全国過労死を考える家族の会

全国過労死を考える家族の会ニュース 第81号

実態に即した認定基準の改正が、パワーハラスメント・過労死の抑止力!

1.厚生労働省は、6月に「令和元年度、過労死等の労災補償状況」を公表しました。「脳・心臓疾患」の労災請求は、936件(うち死亡は253件)で前年より59件増え、認定率は、31.6%です。「精神障害」の労災請求は、2,060件(うち自死は202件)で前年より240件増え、認定率は、32.1%です。いずれも請求は増えているのに3割程度しか認定されない厳しい状況が数年続いています。とりわけ、精神疾患の請求件数は、10年前(2009年)の1,000人超えから、2019年は、2,000人超えの約2倍になり10年間増え続けているという異常な状況は、労働者の仕事による高いストレスが顕著に表れているものです。働く時間と場所の多様性、労働環境の変化や過重負荷で労災被災者が増え続けているのに認定基準の要件が限定的で厳し過ぎるため、対象疾病や過重負荷が適正に評価されていないことで労災認定基準の改正を求めています。

2.過労死弁護団全国連絡会議は、2018年5月厚生労働省へ、脳・心臓疾患および心理的負荷による精神障害の認定基準の改定を求める意見書を提出しました。労災認定の基本的な考え方、対象疾病の追加、認定要件の改定、過重負荷の定義、月65時間を超える時間外労働が認められる場合は心理的負荷は強の評価、11時間の勤務間インターバルの基準、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交代制勤務・深夜勤務などの改定案を明記し、裁判所における過重負荷の総合評価により労災認定された実状をふまえ、認定基準の適切な運用を徹底するよう求めしました。また、本年5月に「脳・心臓疾患認定基準改定の補充意見書、パワーハラスメントと精神疾患の認定基準に関する意見書、労災保険適用手続に関する緊急改善要請書」、判例、裁決書など(約230頁)を厚生労働大臣、厚労省担当部署へ提出しました。

3.厚生労働省は、今年5月、心理的負荷による精神障害の認定基準を改正しました。6月1日施行のパワーハラスメント防止法を踏まえて、精神障害の労災認定基準に関する専門検討会の報告を受け、「業務による心理的負荷評価表」に「パワーハラスメントの出来事」などが追加されました。また、6月に第1回「脳・心臓疾患」の検討委員会が開催され何度か重ね、今年度中に認定基準の改定がおこなわれる予定です。今年度は、新型コロナ感染症の危険性があるなか医療従事者やエッセンシャルワーカー(日常生活に欠かせない仕事)は激務になり、自粛生活でリモートワークの拡大など、労働者の仕事を取り巻く環境は大きく変わっています。時代の変化に合わせ実態に即した労災認定基準が求められます。そのためにも、過労死弁護団の提出した意見書を採用し、被災労働者や過労死遺族が請求する実態を適正に評価される労災認定基準に改正し、認定することで劣悪な職場環境を改善する。それがパワーハラスメント・過労死問題の抑止力になると考えます。

(全国過労死を考える家族の会代表  寺西 笑子)

全国過労死を考える家族の会世話人会 報告

日時:2020年7月18日(土)13:00~15:00
場所:WEB会議(Zoom)(1回目)
出席:玉木一成弁護士、事務局(重複者は省く):寺西、各地の世話人17名(欠席ナシ)、オブザーバー2名、計21名が参加しました。

・今回、新型コロナ感染対策のため、はじめてZoom使用の世話人会を行ないました。開催にあたり事前にホストの渡辺さんから数回にわたりZoom初心者へ丁寧にテストして頂き各地代表の接続状態もリアルに伝わりました。

・世話人会議は寺西代表の進行で活動報告があり、玉木弁護士から情勢を聴きました。昨年度の精神障害の労災申請が2000件を超え最多であったこと、脳・心臓疾患によるものが800件ほどで推移していたものが900件超えに増えているが認定率はさがっている。パワハラ防止法による精神疾患の専門検討委員会の報告書がまとめられ、6月パワハラ防止法が施行されパワハラの定義と指針が出た。パワハラ定義の中で、「執拗に」という文言があり1回の嫌がらせ、いじめを認めにくいもので問題がある。今年度は脳・心臓疾患の専門検討委員会が進められている。複数職場の合算や高齢労働者問題など課題が多い、来年認定基準がどう変わるか正念場になっている。

・協議事項は、11月の統一行動について議論しました。今年はコロナ禍の影響で宿泊など各自が準備する。集合場所の弁護士会館は使用できるかどうか確認してから連絡する。要請行動の参加者は連絡する。昼の宣伝行動は検討中。中央シンポ参加者も連絡する。翌日の総会参加者も連絡する。総会会場は全労連会館3階の会議室。

・今回はじめての取り組みで、シンポジウムの開催前に・中央会場、愛知会場、大阪会場の3会場で心理の相談会を開催します。対象者は各地元の家族の会会員です。

・事務局の報告、会計担当→予算どうりで推移している。遺児交流会担当→日程は12月26,27,28日、会場は、「つま恋掛川」で計画中。

・今後の予定を確認して終了しました。今後につながる試みだと皆さん笑顔で感じていました。

(書記、静岡家族の会 尾崎 正典)

日時:2020年9月5日(土)13:00~15:00
場所:WEB会議(Zoom)2回目
出席:玉木一成弁護士、事務局(重複者は省く):寺西、各地の世話人15名(欠席2名)オブザーバー2名、計19名が参加しました。

新型コロナウイルスの感染防止のため、第2回目のWEB会議を開催しました。
第1回目の世話人会に続き、寺西代表の進行で各議題が進められました。

1.全国家族の会統一行動について

11月11日(水)9:50 弁護士会館(未定)集合、10:30~要請行動(厚労省・基金本部)、12:00~ビラ撒き宣伝行動(未定)、イイノホールへ徒歩移動、14:00~17:00中央シンポジウムに参加。
11月12日(木)9:30~12:00まで全国家族の会総会(全労連会館3階会議室)

・注意事項:厚労省要請文の送付先は小池宣子さん、基金本部要請文の送付先は工藤祥子さん。
要請行動、シンポジウムについては、コロナウイルス感染防止のため通常開催は難しく、人数制限(参加券)があるため、必ず、世話人へ参加の申し込みをしてください。

2.全国家族の会総会(案)について

代表世話人(案)、事務局(案)、各世話人(案)、議題、進行等を確認しました。

3.遺児交流会について

12月26・27日 静岡県「つま恋リゾート」にて3コースを検討中。ご案内は、9月末に世話人会MLに出すとのこと。

4.各地の報告

各地の家族会の皆様も今年2月ごろから新型コロナウイルスの感染の影響で総会や例会等が延期になり例年通りの活動ができなくなっております。東京は8月の総会を延期、神奈川は書面での総会を実施しました。福岡家族の会では、WEB会議で活動しており、2月からホームページを立ち上げた。など、各地の世話人から報告がありました。

(書記、宮城家族の会 児玉 政昭)

2020年度全国過労死を考える家族の会統一行動タイムスケジュール

1日目日程:11月11日(水)要請行動~中央シンポジウム

9:50~ 集合、打ち合わせ会場:弁護士会館5階(未定)
10:10~ 厚生労働省へ移動。
10:30~ 厚生労働省・地公災基金本部要請
12:00~ ビラ撒き宣伝行動:厚生労働省前(未定)
12:30~ 厚労省前~イイノホールへ徒歩移動→各自昼食
14:00~(13:30開場)啓発シンポジウム開会
17:00  終了

2日目日程:11月12日(木) 全国過労死を考える家族の会総会

9:30~12:00 総会・交流会場所 平和と労働センター・全労連会館 3階
〒113-0034 東京都文京区湯島2-4-4
TEL:03-5842-5610 FAX:03-5842-5609
アクセス http://www.zenrouren-kaikan.jp/kaigi.html#08

過労死家族の会の取り組み~公務災害部門~

過労死家族の会の被災者には、いわゆる民間企業で被災した方(労災)以外に、公務員で被災した方(公務災害)のご遺族もいらっしゃいます。

私も夫が公立中学校の教師で過労死をしたために、労災ではなく公務災害を経験しました。地方公務員の公務災害は、労働基準監督署ではなく地方公務員災害補償基金に申請をしたり、被災時の所属長を通さなくては申請出来ないなど、遺族、被災者にとっては分かりにくく、申請のハードルが高いものとなっているためか、家族の会の中でも公務災害申請をされる方の数は労災に比べて多くはありません。

過労死家族の会では30年にもわたって毎年11月に厚生労働省と地方公務員災害補償基金に迅速で公正な労災・公務災害認定を求めて要請行動を行っています。

公務災害の遺族は所属長を通さないと申請出来ないというハードルをなくすことや、認定基準を明確にすること、遺族、被災者の聴き取りを丁寧にすることなどを要請してきました。

過労死等防止対策推進法ができたことにより、過労死等防止対策推進協議会に総務省や文部科学省、人事院など厚生労働省以外にもご出席いただけることとなり、協議会の場でも意見を述べたことで、今までなかなか実態が分からなかった公務災害の補償状況が白書に掲載されるようになりました。また、過労死等の防止のための対策に関する大綱において、過労死等が多く発生しているとの指摘がある重点職種として「教職員」が取り上げられ、公務災害として認定されなかった事案や、公務災害認定事案の分析、労働・社会面の調査も行われ、今まで把握されていなかった教職員の過労死等の実態について公表されるようになったことは大変大きな最初の一歩となりました。

私自身は教職員の遺族ですが、協議会において、国として把握されていない教職員の過労死等を調査して原因を調べ防止に繋げてほしいことや、相談体制の状況について教えてほしいことを発言したところ、文部科学省で初めて「公立学校の教師等の勤務条件、健康障害及び公務災害認定に係る相談窓口の設置状況に関する調査」を行って頂き、その結果や結果に係る留意事項についての通知も出されたことは、過労死等の防止の重要性をより一層重く受け止めて頂いたと遺族として心強く感じました。

また、地方公務員の公務災害補償を担っている地方公務員災害補償基金の過労死等防止対策推進に係る取り組みや周知・啓発等も充実してきたと感じています。

全国過労死を考える家族の会 公務災害担当
工藤 祥子
(令和2年版 過労死等防止対策白書 コラム21に掲載)

各地の報告

北海道過労死を考える家族の会 報告

北海道家族会の活動は、皆様の地域と同じくコロナ禍の影響により家族交流や裁判傍聴支援などに支障をきたし活動を控えておりますが、7月に世話人会を開催し次の事を確認しました。

① 10月に家族の会通信を発行し道内の会員の皆様と情報共有を行う。
② 過労死弁護団に登録している弁護士、過労死等事案に携わっている弁護士事務所に「全国過労死を考える家族の会のパンフレット」を置いていただき必要な方へお渡ししていただくようにお願いをする。

また、北海道「過労死等防止対策推進シンポジウム」は。11月27日(金)に決定したので過労死防止北海道センターと協力して過労死遺族体験報告などの準備を進めています。

会員の裁判では、Iさんの2017年より係争中である「吃音のある看護師パワハラ自死事件労災不支給決定取り消し訴訟」の行政裁判判決が10月14日に予定されております。
北海道でも報道される過労死事案が後を絶たず、現在2組の方が家族の会に入会を検討されている状況です。

コロナ禍もあり私たちを取り巻く労働情勢は大変厳しいものになっていると感じますが、過労死のない社会になるように地域での活動を続けていきます。

(村山 百合子)

東京過労死を考える家族会 報告

東京家族会では3月31日付で2名の労災が認定されました。お二人とも厚労省交渉等で全国の皆様とご一緒に闘ってきました。ご支援ありがとうございました。

東京家族会のKです。今年の3月31日付で労災認定されました。数年間は悲しみや夫への謝罪の気持ち、反対に見捨てられた絶望感など複雑な思いがありました。しかし、家族会や支援の方々が、ひどい働かせ方をした企業の問題であり家族は全く悪くはないと言ってくださったおかげで闘うという決心ができました。現在、会社に対して私たち家族への直接謝罪と当時のパワハラ上司の解職を求めています。健康で働くことが当たり前になる社会を願っています。応援ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。

岩手の豊田です。今年3月31日、労災不支給処分が審査官の決定により取り消し相当になりました。当然な事ですが基準に合わなければならず、息子の自死に関して私共が痛感した事は、弁護士先生に恵まれ又私達も、認定基準の知識、資料など調べ、基準に合う証明・証拠を集め弁護士先生のお力添えをいただき諦めずに、行動に移した事です。勿論、各自の事情が在ろうかと思いますが、家族の会の皆様が心の支えになりました。

(渡辺 しのぶ)

神奈川過労死を考える家族の会 報告

神奈川過労死等を考える家族の会は5月25日に結成4年目を迎えました。

5月28日に総会の予定でしたが、コロナが猛威を振るう中、命や健康を大切にする会の方針のもと、総会を書面決議とさせて頂きました。おかげさまでご承認いただき、今年度をスタートさせて頂きました。この様な状態のもとでの初めての総会準備は戸惑うことばかりでしたが、無事に新年度をスタートさせられてほっとしております。

しかし会員の皆さまとも1月の交流会以降お会いすることができず、また新たに新会員さんを3名お迎えしたばかりだったので、なんとか総会はと準備を進めていただけに大変残念でした。

この様な中で、8月には初めてオンラインで世話人会を行ないました。各会員さんとの繋がりをたやすことなく、孤立にならない為にはどうしたら良いか、交流会のあり方などを中心に話し合いを行い、オンライン環境の有無や交流会の持ち方を会員の皆さまと考えていこうという事で9月以降、新たに取り組んでいきたいと思っております。予想もしない状況で、これからはどの様な状態でも繋がりを止めない様な体制を取らなくてはと痛感し、顔を合わせて話ができる幸せさを再確致しました。

(工藤 祥子)

長野過労死を考える家族の会 報告

長野でもコロナの罹患者が、ここにきて急増しています。そのため年度当初予定していた「長野家族の会総会」も開催の見通しが立っておりません。

過労死は身近なところでも起こっており、昨年より30代の男性(2件)で共に過重労働やパワハラで追い詰められ自死された遺族の方々の支援(相談)を続けています。

「小池労災損害賠償裁判」は裁判開始から3年が過ぎました。この間裁判所の指示で被告会社からメールの資料が多く提出され、苛酷な過重労働・パワハラの実態が更に詳しく分かってきました。コロナの影響で裁判が開けず長引いてしまっておりますが、今後も皆様のご支援をよろしくお願い致します。

(小池 宣子)

山梨過労死を考える家族の会 報告

「山梨・過労死と労災問題を考える会(山梨・家族の会)」は、前事務局の保坂忠史さんがご他界されたことで、深澤に引き継がれております。深澤は保坂さんと同じく「働くもののいのちと健康を守る山梨センター(いの健・山梨)」の事務局も兼任しております。この4月まで教員であったことから、また現在のコロナ禍で家族会が開かれておりません。この状況を打開すべく、毎月定期的に家族会通信を発行し、会員に届けております。特に、芦澤さんご夫妻のご子息が19歳で会社内モラハラにより自死された事件をお知らせしました。昨年12月に会社側と東京高裁で和解成立。会社側の労務改善を約束させたことは大きな成果です。引き続いて、労災認定に向けて闘っておられます。7月と8月に「上申書」を携えて、最高裁判所の事務局に直接手渡しました。

大手通信事業所勤務、野中さんの勤務中死亡事件は、最高裁まで闘いましたが、労災認定は叶いませんでした。しかし、事業者側に対して、安全配慮義務違反を問う損害賠償請求権は残されています。奥様は「夫は、なぜ死ななければならなかったのか、真相は会社側にある。」と言われています。提訴に山梨家族の会は支援していきます。

11月25日(水)に、恒例の労働局主催シンポジウムが開かれます。山梨家族の会から、報告がなされます。18時に開場、甲府駅北口徒歩2分の「ベルクラシック甲府」です。ご予約の上、ご参加をよろしくお願いいたします。コロナに負けず、連帯してがんばります。

(深澤 佳人)

静岡過労死を考える家族の会 報告

令和2年度のシンポジュウムは静岡市民文化会館の大会議室で11月4日に1時30分より計画しております。静岡労働局から過労死防止の取り組みとその実践事例についてのお話を依頼して検討をしていただいております。

去年は過労死防止の補助金制度を詳しくお話しいただき、事例紹介も保育園の事例を聞かせていただきました。今年はコロナ対策にかかわる過労死の危険などお話しいただけるかもしれません。今年の講演は川人弁護士に電通過労死事件を取り上げていただき、高橋様にもお話しいただきます。静岡市役所過労死事件の報告も去年に続いてお願いしております。静岡では恒例になっています。事前配布の資料、ポスター、パンフレットは500カ所の企業、大学、高校、図書館を選定し労働局の封筒と鏡文章を付けて読んでもらえるように配布郵送を計画しております。

8人の提言や、最新の厚労省の過労死に関する文章も17頁にわたり掲載しております。コロナで会議が開きにくい中Zoomでの会議も行ないながら協力的に準備が行なわれています。

(尾崎 正典)

名古屋過労死を考える家族の会 報告

新型コロナ。今まで経験したことの無い、「緊急事態宣言」「外出自粛」で、職場にも生活にもそして裁判にも影響が出ています。名古屋でも日にちの延期や傍聴人数の制限があり、係争中の方々の精神的負担は相当なものだと思います。中でも判決延期は辛い事です。1名は一カ月遅れで判決を迎えましたが、もう1名は8月28日現在まだ日程の連絡がきていません。8月24日に新しく会員になられた方の民事裁判が始まりましたが、その時の裁判長も相当コロナを気にされていました。終息を見るまで色々制限がかかりそうなので、一層心労が増える事と思いますが、皆さん体調を崩さず頑張って頂きたいと思います。

名古屋のシンポジウムは11月17日(火)名古屋国際センター別棟ホールで開催されます。こちらもコロナの影響で人数の制限があり、例年の半分以下の募集になりますが6月に始まった「ハラスメント防止対策」について、労働局・弁護士そして寺西代表にそれぞれお話をして頂きます。一向に無くならない「ハラスメント」を防止するにはどうしたらよいのか、今回のシンポジウムを通じじっくりと考えて頂けたらと思っています。

(伊佐間 佳子)

京都労災被災者家族の会 報告

京都家族の会総会を2月に開催しました。新型コロナの流行で、春のお花見例会、過労死110番宣伝行動など、それ以降の家族の会の行事はすべてキャンセルです。

総会では、息子さん(享年42歳)の行政裁判の判決を3日後に控えた井上さんが不安な気持ちを話され、「控訴するのかな・・・」と独り言のような言葉が心に残りました。2月12日、福井地裁の勝利判決が確定しました。判決では長時間労働、パワハラなどが認められました。多くの方々のご支援に深く感謝いたします。井上さんには疲れ果てて心身ともに傷ついた息子さんの姿があります。全国的にみて大きな勝利を手にしても、遺族の心はすぐには癒されることはありません。

総会に参加された、息子さんを亡くされたAさんは昨年10月に申請してからまだ労働基準監督署から結果を受け取っていません。丁寧な審査を望むところですが、待っている時間が苦しいことは、みんなが経験するところです。早く朗報を受け取りたい、みんなで集まってわいわい交流できる日が来てほしいと強く望みます。

(中嶌 清美)

大阪過労死を考える家族の会 報告

大阪はコロナの感染者の人数が減ることなくまだまだ油断の出来ない状態が続いています。そのため、毎月開かれていた世話人会、例会、毎年4月に開かれていた大阪家族の会の総会、6月の過労死110番宣伝行動も中止となりました。

5月に、いわき総合法律事務所の方でZoomを用意して下さったおかげで、今年初めての世話人会を開くことが出来ました。この日、代表の小池さんが辞任されました。小池さんは7年という長い間大阪を引っ張って下さっていました。本当にありがとうございました。

6月には今年初めてのZoomでの例会を開くことができました。
新しい5組の御家族が参加して下さいました。今はコロナ禍もあり毎月例会を開くことは出来ませんが、しっかり支援していきたいと思います。

11月16日(月)に大阪過労死等防止シンポジウムが行われます。大阪過労死の会から2名の遺族の方が発言してくださいます。ご支援のほど何卒よろしくお願い致します。

(栄 志津依)

兵庫過労死を考える家族の会 報告
移動時間の一部を労働時間と認定

2017年10月朝、私の夫は自宅で眠ったまま亡くなっていました。診断は心臓性突然死。日中現場で作業、深夜帰宅してさらに仕事、と働き続け、疲労困憊していく姿を間近で見ていた私は、これは過労死だと確信し、労災申請に踏み切りました。

そして2020年4月、多くの方にご尽力頂き、お陰様で労災申請が認められました。
夫は、仕事道具を積んだ車で職場に向かっており、また道中で同僚を乗せる等していたため、移動時間の一部も労働時間と認められ、最も多い月で残業時間が197時間。こちらの申請よりも多く労働時間を認められた結果となりました。最初は安堵したものの、夫が、異常な長時間労働を課せられ亡くなった事実を改めて目の当たりにし、彼の辛さを思うと涙が止まりませんでした。今後、二度とこんな酷い事が起きぬよう、夫が勤務していた会社には、長時間過重労働の事実を認め、労働環境を改善するよう強く求めて参りたいと思います。

労災が認められても夫は帰ってきません。子供達は二度とパパに会えません。パパに話したいことがいっぱいある、と言う子供達を、慰め、家族で支え合いながら精一杯進んで行こうと思います。今後ともどうぞご支援をよろしくお願いいたします。

(兵庫家族会 会員K)

岡山過労死を考える家族の会 報告

岡山では,11月26日(木)に岡山国際交流センターイベントホールにおいて14時からシンポジウムを行う予定です。今回の講師は,昨年北海道で公演され,好評だった,今ではTBSの朝番組で毎週金曜日に出演している『せやろがいおじさん』こと榎森耕助氏(芸人)に講演を行って頂く予定です。そして,遺族の訴えは,NHK事件の佐戸恵美子さん(東京家族会)にお願いしています。私としては,大勢の方に来て頂きたかったので『せやろがいおじさん』を提案したのですが,今回のこのコロナ騒動で,定員の3分の1しか入場させることができずに非常に残念です。しかし,この『せやろがいおじさん』が岡山に来るという話が広がりすぎたら,会場がパンクするのではと労働局と共に頭を悩ませられています。もし,岡山で『せやろがいおじさん』の講演が聴きたいという方いらっしゃれば,予約して聞きに来て下さい。

(中上 裕章)

東四国過労死を考える家族の会 報告

ご自身の過酷な労働実態の解明、公平、公正であるべき行政の在り方を問い、2017年高松地裁に提訴した「労災認定」を求める行政訴訟も、6月16日判決の日を迎えました。2カ月延期での待望の判決は、予想に反した「敗訴」。裁判所は、労基署の審査内容をそのまま採用した形で、寳田さんが新たに提出した労働時間のメモ等を全く考慮に入れないものでした。これには、寳田さんはもちろん弁護団も支援のだれもが、憤りと嘆きの空気に包まれました。

この判決の何が問題かというと、労基署がタイムカードのみで労働の状況を把握しようとしている点です。寳田さんのように管理職として働き、タイムカードに記載されない業務内容は、無視される!労働者の実際に働いた証拠を、幅広く捉えていくことが今後労基署には求められます。この判決は、今の社会の流れに逆らう『悪しき判例』として、私たちの記憶に残るものとなるでしょう。ご自身の年齢や様々な事情から控訴するか悩んだ末、寳田さんは控訴の意志を固めました。この裁判の中にある社会的意義を今一度私たちもしっかり学び、これからの支援につなげたいと思います。【寳田裁判支援者の声】

(大島 照代)

福岡過労死を考える家族の会 報告

福岡県ではコロナ感染者数の増加が顕著で収束まではまだしばらくかかりそうです。ただ、この状況下だからこそ「歩みは止めず」にと福岡家族会ではZoomでの会議を月に1回開きホームページ記事の内容について議論し、その時々に合う記事をホームページに発信しています。

月一度程度更新しています。是非ご覧ください。( https://zinnia-q.com/ )
このコロナ禍で日々のニュースでは、過労死に繋がりかねないほど過重労働を強いられている方々について、また倒産、不当解雇の内容が多く報じられています。私たち遺族はこのようなニュースにとても敏感です。そして不安感も募ります。福岡家族会では、自粛生活で不安感を抱える遺族の方々が孤独にならないよう過労死遺族である代表と遺族がネットを通し繋がり始めています。今後は遺族同士が気持ちの共有が出来る場所づくり、Zoom交流会など実施していきたいと思っています。皆さまどうぞご支援の程よろしくお願いいたします。

【福岡家族会今後の予定】
2020年11月6日 過労死防止対策シンポジウム福岡

(安德 晴美)

東九州過労死を考える家族の会 報告

コロナ禍で、自粛生活が続いていますが、7月6日に宮崎の弁護士による「ハラスメント学習会」に参加させていただき、久しぶりに宮崎の家族会関係者と交流することができました。

家族会員の近況としては、三件の和解が成立しましたのでご報告いたします。
4月に、長崎の過労自死事件、6月に大分の佐藤久恵さんのご子息の過労自死事件、7月に長崎の過労死事件がそれぞれ、和解が成立し解決いたしました。

長崎の被災者は、どちらも医療従事者で、お一人は、長崎大学附属病院、もうお一人は、長崎みなとメデイカルセンターに勤務されていました。どちらの事件も、奥様と幼いお子様を残して父親が亡くなるという悲しい事件でした。お子様たちの健やかな成長を祈らずにはいられません。

大分の事件は、佐藤幸信さん(31歳)が、(株)SCCから出向して、筑波で衛星管制業務に携わり、上司のパワハラによる長時間過重労働で自死した事件です。「和解」ではなく、あえて「合意」という言葉で解決内容を報告された佐藤さんは、ご子息のような悲惨な過労死を無くすために、過労死防止活動を続けていくことを家族会にご報告下さいました。

(桐木 弘子)

毎年11月は、「過労死等防止啓発月間」です!

過労死等防止対策推進シンポジウムは、47都道府県48会場(東京は2会場)開催します。
詳細はコチラ https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/

【北海道エリア】
北海道会場11月27日(金)

【東北エリア】
青森会場11月18日(水)
岩手会場11月20日(金)
宮城会場11月4日(水)
秋田会場12月3日(木)
山形会場12月1日(火)
福島会場11月10日(火)

【関東エリア】
茨城会場11月9日(月)
栃木会場11月16日(月)
群馬会場11月5日(木)
埼玉会場11月24日(火)
千葉会場11月30日(月)
東京中央会場11月11日(水)
東京立川会場11月13日(金)
神奈川会場11月4日(水)

【中部・北陸・信越エリア】
新潟会場11月19日(木)
富山会場11月26日(木)
石川会場10月29日(木)
福井会場10月27日(火)
山梨会場11月25日(水)
長野会場11月30日(月)
岐阜会場11月4日(水)
静岡会場11月4日(水)
愛知会場11月17日(火)

【近畿エリア】
三重会場12月1日(火)
滋賀会場11月6日(金)
京都会場11月20日(金)
大阪会場11月16日(月)
兵庫会場11月5日(木)
奈良会場11月13日(金)
和歌山会場12月4日(金)

【中国・四国エリア】
鳥取会場11月24日(火)
島根会場11月25日(水)
岡山会場11月26日(木)
広島会場11月9日(月)
山口会場11月20日(金)
徳島会場11月19日(木)
香川会場11月27日(金)
愛媛会場11月30日(月)
高知会場11月24日(火)

【九州エリア】
福岡会場11月6日(金)
佐賀会場11月18日(水)
長崎会場11月21日(土)
熊本会場11月27日(金)
大分会場11月5日(木)
宮崎会場11月17日(火)
鹿児島会場12月4日(金)

【沖縄エリア】
沖縄会場12月10日(木)

【お問い合わせ先】
厚生労働省シンポジウム事業受託事業者(株)プロセスユニーク
専用フリーダイヤル 0120-562-552(月~金 9:00~17:00)

全国過労死を考える家族の活動

【主な活動報告】

4月 1日  全国過労死を考える家族の会ニュース第80号発行:全国家族の会事務局
5月 26日  中央シンポジウム準備会①:WEB会議(Zoom)
6月 2日  遺児交流会準備会①:WEB会議(Zoom)
6月 8日  シンポジウム相談会準備会:WEB会議(Zoom)
7月 1日  過労死等防止対策推進協議会委員事前会議:厚生労働省
7月 2日  第16回過労死等防止対策推進協議会:TKP新橋カンファレンスセンター ホール
7月 3日  過労死防止周知啓発事業準備会議:WEB会議(Zoom)
7月 8日  中央シンポジウム準備会②:WEB会議(Zoom)
7月 10日  遺児交流会準備会②:WEB会議(Zoom)
7月 11日  過労死防止全国センター総会:WEB会議(Zoom)
7月 18日  全国家族の会世話人会:WEB会議(Zoom)
8月 4日  遺児交流会準備会③:WEB会議(Zoom)
8月 22日  全国世話人交流会(任意):WEB会議(Zoom)
9月 5日  全国家族の会世話人会:WEB会議(Zoom)
9月 16日  中央シンポジウム準備会③:東京駿河台法律事務所
9月 19日  過労死防止学会第6回大会:(名古屋)安保ホール及びWEB(Zoom)にて参加

【主な活動予定】

10月 2日 過労死弁護団全国連絡会議総会:埼玉県
10月 24日 遺児交流会準備会④:WEB会議(Zoom)
11月 11日 全国過労死を考える家族の会統一行動:東京
11月 12日 全国過労死を考える家族の会総会:東京

カンパのお願い

家族の会は皆様のカンパを主な活動原資として活動しています。
カンパのご協力をよろしくお願いします。

ゆうちょ銀行 店名 〇五八(ゼロゴハチ) 店番 058
預金種目 普通預金 口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会(ゼンコク カゾクノカイ)

 


【発 行】全国過労死を考える家族の会(2020.9.25発行)
【事務局】東京駿河台法律事務所内 TEL. 03-3234-9143
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町二丁目3番1号 岩波書店アネックス7F