全国過労死を考える家族の会

全国過労死を考える家族の会ニュース 第83号

過労死防止法を実効性ある施策の転換へ

過労死防止法は2014年6月に成立し、同年11月に施行されて6年経過しました。3年を目途に大綱が見直され、今年は2回目の見直しがおこなわれます。規定により、大綱案を作成するときは、「過労死等防止対策推進協議会の意見を聴くものとする。」とされ、私たちは厚生労働省から新大綱の素案が出される前に先立ち、我々側の7名協議会委員(専門家委員3名、当事者代表委員4名)の「意見書(18頁)を厚労省過労死等防止対策推進室(事務局)へ提出しました。

意見書の一部を紹介します。一つ目は、現大綱の構成に対し、追加、加筆など要望したものです。これまでの調査研究で得た結果を実効性ある過労死等の防止対策を講じていくことが必要とし、①調査研究について、職場におけるハラスメント発生の要因と実態把握できる詳細な調査研究が必要。コロナ禍での過重労働について、テレワーク、エッセンシャルワーカー、宅配業者と労働者、地方公務員、国家公務員、音楽、演劇、芸能活動など実態調査が必要。②啓発について、厚労省の機関だけでなく地方自治体等の連携を深め、より多くの教育機関が啓発事業に参加できるように充実させていく。職場における啓発活動において、常態的な長時間労働させている企業の職場風土を改善する啓発セミナーが必要。特に過労死等を出した企業の事業主、役員、人事労務担当者に過労死防止について研修と時間管理を含む人事労務施策の点検等の義務付けが必要。また労働組合を含む労働者も啓発セミナーの参加を促す必要がある。③相談体制の整備について、精神疾患を発症すると短期間で自死につながるケースが多いため従業員が相談に行くのを待つのではなく、労務管理担当者や上司等が従業員のシグナルや不調状態を見逃さず適切な対応ができる手立てが必要。親を過労死等で亡くした遺児は生きづらさをかかえていることが多く、親も悩みが多いことからサポートに特化した相談システムの設置が必要、等々。

二つ目は、私たちが求めている大綱の副題、「過労死等をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」の実現は、ほど遠いのが現状であるため、今後「推進上の留意事項」について、過労死等防止対策を推進するうえで、新しい抜本的な労働基準法の制定を視野に入れ、以下を含む15項目の問題点を列挙しました。○法定労働時間は8時間・40時間ではなく、より少ない時間(当面は7時間・35時間)を設定する。労使協定(36協定)による時間外労働は、当面月45時間を絶対的上限とする。いわゆる特別条項は廃止する。〇勤務間インターバル規制を法律上義務化する。当面11時間以上とし、将来12時間以上とする。〇使用者のハラスメント防止義務を明文化し、ハラスメント規制を法制化する。〇複数の職場で働く労働者の長時間労働等を規制するために、使用者の義務を明確にする。○労働基準監督署の権限を強化し、監督官の人員を増加させる。また,刑事罰法定刑の見直しを行い、悪質な法違反を取り締まるための法整備を強化する。そして公立学校教員における「給特法」について、法規の改変を求められている。など、問題提起しました。過労死等をゼロにし健康で働き続けることのできる社会を実現するには、過労死防止法を実効性ある施策の転換が必要不可欠です。

(全国家族の会代表 寺西 笑子)

全国過労死を考える家族の会世話人会 報告

日時:2021年1月23日(土)13:00 ~ 15:30
場所:WEB会議(Zoom)
出席者:玉木一成弁護士 事務局(重複者は省く):1名
各地世話人:16名 ( 欠席:宮城 、オブザーバー:無し ) 計:18名参加
進行:寺西代表

① 主な活動報告:2020年9月~2021年1月16日までの報告あり。
② 情勢について(玉木弁護士)
脳・心の労災認定基準の改定について、1月19日第7回専門検討会で論点整理され新しい認定基準のたたき台が出された。労働時間100時間、80時間を維持、改正の必要ないとし、負荷要因についても出張、不規則勤務、夜勤交替制などシフト制の過重性は認めない方向に向いている。過労死弁護団は意見書を提出した。いの健全国センターの署名運動に協力し、世論の声と力が必要。
③ 協議事項
・全国家族の会結成30周年について:イベント等を実施する案があれば、メンバーの選定も踏まえてご連絡を頂きたい。
・認定基準の改正署名協力について :家族会も取り組む。ネット署名の提案。
・個別要請書捺印について: 次回より(厚労・基金とも)個別要請書の捺印不要
④ 「全国家族の会」統一行動について
・コロナ禍の為、広い会議室を用意して頂き、無事要請をする事ができた。
・要請後の宣伝行動は他団体の協力と工夫で実施する事ができた。
・総会はコロナ禍の為、感染対策をし、例年の半数20名で開催。
(問題点)基金本部要請者が少ない為、次回から「公務災害」部会(新規)で相談。
⑤ 事務局報告
・公務災害担当(工藤):④の問題点に記載
・厚労省担当 (小池):スムーズに要請書が到着した。
・編集担当  (中上):ニュース原稿は早めに提出して欲しい(間際の到着は避けて下さい)
・会計担当  (久保):年会費14家族会納入済。カンパ報告。
・遺児交流会 (渡辺):12月開催が2月に延期。実施について来週会議有(後日中止の連絡有)
・HP担当  (業者):全国家族の会HPのURLの一部変更。http → https
http://karoshi-kazoku.net ⇒ https://karoshi-kazoku.net
⑥ 各地の世話人から報告:コロナ禍で思うような活動が出来ていない現状である。
⑦ 次回世話人会(Zoom):9月4日(土)13:00~(30周年行事会議:4月に開催予定)
⑧ 第83号全国家族会のニュース発行について(4月1日発行)
原稿締め切り:3月18日(木)

(名古屋家族会:伊佐間佳子)

トピックス

オンライン遺児会のご報告

毎年、夏に行っている全国過労死遺児交流会ですが、今年度は混雑が予想されるオリンピック開催時期を避けて冬に行う予定で、コロナの感染者数に一喜一憂しながら、準備を進めておりました。

今は「3密を避ける」が合言葉ですが、子どもたちは近づき、集まり、大きな声でしゃべり、なんでも触る、しかも全国から一か所に集まる、というおよそコロナ禍の中では開催が不可能なのでは、と危ぶむ声もありました。

しかし、この会を心待ちにしている参加者も多く、厚労省としても遺児やご家族のために大切な会だからなんとか開催したい、と感染対策を万全にしてコロナ禍の中での参加者募集となりました。例年よりは少ないながらも参加希望者も集まり子どもたちは開催を楽しみにしていました。

ところが、開催予定の12月にはいると感染者数が増加し、それとともにキャンセルするご家族も増え、準備委員会では参加者の安心、安全を考えると開催は延期した方がよい、という判断をせざるを得ませんでした、そして延期した2月は、緊急事態宣言下となり、中止を余儀なくされました。

楽しみにしていた子どもたちには本当に申し訳なかったのですが、せめても、という厚労省のご提案でオンライン遺児会を企画しました。当日はオンラインで三家族がそれぞれ近況報告と会に対する希望、一発芸などを披露してくれて楽しい時を持つことが出来ました。

子ども達にとっては、やはり今年度はコロナの影響が大きく、学校に行けない、友達と遊べない、宿題が山のようにでて楽しくない、運動不足になる、入学式があっただけであとは学校にいけないので、友達が出来ない、学校になじめない、等普段と違う生活状況のようでした。

その中で戸惑いながらも頑張ってきた子どもたちの様子も分かりました。コロナは子どもたちの生活に大きな影響を与えています。そして心にも影響を及ぼしています。

コロナのことをどれくらい理解できるかは、年齢や発達段階によって違います。親が考えもしないようなことでおびえていることもあります。その結果普段と同じ生活を送れなくなっている子どももいます。家族の過労死を体験した子どもたちは守られて安心していた生活が、一瞬で崩れて変わってしまう体験をしています。

このような死別体験をすると、「この世界は安全ではない」と感じるようになります。不安を心の中に抱えている子ども達は、今回のコロナのような、子どもには理解の難しい事態に遭遇した時、普通の子ども以上に心配になったり、怖くなったり、強い不安を感じたりすることがあります。

子どもの様子に気を付けてあげてください。落ち着かなかったり、怖がったりしたら、安心させてあげて下さい。親の過労死というひどい体験をしてきた子ども達です。些細な事でも、心に刺さったり、つまずいたりする可能性があります。

お母さん達も、コロナ禍の中での子育ては大変だと思います。親も子もストレスをためこまないように、息抜きや楽しいことをしてください。コロナが落ち着いて、また、遺児交流会で子ども達の楽しそうな様子が見られる日が来ることを願っています。

(全国遺児交流会世話人 渡辺しのぶ)

各地の報告

北海道過労死を考える家族の会報告

立春を過ぎたというのに北海道は氷点下の寒い毎日です。
北海道家族の会では、2月7日(日)午後に第9回総会を行いました。コロナ感染予防対策を行い、支援者の会員を含めて約20名の参加がありました。

前半は、北海学園大学経済学部教授川村雅則先生に「過労死の背景と過労死防止の取り組みを考える」のテーマで講演していただきました。学習会については、いの健北海道センター・過労死防止推進北海道センターにも呼びかけをしました。

後半は、会計報告や活動案などの議案採択を行い、短い時間でしたが交流の時間を設けて近況報告なども出来ました。3家族の新会員(遺族2家族・当事者1家族)の入会及び労災認定2件、民事和解1件公務災害認定1件の報告も行いました。コロナ禍での対面総会を行うことに躊躇もしましたが、決算報告が出来たことで会計担当世話人の方も安心され、また、今闘っている家族、これから闘う家族への支援も改めて共有出来ました。

北海道も自粛要請の地域があるため、参加できなかった会員さんには総会資料の送付とともに必要に応じてメールやお手紙で繋がらせていただいています。

(北海道家族会 村山百合子)

東京過労死を考える家の族会 報告

昨年秋から行政裁判に取り組まれている会員さんのご紹介です。ハラスメントと産業医の対応が問われる事案です。皆様のご支援、よろしくお願い致します。

【入社2年目、ハラスメントと会社側の意向にそった産業医の不適切な対応に追い詰められて自死】

息子は平成26年4月に(株)日本クロージャ―に入社後小牧工場企画課に配属されましたが、1年8か月後の27年12月5日に寮に隣接の林で自死しました。12月1日の朝礼で態度が悪いと後ろから上司に蹴られ、4人の課長連から精神病院へ行けと迫れられるも拒むと翌日彼らから理由もなく解雇と告げられました。

8か月前の入社1年後の4月に上司の課長代理が課長に昇格するに際しその仕事を丸々受け継ぐ大役を担い張り切っていましたが生産管理という営業とのやり取りの電話で声を荒げるなどパニックになったのを上司の命で精神科に行かされ産業医からは繰り返せば退寮させるとの恫喝を受け本人の意志に反して大好きな職場に出勤出来ず休職させられました。

1カ月後に復職するも十分な仕事を与えられず干された状態が半年以上続き気落ちする中、12月の朝礼での事件となったのです。労災申請は不支給となり、現在行政訴訟中です。会社に対する民事の損害賠償訴訟も予定しています。

(東京家族会 渡辺しのぶ)

神奈川過労死を考える家族の会報告

コロナ禍でなかなか交流会が出来ない中、zoomでの世話人会を10月から始め、少しでも繋がりを止めない様に交流会の持ち方について議論を重ねてきました。

全員が参加できる会は難しいけれど、参加出来る人が出来る時にとの思いで、1月17日にzoomでの交流会を行いました。参加者は11名と思った以上にご参加頂きました。

神奈川の会には、裁判は神奈川ですが地方に住んでいらっしゃる方もいらして、地方の方も2名ご参加頂き、こちらもzoomならではだと思います。初めはどうなることかと思いましたが、それぞれが今の状況や思いを話しながら、それに他の会員さんが応えたりと終始会話も途切れず、あっという間の2時間でした。

皆さん、コロナ禍で外出がなかなか出来ない中、孤独な思いを抱えていらっしゃる事がよくわかり、今後も工夫しながら交流の機会を持っていきたいと改めて思いました。

今回、参加したくてもzoomが不慣れで参加出来なかった方も数名いらして申し訳なく思っています。

次回もzoomになると思いますが、不慣れな方が参加できる様に、不慣れな方には誰かと一緒に参加出来るようになど今後考えていきたいと思っております。

(神奈川家族会 工藤祥子)

長野過労死を考える家族の会報告

長野家族の会では、昨年の10月以降4人の方が入会されました。会員が増えることは会にとっては喜ばしいことですが、それだけ労災があったということです。亡くなられた方は3人とも30代でした。幸せに暮らしてきた家族の生活はあの日以来一変してしまいました。計り知れない悲しみ、苦しみに耐え、労災申請をされ、その中で、2人の方が労災認定(1人は7か月で、もう1人は11か月で認定)されて、とても嬉しかったです!

長野家族の会員の中で、37年前(「過労死」という言葉が世間に知られていなかった時代)に夫を亡くされたIさんは、「労災認定されるまでに10年かかった」と話してくれました。現在では7か月で認定!と聞きIさんは「10年と7か月では家族の人生も大分変わってしまうな」と話されました。

労災申請から認定までの期間が現在のように短期間で認定されるようになってきたのは、先人の家族の会の皆さま方が厚労省に要請されたり、過労死防止法の成立に向け運動されて勝ち取られてきた歴史の上にあるものだと再認識いたしました。

しかしながら、労災申請された方たちは、過重労働やパワハラを受け当然「労災認定」されるべき方々なのに、現在でも申請者の1/3しか認定されておりません!
そこで、前回のニュースと合わせ、労災認定基準改定の署名用紙を一人当たり2枚配布して署名の要請を行いました。

(長野家族会 小池宣子)

山梨過労死を考える家族の会報告

「山梨・過労死と労災問題を考える会(山梨・家族の会)」は、前事務局長の(故)保坂忠史さんから深澤に引き継がれております。深澤は「働くもののいのちと健康を守る山梨センター(いの健・山梨)」の事務局を兼任しております。毎月、通信を発行して会員に届けております。昨秋、3万枚のチラシをいの健と共同で作りました。当会のパンフレット『過労死家族は ひとりぼっちじゃない』の最終頁「お問い合わせはお近くの家族会へ」山梨の連絡先を大きく採り上げました。

過労死に繋がりかねない労災事案は、事前に、またはその初期に解決することが重要です。昨年末から相談が耐えません。事務局が個別に、労基局や基金県支部、県人事委員会、弁護士や社労士に繋ぐなどしています。本人の承諾を得て通信で紹介したり、いの健山梨の理事会で採り上げたりしています。労災(公災)申請、人事(公平)委員会への措置要求などをお手伝いして、悲惨なことにならないよう過労死防止に取り組みます。

3月17、18日と山梨県立増穂商業高校と青洲高校で、『啓発授業』が開催されました。講師は、NPO法人『ディーセントワークへの扉』理事長、特定社会保険労務士の飯塚盛康先生と深澤でした。

(山梨家族会 深澤佳人)

静岡過労死を考える家族の会報告

現在家族の会で対応している裁判案件はありません。静岡安健センターでは引き続き労働災害の案件を対応されています。今年の過労死防止シンポジュウムに向けて4月から活動が始まります。

今年は事前配布資料(企業向け、学校向け図書館向け)に合わせてタイムカードの使用状況のアンケート、時間外残業の記録、申請の正確さについて調査を検討したいと考えております。

(静岡家族会 尾崎正典)

名古屋過労死を考える家族の会報告

昨年は名古屋の家族の会発足から30周年という記念の年でした。それに加え、最後の月には嬉しい報告がありました。「名古屋市交通局バス運転士自死事件 損害賠償請求」の勝訴判決です。名古屋地裁は「精神障害を発病させるほどの強い心理的負荷が生じると予見できた」として名古屋市に賠償命令を出しました。その後名古屋市は控訴せず、12月16日には市交通局幹部が、ご両親の自宅を訪問し謝罪をするという完全勝利という形で終わりました。

長い年月頑張ってこられたご両親のお喜びは計り知れない程だった事と思います。本来でしたら、家族の会の30周年もこの勝利もすぐに家族の会でお祝いしたかったのですが、コロナ感染拡大の影響で、未だに行う事が出来ていません。コロナの感染拡大は生活や仕事に相当な影響が出ています。

色々な場面でハラスメントも増えているようです。そんな中、現在も5名の方が闘っていらっしゃいます。色々な制限がある中での裁判は、より一層精神的に負担がかかり大変だと思いますが、体調を崩さず頑張って頂きたいと思います。コロナが収束する日が、一日も早く来ることを願うばかりです。

(名古屋家族会 伊佐間佳子)

京都労災被災者家族の会報告

京都家族の会の活動は 昨年は2月に総会を行なっただけになってしまいました。総会では、福井の井上さんの判決の直前でした。みなさまのご支援のおかげで、井上さんの行政裁判は、福井地裁で勝訴しました。ありがとうございました。

Aさんの報告では、労災申請がようやくできて、遠からず結果が出そうということでした。Aさんの息子さんは過労自死です。日々の長時間労働があり、昇進して、さらに仕事の質も量も増えてしまいました。労基署からの結果は、春、夏、秋、冬が来てもなかなかありませんでした。ようやく年末に労基署から業務上という決裁が出ました。コロナの影響かもしれませんが、年末というのは遅すぎました。Aさんは、「認定されたことは、まだ始まりです。これからもすることがある」と気丈夫に話されています。労災認定が厳しい現状にあって、Aさんが頑張られたことは本当に評価できると思います。これからもみんなで支えていきたいと思います。

5月に予定されている、過労死防止京都連絡会の総会の準備が始まっています。厳しい現状にありますが、家族の会の役割をしっかり担っていきたいと思います。

(京都家族会 中嶌清美)

大阪過労死を考える家族の会報告

今年度は新しく5名の方の入会がありました。訴訟では、4名の会員が民事訴訟で解決されています。また、昨秋に民事訴訟で証人尋問を迎えられた方につきましては、数名の会員で傍聴支援を行いました。

現在のところ、係争中の方や労災申請、審査請求、再審査請求段階の方が複数おられます。

生活環境が一変した中、心に深い傷を負いながら不安な日々を過ごされている方々に居心地の良い場所と感じていただけるような活動をして参りたいと思います。

今年度の活動は、新型コロナウィルスによる影響で4月の総会が中止となり、ほぼ毎月行われていた例会が2度の開催となりました。活動が縮小された一年でしたが、オンラインの繋がりにより、これまでにご家庭の事情でご都合がつかなかった方や遠方により参加が難しかった方にも例会へご参加いただけたことは、メリットがあるように感じました。

当面の例会は、安全面を考慮してリモートミーティングで行いたいと考えています。これを契機に久しくお目にかからない会員の方にもお気軽にご参加いただけますと幸いです。新型コロナウィルス感染症の一日も早い収束を祈りながら対面での交流の機会が持てる日を待ち望んでおります。

(大阪家族会 西岡佳恵)

兵庫過労死を考える家族の会報告

兵庫家族の会はそんなに人数の多い会ではありませんが、最近の職場環境の悪化を反映して、次から次へと新しいメンバーが入会して来られました。

現在、Aさんは民事での解決ができました。Bさんは労災認定され、民事での解決もできました。Cさんは労災認定され、民事での解決が進んでいます。Dさんも間もなく結果が出ます。そして、Eさんは民事裁判を闘っています。Fさんは労災の審査請求をしています。Gさんは民事裁判提訴の準備中です。

このようなことがなければ、お互いにお会いするご縁もなかった者同士ですが、新しいメンバーを支えることを大切に活動していきたいと思います。さらに、過労死等防止活動の一環として、労働問題・労働条件に関する啓発授業や過労死等防止対策推進兵庫シンポジウム等に、過労死等防止対策推進兵庫センター等と協力して取り組んでいます。

これらの取り組みを通して、亡くなった家族は戻らないけれども、傷ついた者同士、いたわり合っていくことができればと思います。そして、過労死家族会など不要な社会、人々が生き生きと健康的に働ける社会の実現を何よりも願っています。

(兵庫家族会 西垣迪世)

東四国過労死を考える家族の会報告

3月15日 高松高裁において寶田都子さんの労災不支給判定の取消を求める裁判がありました。証人として寳田さんの元同僚が出廷しました。

地裁での会社側証人尋問は、証言者全員が寳田さんの訴えを全否定するものでした。しかし、この度の高裁での元同僚の証言から、前証言、前判決をひっくり返す内容でした。労基署調査官からの聞き取りをされる直前に、証言者は、企業側の事務長から「時間外労働は無かった」「パワハラは無かった」と聞かされたそうです。

労基署調査官からの聞き取り場所は、企業側の広い会議室で行われ、複数の調査官が来ました。聞き取りは、その会議室内で2、3人同時に実施されました。部屋の隅々に分かれているとはいえ、一対一の空間ではなく、お互いの話し声が聞こえかねない環境であったようです。

国側の弁護団(男性3人と女性2人)は、まるでブラック企業のお抱え弁護団のようでした。民事裁判ではないのに、です。どこまでも企業を守ろうとする姿勢では、国は過労死、過労死等を無くそうと本気で考えていないように思える、内容のない、意地悪な、良心を疑う反対尋問でした。

しかし、証言者は、人生で初めての裁判で証言台に立ったにも関わらず、静かで、穏やかで、そして挑発に乗らず、真摯に向き合っていました。度胸の座ったとても聡明な女性だと思いました。証言台に立ってくださった証言者に感謝申し上げます。裁判官には正々堂々 公正な判決を。

(東四国家族会 大島照代)

四国家族の会報告

前回以降の活動としては高知大学における啓発授業を行いました(受講者約200名)。

ただ、コロナの影響により直接の授業ではなくオンデマンドでの配信授業でした。
高橋幸美さんは事前録画、久保と長井名誉教授は高知大にて録画。
高橋幸美さんの録画は資料も多様され、学生にわかりやすい内容でした。

久保は遺族の気持ち及び過労死からの自己防衛についての話
愛大名誉教授長井先生より若者の自死の現状等の録画と続きました。

高知大学では毎年、啓発授業を開催されており毎年多くの学生の皆さんに参加して頂いております。啓発授業はすべての学生に聴かせるべきものであり、まだまだ開催が少ないと思われます。今後の過労死防止のためにも各大学での活発な啓発授業の開催を熱望するものです。

(四国家族会 久保直純)

福岡過労死を考える家族の会 活動報告

「家族会に入会して」
2017年6月、夫は突然43歳の生涯を終えました。診断は虚血性心疾患の疑いでした。すぐに過労死だと思いました。前日出張に行き、翌日冷たくなって帰ってきました。言葉では表現できない恐怖、悲しみ、後悔、怒り。過労死だと思っても相談できる人も場所も分かりませんでした。そんな時にニュースで過労死110番を知りました。電話する勇気がなく、たどりついたのが家族会でした。何をすればいいのかわからない、何より生きていく気力を失くしていた私にとって家族会は支えとなりました。

初めて参加した時ここでは弱音や怒りを隠さなくていいのだと安心しました。また二人の子どもを連れての旅行は一人では困難でしたが、遺児交流会に参加し実現していただきました。死別して3年半、認定を受けて2年半の月日が経ちました。

私が住んでいる小さな地方都市でも過労死は起こっています。お話しを伺い身近に過労死を疑う事案があることに驚きました。また当時の私と同じようにその方は孤独を感じておられました。悲しみは消えることはありませんが、遺族がコロナ禍でも孤立しないように祈るばかりです。

(福岡家族の会会員)

東九州過労死を考える家族の会報告

今年はまだ、本格的な活動は何もできていないのが現状です。
現在、会員で闘っておられるのは、長崎のご遺族だけなので、経過を見守りながら、その都度、支援方法を考えていきたいと思います。

その他に、宮崎の賛助会員である、元ファミリーマート経営者・高橋義隆さんが、ファミマ本部を相手取って、昨年11月に宮崎地裁に提訴された事件があります。高橋さんは、お父様が四千万円の借り入れをして開店したファミマを、25年間、経営してきました。お父様は、お店を始めて七か月後に急逝されたそうです。当時17歳だった高橋さんは、この25年間必死に働き、特に売り上げの多い優良販売店にまで育てあげました。

昨年のコロナ禍で売り上げが急減したため、一千万円の借り入れをした直後、その事実を知りながら、本部は理不尽に契約を解除しました。高橋さんは、ご自身のお父様も過労死ではないかとの思いから、家族会発足の準備段階から賛同して下さり、これまで支援をして下さいました。裁判傍聴など、できる限りの支援をしながら見守っていきたいと思います。

(東九州家族の会 桐木弘子)

本の紹介

「あなたの大切なひとを守るために」
残された妻の過労死防止法実現への記録
中野 淑子 著 (神奈川家族の会)

拙著、表題の本を出版しました。最も強い動機は、何物にも代えがたい愛する家族が、ある日突然過労死という理不尽な理由で奪われることのないように、幸せに生きるために懸命に働いた結果が過労死とならないように、大切なひとを失ってからでは遅い、私達が味わった悔恨、喪失感、自責の念、空虚感、不安感、地獄の底に引きずり込まれるような思いをさせてはならない。過労死は知らぬ間に忍び寄っている、恐ろしい牙をむいてすきを窺っている、自分・家族の命を大切にしてほしいという切なる願いからです。過労死や戦争は人災だからその気になって努力すれば防げる。一人一人が小さな声でも上げてゆく、その積み重ねがやがては周囲を動かす大きな力になってゆくのではないかと思います。

次の動機は、夫が過労死した翌年「平成」に代わり、31年後に「令和」になりました。したがって私は「平成」を過労死活動で駆け抜けてきた。その一区切りとして家族の会の30年間の歩みを纏めてみたい、特に「過労死防止法制定」に向けた私たちの熱い思いと涙ぐましい活動を記録に留めておきたい。今後に続く人たちの何らかの役に立つのではないか?そう思ったのです。

中野 淑子

◎著者プロフィール:1936年千葉県生まれ。元中学校教諭。中学校教諭の夫を過労死で亡くす。
全国過労死を考える家族の会(前・事務局・公務災害担当)、過労死等防止対策推進協議会委員(当事者側委員)、神奈川過労死等を考える家族の会(世話人)など経験。

◎ご購入は、書店・ネット書店にお問合せください。
定価 (本体1,300円+税) 発行 旬報社
または、中野宛にお申し込みの場合は、税抜き価格です。1,300円+送料380円以下のいずれかで、お名前・送付先住所・電話番号をご記入ください
中野 TEL・FAX:0466-34-3760 E-mail:y243@ax.em-net.ne.jp

本の紹介

「過労事故死 -隠された労災」
川岸 卓哉 ・ 渡辺 淳子 著 (神奈川家族の会)

いわゆる、過労死の中で分類される、過労自死/過労による脳・心臓疾患だけではなく、過労に伴う死は様々です。

私の息子が過労事故によって、突然人生を終えてしまった無念の気持ちが、一本の電話により若い弁護士に繋がり、そして支援者によって丹念な検証が開始されスタートを切りました。通常裁判では提訴する原告と被告の闘いの形が当たり前ですが、母親である原告の願いに寄り添う「過労死撲滅」の目的で裁判所と共に解決するスタンスで取り組みました。とは言うものの、私は過労死に関わってしまった遺族です。

「社会に訴えても、亡くなった息子は戻ってこない」「本当にこの想いを理解してもらえるのでしょうか?」「母親として湧き上がってくる、止めることのできない自責の念」あらゆる感情や葛藤と闘っていました。社会や被告と裁判で闘うより、自身の感情との闘いが壮絶であり、家族の会の皆様にとっても同様の体験をされた方は大勢いらっしゃるのではないかと思います。その心の記録が散りばめられた本です。

裁判所の和解勧告においては、「裁判所は、自ら担当する民事紛争において、その解決の内容及び 効果が訟訴の対象である訟訴物に限定される判決による解決のよることの他に、和解による解決として、真の扮装の解決と当事者双方にとってより良い解決をすることをも希求する責務を国民から負担されていると考える」などの裁判長の言葉には、司法の良心にふれた気がして、傍聴席の方々と共に一点の光が見い出せたと感じるものでした。

川岸卓哉弁護士により「一人ひとりの命を大切にする社会を創るために歩んだ人々」の記録として 出版できたことに、心から感謝申し上げます。

ひまわりの表紙は母親から見て、息子がいつもひまわりのように、はつらつとして明るいイメージであったので表紙に使いたいとリクエストしました。題名は「過労事故死」と言う辛いものですが、手のひらに暖かく挟める大きさで、人々の心かよう物語として是非読んでいただけましたら幸いです。

渡辺 淳子

【お申し込みFAX】044-233-2855
お名前・送付先住所・電話番号をご記載ください。
別送する請求書及び振込用紙でお支払いをお願いします。
定価1,650 円→1,320円(送料330円~550円・10冊以上購入で送料無料です)

【速報!会員の朗報が届きました】

ソニーの40代ドバイ駐在員、過労死認定 タイムカードなく、PC記録やLINEが手がかり

ソニーのドバイ駐在員だった40代男性が2018年1月に心臓疾患で亡くなったのは、長時間労働による過労が原因だったとして、三田労働基準監督署が2月26日付で労災認定した。遺族とその代理人が3月15日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いて明らかにした。 男性は労災保険の特別加入者だったため、日本の労災が適用された。
男性の妻は「夫の命が突然失われたにも関わらず、社内では一切責任追及は行われていません。過労死というものが世界的に有名な会社でも起きているということを知ってもらい、二度と同じことが起こらないで欲しいと願います」と声を震わせながら訴えた。

弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_5/n_12694/

【主な活動報告】

1月15日 全国過労死を考える家族の会第82号発行:事務局
1月15日 過労死等防止啓発シンポジウム中央会場総括会議:WEB会議(zoom)
1月16日 過労死等防止対策推進7人協議会委員会議:WED会議(zoom)
1月16日 過労死防止全国センター幹事会:WED会議(zoom)
1月23日 全国過労死を考える家族の会世話人会:WED会議(zoom)
1月25日 過労死等防止対策推進協議会事前会議:Skype会議
1月26日 第18回過労死等防止対策推進協議会:東京新橋会場およびオンライン(zoom)併合
2月13日 遺児交流会準備会⑤:WED会議(zoom)
2月28日 遺児交流会:WED(zoom)
3月24日 第19回過労死等防止対策推進協議会:東京新橋会場およびオンライン(zoom)併合

【主な活動予定】

4月 1日 全国過労死を考える家族の会第83号発行:事務局
4月 17日 全国過労死を考える家族の会(臨時)世話人会:WED会議(zoom)

カンパのお願い

家族の会は皆様のカンパを主な活動原資として活動しています。
カンパのご協力をよろしくお願いします。

ゆうちょ銀行 店名 〇五八(ゼロゴハチ) 店番 058
預金種目 普通預金 口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会(ゼンコク カゾクノカイ)

 


【発 行】全国過労死を考える家族の会(2021.4.1発行)
【事務局】東京駿河台法律事務所内 TEL. 03-3234-9143
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町二丁目3番1号 岩波書店アネックス7F