全国過労死を考える家族の会

全国過労死を考える家族の会ニュース 第78号

国は長時間残業の是正指導の強化を!
36協定の記載例が過労死ライン! 全国家族の会、抗議の申入れ

1.申入書の要旨(2019年7月22日送付)

本年4月、働き方改革一括法により、36協定の上限規制が労働基準法に定められました。この上限規制にもとづき厚生労働省のホームページでは、36協定届の記載例が示されていました。

この記載例では、1ヵ月に延長するできる法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数として、90時間~80時間が記載され、その回数も年6回としています。

また、1ヶ月に延長することができる所定労働時間を超える時間数と休日労働の時間を合算した時間数としては100時間~90時間が記載され、その回数も年6回とされています。

厚生労働省の定めた過労死の認定基準は、発症前1ヵ月間におおむね100時間あるいは発症前2ヵ月間ないし6ヵ月間に月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められるときは、原則として業務と発症との相当因果関係を認め業務上認定と定めており、月80時間の時間外労働が「過労死ライン」との社会的認識が定着しています。

記載例は、働き方改革一括法で定められた36協定のほぼ上限にもとづくものであるとともに、過労死ラインに達する長時間労働を認める内容になっています。過労死等防止対策推進法が制定された下で、多くの事業場では36協定の是正のための努力が重ねられています。記載例は、過労死を防止するどころか、それを容認するものであり、各事業場で取り組んでいる過労死ラインを超える36協定の是正の努力に反するものと言わざるを得ません。

過労死防止を悲願としている当会としては、厚生労働省がこのような記載例をホームページで事業場向けに示していることに対し、抗議するとともに、労働基準法1条が定めるとおり「労働者が人たるに値する生活を営む」ことができる36協定を事業場が締結するよう、強く指導することを求めます。

2.厚生労働省の回答(同年8月22日)申入れ1ヶ月後に見直しがおこなわれ、1年の時間外労働時間数の上限である720時間を1箇月に按分した60時間/月を目安とした時間数に修正し近日中に厚労省ホームページ等で差し替えパンフレットなど他の媒体にも増刷分から、順次修正版に統一していくことになりました。

3.申入書が功を奏し、国が一度決めて公表したものを早期に修正するのは意義深いことです。今後は、長時間残業の是正指導の強化へ期待します。(寺西笑子)

全国過労死を考える家族の会世話人会 報告

日 時:2019年9月7日(土)13:00~16:30
場 所:東京駿河台法律事務所
出席者:玉木一成弁護士、事務局1名(重複者は省く)、各地世話人14名、オブザーバー2名 計18名参加  (欠席:神奈川、京都、山陰)
進 行:寺西代表

①主な活動報告:2019年4月~9月7日までの報告あり。

*会計担当・久保さんより 年会費、交通費などの出納はゆうちょ銀行にて行い、領収書は郵送か持参することになりました。
*公務災害担当の工藤さんより(欠席のため寺西さん代読)
「給得法」改正のための院内集会を10月上旬に予定し,家族会にも協力を要請されました。
全国家族会としても協力することになりました。
*遺児交流会担当の渡邉さんより(3頁参照)
来年は、秋か冬に開催予定。
*東京都助成金問題について報告。
*メーリングリスト管理者寺西さんから、全国世話人会メーリングリスト利用についての規約(案)提示及び決定がなされました。

②2019年度事務局・世話人(案)の決定

③情勢及び要請行動について

・過労死問題の情勢について玉木先生より、過労死等防止対策推進協議会へ提出された資料(川人協議委員、岩城協議委員による)をもとに、労災申請後の在り方や認定の仕組みの在り方について問題提起されました。
・団体要請書は例年通り、玉木弁護士と松丸弁護士にお願いする。今年は新たに経団連への要請について、賛成しました。
・個別案件は時間を厳守し,代読は臨機応変にとの確認がなされました。
2019年度 統一行動タイムスケジュールの確認(11頁参照)
要請書取りまとめ 厚労省担当:小池(宣)→玉木弁護士へ。 地公災担当:工藤→松丸弁護士へ。
要請者の連絡は9月18日までに全国世話人MLへ,要請書の締め切りは10月13日必着との確認をしました。

④全国家族の会総会(案)の決定

(桐木 弘子)

かいじゅうの会報告

2019遺児交流会 in 東京

2019年度の遺児交流会は東京で行われました。参加家族は29家族、参加者約80名で過去最多でした。北海道から九州まで、全国から子どもたちが集まりました。今回は10家族が初参加でしたが、その中には2歳、3歳といった年齢の子供もおり、また「父親が亡くなってから初めての旅行です、今まで旅行をするような気持にはなれませんでした」とおっしゃったご家族もありました。この年齢で父親を失うこと、そしてその後のご家庭の雰囲気、それを考えるだけでも、過労死が家族や子どもたちに与える影響の深刻さがわかります。

東京開催の一番のメリットは職業体験施設「キッザニア」に行けることです。親が働き過ぎで亡くなる、ということは、死別を乗り越えなければならない辛さに加えて、子供たちが職業に就く年齢になったとき、再び課題となります。働く先に死がある、としたら誰でも将来に対して消極的になります。自分の親がそうだったとしたら、より身近に、より深刻にその怖さを感じてしまう、それが過労死遺児が抱える問題の一つです。将来、自分が働くということに希望が持てないどころか、不安、恐怖まで感じてしまう、それは、ご両親が健在な子供にはわからない感覚だと思います。働くことに対して不安感を持ちかねない過労死遺児たちに、仕事の魅力を感じてもらう、それがキッザニアを選んだ理由です。ここでは子供が主役でいろいろな職業を体験できます。そして働くと報酬がもらえる、それで好きなものを買う、そんな体験ができます。参加した小学生以下の子どもたちは、希望する職業をいくつか体験しました。また、年齢が上の子どもたちは東京湾での海釣り、スカイツリーを眺めながらのカヌー、ガラス工芸などのクラフト、博物館でマンモスを見る、などの体験をしました。お母さんたちはグループトークによる分かち合いの後、子育てや法律のお話を聞いてご自分が不安に思っていることや皆さんに聞いてみたいことなどを話し合いました。ご自身の地域に戻ったあと、ご参加の皆様から感想が寄せられています。

「初参加でドキドキでしたが、参加してとても良かったです。ありがとうございました。来年を楽しみにしています。」「自分たちだけでは到底できない楽しい旅になりました。」「今年も楽しく、心も解放でき、経験をたくさんさせて頂きありがとうございました。初めてのキッザニアは大興奮で『また行ってもいい?』と目を輝かせていました。」「初参加の昨年は母子ともに緊張していましたが、今年は本当にリラックスした気持ちで参加することができました。仲間がいると実感できることでどれほど安心感を与えてもらえたことか」「カヌーでは一昨年から仲良くなれた友達と一緒に乗れて楽しかったです。ガラス工芸体験では暑くて大変だったけど、貴重な体験が出来てよかったです」「今まで子どもに詳しく話をしておらず、子どもに聞くこともありませんでした。いい機会だと思い、かいじゅうの会について話をしました。子どもたちはお父さんの話はして欲しくないし、聞いて欲しくもないという感じでしたが、『お父さん死んだの?』と何度も聞いてくる友だちがいて嫌だったけど、かいじゅうの会は仲間だから誰も聞いてこないからよかった!だからまた行く!」と言ってます。初めて子どもの気持ちを聞くことが出来て、楽しい時間だけでなく、子どもと向き合える時間も頂いて感謝しています。(渡辺しのぶ)

各地の報告

北海道過労死を考える家族の会 報告

北海道家族の会は、拠点をいの健北海道センター内に置き現在21名の会員と支援者の一般会員併せて34名で活動しております。定期的な通信や交流会などを通して情報を共有し活動しておりますが、交流会は10月の予定にて大変残念ですが各地の報告に間に合いませんでした。

係争中の裁判は現在5件あり、傍聴参加などで会員同志励まし合い闘っています。
遺児交流会には1組のご家族が参加され、大変楽しく有意義な交流会だったと聞きました。

北海道は、皆様がご存知の通り大変広く札幌から5時間ほどかかる地裁で闘うこともあります。この原稿を書くことになりました私たち夫婦も釧路にて行政裁判の係争中です。10月7日に第6回目を迎えますが、遠方であり、家族会の方の傍聴参加が難しいため署名活動などへのご協力をいただいておりとても助けられております。8月27日釧路赤十字病院前で職員の方へ情報協力のお願いのビラ撒きをしました。効果があり匿名ですが重要な証言を送ってくれました。労災不支給処分取り消し裁判を勝ち取るための努力を続け、全国家族会や支援者の皆様と更に繋がっていけるよう協力して行きたいと思います。(村山百合子)

宮城過労死を考える家族の会結成総会 報告

「宮城過労死を考える家族の会」は、寺西代表のご指導のおかげを持ちまして、4月20日に念願の結成総会と、結成記念講演会をおこなうことが出来ました。仙台で開催いたしました「結成記念講演会」につきましては、多くの参加者の賛同を得られました。これも、皆様方からの心あたたまるご協力と、お力添えによるものと感謝いたしております。

また、今年の6月に宮城のシンポジウムの開催が、11月14日(木)18:00から仙台メディアテークの会場で開催決定をしております。なお、福島県におきましても、シンポジウム開催が、11月5日(火)14:00から郡山商工会議所の会場で、開催決定し、宮城と福島両県で、計画を進めているところでございます。これからも「宮城過労死を考える家族の会」の活動としては、「ストップ the 過労死」であります。過労死をなくすためには、過労死遺族の訴えが不可欠ですので、「宮城過労死を考える家族の会」は、これからも歩みを止めることなく過労死のない社会をめざして、努力して、いきたいと思います。(児玉政昭)

東京過労死を考える家族会 報告

東京家族会では9月8日に交流会が開かれました。係争中の方、終えられた方、これからの方、支援にご尽力されている方、それぞれの思いを話し、それぞれの経験や立場からアドバイスしあい、この会ならではの語らい・分かち合いの場となりました。係争中の会員さんは厳しい闘いが続いており、労災が認定されない厳しい事案が増えています。在社時間が労働時間としてみなされなかったり、パワハラの悪質さが正当に評価されなかったり、介護現場や管理職の負荷の過重性が評価されなかったりと、苦しんでいる被災者、遺族にさらに苦しみを与えるような不当な決定が続いています。

また、労基署の調査のずさんさに不信感をもった事案もあります。今の認定基準の枠には当てはまらないため、辛い決定が出て、高裁、最高裁まで闘いが続いている会員さんも何人もいます。働き方改革関連法案が施行されてから、労災が認められにくくなっているのでは、と感じることもあります。何も落ち度がないのに、厳しい状況に置かれたときは、同じ立場の人と話すことで辛さを分かち合い、情報を交換し、支え合う、交流会に参加することで長い闘いのストレスを和らげて欲しいと思います。(渡辺しのぶ)

神奈川過労死を考える家族の会 報告

神奈川家族の会では8月24日、横浜大さん橋にある会館で交流会を行いました。今回は新たに入会されたお二人の会員さんを迎え、計10名でお菓子を食べながら、ノープランのフリートークで交流しました。新会員さんは、係争が終了した方と、まだ他界後1年も経たない日の浅い方で、お二人のお話をお聞きしながら、皆さんで励ましあったり共感しあったりしました。今回はいつも時間が足りないので長めに4時間設けたにも関わらず、あっという間に時間が経ってしまいました。

いつも思うことですが、会員さんが増えることは被災者が増えるということで残念ですが、早い時期に同じ境遇の方と出逢いお話をすることは、心のケアだけではなく、これから何をどう進めていくかということについても沢山のお話をすることができ、今回も安心できたと言って頂いたことは良かったことでもあります。2か月に1度の交流会、次回は10月31日、神奈川では全国に先駆けてのシンポジウムのあとということになりました。シンポジウムの準備も着々と進んでいます。

これからも会員さんとの繋がりを蜜にしながらみんなで前に進んでいこうと思います。(工藤祥子)

長野過労死を考える家族の会 報告

1. 「長野家族の会総会」が5月11日(土)に開催されました。
当日は県内各地より8名の方が参加され、総会後、お弁当を食べながら会食会を行いました。その時に「家族の会員は、家族の過労死により幸せな生活が一変してしまった!労災等活動する中で「権力者は大ウソつきだ!」と感じた。過労死をなくすため、政治を変えていかなくてはならない。そのためには憲法の学習も必要だ。過労死・過労自殺は増え続けて、労災申請も増えている。黙っていない家族を支える、家族の会の存在があるからできることだ。過労死防止法が生きた法律となるようなかかわりが大切になってくる。」などの意見が出されました。

総会から懇親会まで、終始和やかな雰囲気で進められ、よい総会だったとの声も聞かれました。

2. 現在係争中の「小池雄志の裁判」の経過を報告いたします。
今年3月長野地方裁判所伊那支部から松本支部に移り、これまで3回の裁判がありました。この3回の裁判で大きく前進しました。それは、かねてから原告が請求していた工事の進捗状況が分かるメールの資料が被告会社より提出されて、このメールの分析により、雄志の過重労働の実態がかなり書証により明らかになったからです。今後さらに、雄志が命を絶たざるをえないほどに追い詰められた施工の全実態を解明していく予定です。そのためには時間もかかりますが、今後もご支援よろしくお願い致します。(小池宣子)

山梨過労死を考える家族の会 報告

山梨では現在3家族の裁判を共に闘っております。紹介します。
芦澤 明さん、ひとみさん夫妻の次男拓磨君が19歳で自死した事件は、慣れない仕事を職場で強いられ、照れ隠しにあどけなく振舞ったところ、先輩上司から「無視」といういじめを受けてしまったことが最大の理由です。これは、会社側への損害賠償と併せて、労災認定に向け、東京高裁で闘っております。

野中千代美さんの夫、野中延吉さんは、同僚が脱輪事故を起こしたとの一報を受け、持病を顧みず、出動。現場の沢に転落し帰らぬ人となってしまいました。これは労災であると主張し、今は最高裁判所に上告して闘っています。 深沢佳人さんは、現役小学校教員として闘い、3つ全て勝利しました。教員のグレーゾーン解消となる「犬咬み裁判」、校長のパワハラによる損害賠償請求裁判、受けた痛手のうつ病は、公務災害と主張した裁判。被告は基金が2つで、1つは山梨県と甲府市でした。

山梨家族会の成果と前進は、皆様の大きなご支援の賜物です。誠にありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。(深澤佳人)

静岡過労死を考える家族の会 報告

静岡シンポは11月14日の計画です。労働局より「働き方改革と助成金についてのお話」、助成金事例報告「勤務間インターバルでいきいき職場作り」をこども園の園長先生、「過労死、過労自死の予防に向けて」長谷川医師、静岡市役所職員の過労死裁判、大橋弁護士の「公務災害について」の講演。

家族の会では①障害者枠での就労での問題点,就労わずか2か月目の過労自死、②長時間労働での精神疾患に罹患して現在の苦しい状況での復帰に向けての戦い、③、24時間営業販売店、店舗管理者の過労死、を計画しております。ほかに地元企業300社及び図書館、高校、大学等合計400カ所に事前配布資料を作り配布。

内容は「厚生労働省における過労死等防止対策の状況」第5回過労死防止学会報告要旨集より西垣迪世「長時間労働と過労死等防止―大綱改正と働き方改革法と課題、息子の事件からの考察」中部剛「西日本高速道路会社過労死事件を通して遺族支援を考察」東海林智「障害を持つ人の過労死の現場、新潟県庁過労死事件、」田村和男「堺市立泉ケ丘東中学校教員過労自死事案~なぜ死に追い込まれたのか~」色部祐「外国人技能実習生の死亡事例に関する検討―特にベトナム実習生について」です。(尾崎正典)

名古屋過労死を考える家族の会 報告

名古屋では現在、行政裁判5名、民事裁判1名、合計6名の方が闘っています。8月の控訴審で棄却されてしまったSさんは、最高裁へ上告を決められたそうです。Sさんは2010年11月にご主人を亡くされ労災申請をされましたが、認められず2013年に提訴しました。しかし、一審も控訴審も「原告の発言に一貫性が無い」と判断され、棄却となりました。Sさんは一審の証人尋問の目前、「脳内出血」で倒れてしまい現在リハビリをされていますが、今も後遺症が残ってしまっています。そんな中でもご兄弟や支援の会に支えられ、必死に闘っておられます。最高裁がしっかりと判断をしてくださる事を祈るばかりです。

今年度、名古屋のシンポジウムの打ち合わせには、労働局の方が第一回目から毎回参加してくれています。色々な提案もしてくださるので内容も例年よりも早い段階で決まりました。遺族発言は水野弁護士の提案で、名古屋の遺族ではなく兵庫の西垣様にお願いをしました。御子息の事件を含め、今までの活動等幅広くお話をして頂きます。1人でも多くの方に参加して頂き、過労死を防止する事に役立てばと思っています。(伊佐間佳子)

京都労災被災者家族の会 報告

若い世代の過労死

春の例会を開催し、子どもを亡くした二人の母親が参加しました。二人の話は尽きることがありませんでした。労働環境が厳しくなり、過重労働が起こり、その結果の過労死でした。労災申請を考えていますが、認定基準の壁や様々な事情があり困難を極めています。労災申請の困難は、30年前と変わらずに続いています。

過労死防止京都連絡会第5回総会を5月に開催しました。若者の過労死事件について学ぶため、兵庫から闘争中の遺族と弁護士を招きました。長時間労働とパワハラがありました。まじめで誠実な新入社員が犠牲になり過労死が起こりました。過酷な労働実態、お母さんの思いを聞くことができました。

6月には、福井地裁で2012年の過労死事件の証人尋問が行われました。炎天下での仕事、長時間労働とパワハラがありました。息子さんの過労死の労災認定を求めて、お母さんが頑張っています。地元に支援する会が結成され、福井地裁では多くの支援者が傍聴しました。

京都では10年くらい前、若い父親が幼子を残して過労死する事件が起こってきました。どのように家族の会で支援するのか、世話人会で話し合いましたが、支援できることは限られます。多くの方々や組織と連携し、過労死被災者の救済を求めていきたいと思います。(中嶌清美)

大阪過労死を考える家族の会 報告

「夏の一泊学習交流会」を開催しました。
7月20日~21日(京都)聖護院「御殿荘」にて、夏の一泊学習交流会を開催しました。今年も北海道から九州の全国各地から76名が参加(過去最多)しました。今年は、13名の弁護士が参加され有意義な交流会となりました。松丸弁護士の開会挨拶ではじまり、講演1は、東海大学現在教養センター講師の池谷 美衣子さんから「過労死問題に対する社会運動の形成と展開」、講演2は、全労働省労働組合大阪基準支部執行委員長の丹野 弘さんから「労働安全衛生法改正による事業者の労働時間の把握・記録義務と労基署・労働局の調査体制について」をご講演いただきました。

基調報告は、岩城弁護士から「パワハラ防止法で職場のハラスメントはなくせるか」と題しご報告いただきました。全てが私たち参加者の問題意識と重なる貴重なお話でした。夕食懇親会では美味しい京料理をいただき、全国各地から参加者紹介をおこない、エンドレス交流会で親睦を深めました。翌日の分科会はそれぞれの課題を共有し、全国家族の会 寺西代表の挨拶で閉会しました。引き続き、午後からメルパルク京都で「第6回過労死防止全国センター総会」が行われました。 (小池江利)

兵庫過労死を考える家族の会 報告

寝る間も惜しんで働き、仕事道具に囲まれた状態で冷たくなっていた夫を発見したあの朝から、もうすぐ2年が経とうとしています。2017年10月20日、私は福祉訪問美容師として働く38歳の夫を心臓性突然死で亡くしました。今でも、あの時の動揺、絶望、会社への憎しみ、電話口で懺悔した社長の声、冷たく固まった夫の手の感触…そのすべてをはっきりと覚えています。しばらく何も出来ずにいた私を、過労死で間違いない、労災申請しましょう!と突き動かしてくれたのは、夫の元同僚の方々でした。今年9月、準備を重ねやっと申請する事が出来ました。

申請時、労基署の方の、タイムカードの記録は?という言葉。それが私に重くのしかかりました。夫の会社にタイムカードはありませんでした。専用のPCもない、移動の多い職種。ただ、元同僚の方々のおかげで、長時間労働の証拠は揃える事が出来たのです。移動時間や持ち帰り残業が労働時間とみなされにくい現状ですが、そんな中でも命を削って働いている人は夫の他にも大勢いるはず。それを認めないで、誰の為の行政なのか。今後、労基署に、懸命に訴えていこうと思います。

皆様どうぞご支援の程、宜しくお願いいたします。(鍛治えり)

岡山過労死を考える家族の会 報告

それまで色々と紆余曲折がありましたが,昨年までと打って変わり,岡山過労死を考える家族の会も積極的に岡山でのシンポジウムの準備に取りかかるようになり,7月になってからすぐにプロセスユニークと働くもののいのちと健康を守る岡山県センターと岡山過労死を考える家族の会が積極的に労働局等に赴いて,シンポジウムを成功させるために協議を行い,準備を行っています。

今年もシンポジウムの会場は岡山国際交流センター国際会議場とし,11月28日(木)午後2時からシンポジウムを行う予定です。講師は東京の旬報法律事務所の蟹江鬼太郎先生に講演をして頂き,遺族の訴えを東京過労死を考える家族の会の中原のり子さんにして頂きます。今回は,昨年よりも成功するよう,プロセスユニークの担当者と楽しみながらシンポジウムの準備を行っております。(中上裕章)

東四国過労死を考える家族の会 報告

香川県 高松地裁、10月1日、10月11日、両日10時から16時頃まで、寶田都子さんのうつ病労災裁判の証人尋問が行われます。59歳で老健施設の看護師長に転職「膨大な業務と過重労働」「長時間労働と連続勤務」に加えて高松労基署の女性担当官は、体調不良の寶田さんに聞き取り終了後、「あなた生きていますよね。生存していますよね。生きているのに労災申請するのか。図々しい。」と言葉を投げつけました。このことで寶田さんの精神状態は極限に達し、病状がさらに悪化しました。

裁判が始まりますと、国側には先の言葉を投げつけた女性担当官がおりました。毎回寶田さんは怖いと苦しみました。とうとうその女性担当官と隣に座ることになった寶田さんは、隣に座った女性担当官の顔が見えないようにした手は震え、目を真っ赤に、涙をため立っておれなくなり床に座り込みました。寶田さんの様子を見ていた女性裁判長が「どうされました」と尋ねて下さり、結果女性担当官と女性裁判長は共に男性に変わりました。国側は一事が万事非常に残酷な裁判を続けてきました。遠く離れておりますが、寶田さんを見守っていただきますようお願い申し上げます。(大島照代)

四国過労死を考える家族の会 報告

四国においては昨年「東四国家族の会」が発足されましたので愛媛と高知での活動となっております。主には大学での「啓発事業」社会政策論の中での労働問題の授業の一環として時間を頂いております。今年度も「松山大学」「高知大学」「愛媛大学」において取り組みを行います。社会に出る前の学生に自分の身を守るために、我々、遺族の生の声を届け、決して自ら命を絶つことのないように訴えたいと思います。

また、愛媛においては、いの健愛媛の幹事となり11月の啓発シンポジウムの打ち合わせ、いの健の活動に携われるようになり、今後、活動を行っていきたいと思っております。

昨年度、行っていました、遺族わかちあいの会については、定まった開催場所の確保ができず、未開催となっています。公的施設での定期開催を行うことが課題ですが、残念ながら、現在のところ、協力してもらえる自治体は皆無ですが、今後も根気よく活動を続けていこうと思っております。(世話人)

福岡過労死を考える家族の会 報告

福岡家族の会は、ようやく全国の動きに追いついていけるようになりました。2017年10月に会を発足させ、昨年は8月に「ご家族のお話を聞く会」,11月には「九州セミナーin福岡」の参加,12月の過労死防止シンポジウムを実施していくのがやっとという感じでした。ですが,昨年後半から,東九州家族の会の協力を得ながら,ホームページ作成会議を定期的に実施するなど,世話人が集まる場が少しずつできています。今年中には「福岡過労死を考える家族の会」のホームページを公開できそうです。

また,今年は新たに3名のご家族が福岡の会員になってくださいました。ご家族会員が増えることで,関係各所への挨拶やシンポジウム参加のお願い,啓発授業の呼びかけなど,昨年とは違った動きができるようになってきました。今後は,家族同士の連携やつながりを持てる企画も考えていきたいと思います。今後とも皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

【福岡家族会の今後の予定】
2019年11月22日 過労死防止対策シンポ@福岡
12月7日 福岡家族会総会

(八木大和)

東九州過労死を考える家族の会 報告

東九州家族会は、4月に大分の佐藤さんが労災認定され、5月には長崎の損害賠償訴訟事件のご遺族が地裁で全面勝訴し、6月には、熊本のご遺族が労災認定を勝ち取りました。嬉しい結果が続いて、本当にほっとしました。ただ、みんなこれで終わりではなく、長崎の事件は相手側から控訴されたため、引き続き高裁での闘いがあり、熊本のご遺族は、損害賠償請求裁判を準備中です。大分の佐藤さんは会社側と和解交渉が始まっており、長崎のもう一人のご遺族は、今月、損害賠償請求裁判の第一回目がありました。引き続き、見守っていきたいと思います。

7月の夏の一泊学習交流会には、私を含めて3人が参加しました。
8月の遺児支援事業の一泊交流会には、4組のご遺族が参加し、親子とも楽しい時間を過ごされたようで、「参加してよかった」とご報告を受けました。
東九州過労死を考える家族の会では、7月にホームページを開設しました。福岡家族会と合同のHPをと、会議を重ねましたが叶わず、それぞれの家族会で作ることになりました。
東九州過労死を考える家族の会URL: http://eastkyushukazoku.sakura.ne.jp/

(桐木弘子)

2019年度全国過労死を考える家族の会の統一行動タイムスケジュール

1日目日程:11月6日(水)  要請行動~啓発シンポジウム

9:50~ 集合(打ち合わせ)。会場:弁護士会館 5階
アクセス:丸ノ内線,日比谷線「霞が関」B1-b出口直結
10:00~ 地公災基金本部へ移動(タクシーにて)
10:10~ 厚生労働省へ移動
10:30~ 厚生労働省・地公災基金本部要請(約1時間程度)
11:45  厚労省前へ移動
12:00~ ビラ撒き宣伝行動:厚生労働省前
12:30~ 厚労省前~イイノホールへ移動(シンポジウム開始までに各自で昼食を済ます)
14:00~ (13:30開場)過労死等防止対策推進シンポジウム開会(前方の家族の会の席に着席)
17:00 ~ 終了
( 注 今回は,夕食懇親会はありませんので,各自で夕食をお願いいたします )

2日目日程:11月 7日(木) 全国過労死を考える家族の会総会

時間 9:30~12:30
第1部 総会
第2部 交流会
場所 平和と労働センター・全労連会館 3階304・305会議室
〒113-0034 東京都文京区湯島2-4-4
TEL:03-5842-5610 FAX:03-5842-5609
全労連会館アクセス http://www.zenrouren-kaikan.jp/kaigi.html#08

全国過労死を考える家族の活動

【主な活動報告】

4月 2日 全国過労死を考える家族の会ニュース第77号発行:全国家族の会事務局
4月 6日 過労死弁護団全国連絡会議拡大幹事会:
4月20日 宮城過労死を考える家族の会結成総会:宮城県仙台市
5月25日・26日 過労死防止学会第5回大会:(京都)龍谷大学深草キャンパス
7月20日・21日 夏の一泊学習交流会:(京都)聖護院・御殿莊
7月21日 過労死防止全国センター総会:(京都)メルパルク京都
7月22日 根本厚労大臣へ「36協定届(特別条項)記載例」修正の申入書(郵送)
8月18日 遺児交流会開催:ホテルフクラシア晴海・都内施設
8月21日 全国過労死家族の会世話人会MLgoogle移行
8月22日 厚生労働省から、「36協定届(特別条項)記載例」修正の回答
9月 7日 全国世話人会議:東京駿河台法律事務所

【主な活動予定】

9月27日・28日 過労死弁護団全国連絡会議総会:(栃木県)ロイヤルホテル那須
11月6日 全国家族の会統一行動、啓発シンポジウム:霞が関周辺
11月7日 全国過労死を考える家族の会総会:全労連会館
2020年1月18日 全国家族の会世話人会:東京駿河台法律事務所

【事務局から】

このたび、NPO法人 POSSEの依頼で全国家族の会会員のご遺族を対象にした「過労死案件に関するアンケート調査」を実施することになりました。皆様のお手もとに届きましたらご協力をいただきますようお願いいたします。ご不明なところがあれば、各地の世話人代表へお尋ねください。

カンパのお願い

家族の会は皆様のカンパを主な活動原資として活動しています。
カンパのご協力をよろしくお願いします。

ゆうちょ銀行 店名 〇五八(ゼロゴハチ) 店番 058
預金種目 普通預金 口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会(ゼンコク カゾクノカイ)

 


【発 行】全国過労死を考える家族の会(2019.9.25発行)
【事務局】東京駿河台法律事務所内 TEL. 03-3234-9143
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町二丁目3番1号 岩波書店アネックス7F