諏訪由美子(家族の会会員) 色部祐(働くもののいのちと健康を守る東京センター)
働きすぎて倒れたり大切な人を亡くして過労死かな。と思った時読んでみて下さい。過労死や過労自殺の労災申請について具体的に学べます。

入会についてのご案内

当HPの「お問い合わせ」からお申込みください。
折り返し、担当者からご案内します。
地元に家族の会がなくても、「過労死家族の会メーリングリスト」を開設していますので被災当事者、遺家族、支援者など、ネット上で会員交流をおこなうことができます。

ご寄附のお願い

全国家族の会は皆様からのご寄附で運営しています。
会活動へのご支援をいただきますようお願いいたします。

店名 〇五八 (ゼロゴハチ)
店番 058
預金種目 普通預金
口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会

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