全国過労死を考える家族の会

全国過労死を考える家族の会ニュース 第89号

万博関連工事従事者の残業規制適用除外は、断固反対
「しごと より、いのち」です!

報道によれば、2025年4月13日から10月13日(183日間)大阪市夢洲(人工島)で開催される大阪・関西万博「テーマ・いのち輝く未来社会のデザイン」において、海外参加国の契約が進まないことで海外パビリオンの建設工事を巡り、7月27日大阪・関西万博協会は政府へ来年4月に適用される上限規制(2024年問題)について、万博関連工事従事者は残業規制から除外し適用しないよう要望しました。翌7月28日西村経済産業大臣は会見において、様々な課題について総合的に検討を行っていると発言しました。

上記の対応を巡り8月3日過労死弁護団全国連絡会議は、大阪・関西万博への労働時間規制適用除外に対し抗議声明および意見書を発出し即時に撤回することを求めました。意見書の添付資料に2017年新国立競技場建設工事過労自死事件の掲載記事とご遺族のメッセージがありました。事件の内容は、2020年東京オリンピックのメイン会場・新国立競技場の建設工事に従事していた新入社員の男性(23歳)現場監督の過労自死事件で新宿労基署は、月190時間の時間外労働と深夜労働などで慢性的な睡眠不足と極度のストレスで精神疾患を発症したことが原因として労災認定しました。しかも労働時間管理は適正にされておらず、勤務報告書の労働時間は実態を反映していないことで建設現場の入退場記録や関係者の証言から認定したとのことでした。

ご遺族は、万博建設労働者への残業上限規制が適用されないことへの不安から「息子のような犠牲者を再び出さないでください」と切実な願いをメッセージの中で訴えておられます。

【啓発ポスター】しごとより、いのち。

【啓発ポスター】しごとより、いのち。

東京オリンピック建設現場では4名もの尊い命が奪われました。国際組織は建設現場に関わった作業員4名の犠牲は異常だとして深刻に対応すべきだと指摘しています。2017年新国立競技場建設工事過労自死事件については、当初のデザインが変更になり大幅に建設工事が遅れたことが原因で現場の労働者に長時間過密労働が強いられ、建設工事従事者にしわ寄せが集中しました。この構図は、今の大阪・関西万博建設工事の遅れとまったく同じ道を辿っています。東京オリンピック建設現場と同じ過ちを二度と繰り返えさないためにも、建設工事従事者の残業規制適用除外は、断固反対します。

国が掲げる過労死等防止のスローガン
「しごと より、いのち」

代表世話人 寺西 笑子

全国過労死を考える家族の会世話人会 報告

【 1月14日(土)13:00~15:00 zoom会議 】

出席18名:弁護士(2)事務局(1)各地代表(15) ※書記:大島(東四国)

  1. 松丸弁護士より、2022年11月29日「事業主に過労死等の業務災害支給処分取消の原告適格を認めた」東京裁判判決を最高裁で確定させないための取り組みが必要。
  2. 玉木弁護士より、「最近の労災行政等に関する意見と要望」議員連盟総会報告
  3. 「労災保険取り消し訴訟裁判」に対する行動予定(院内集会、要請、署名活動など)
  4.  全国家族の会世話人会に対する提案、全国家族の会の会員資格について
    ・正会員は「被災者の遺族、療養被災者の家族、療養被災者本人」のみとする。
    ・各地の会員で、「被災者の遺族、療養被災者の家族、療養被災者本人」以外の会員は、全国家族の会「正会員」とは扱わない。
    ・全国家族の会の【総会・世話人会】に出席し【発言・議決権行使】をすることができるのは正会員だけとする。
    ・全国家族の会は、重複所属会員の「特定家族の会」だけから会費納付を受ける
    ・重複所属会員は、【全国家族の会総会・世話人会】には、「特定家族の会」だけから出席、【発言・議決行使】できる。等々、会員資格や重複所属会員についてなど、1月14日の全国世話人会で代表世話人から提案、承認された。今後の進め方として7月末までに重複所属会員は特定家族の会を選択し9月の世話人会で報告する。

【 3月18日(土)13:00~15:00 zoom会議 】

出席18名:弁護士(2)事務局(1)各地代表(15) ※書記:尾崎(静岡)

  1. 野々山氏(プロセスユニーク)より、オンライン相談室について報告と周知のお願いをされた。
  2. 松丸弁護士より、「令和5年1月31日付け厚労省通達」「メリット制の対象となる特定事業主の労災保険料に関する訴訟における今後の対応」について
  3. 玉木弁護士より、精神障害の労災認定基準に関する専門検討会の進捗について
    第11回検討会(1月31日)第12回検討会(3月7日)に過労死弁護団から意見書提出された。その内容についての報告
  4. 「過労死等防止について考える議員連盟役員会」が3月28日開催される。
    労災保険取消し訴訟弁護団、過労死弁護団、家族の会、防止学会、いの健全国センターが参加。最高裁要請について、議員連盟、厚生労働省と意見交換し頑張って頂くよう連携をはかる。
    要請行動・集会など検討。
  5. 11月の統一行動の準備、総会・交流会会場の候補など検討した。

【 5月13日(土)13:00~15:00 zoom会議 】

出席19名:弁護士(2)事務局(1)各地代表(15) ※書記:中嶌(京都)

  1. 教師の働き方と家族の会の対応について。
    ・工藤さんより、平成18年教師勤務実態調査で、小学校の教員3~4割、中学校の教員6~7割が過労死ライン超で働いている、給特法があるので賃金に反映されない。自民党の特命委員会にて給特法は4%から10%(月20時間)という提案があった。これでは働かせ放題の状況は変わらない。家族の会で提言が欲しい。
    ・ 松丸弁護士より、給特法はあるが労働時間をカードで管理しなければならない。給特法が設けられた当時は、月の平均残業が8時間だったが、現在は80時間である。10数件公務災害認定されている。家族の会での提言が必要である。
  2. 「労災支給決定取り消し訴訟」最高裁要請について
    ・玉木弁護士より、最高裁へ陳述書(上申書)の提出案が出された。

【 7月1日(土)13:00~15:00 zoom会議 】

出席19名:弁護士(2)事務局(1)各地代表(15) ※書記:小池(大阪)]

  1. 「労災支給決定取り消し訴訟」最高裁要請の取り組み
    ・玉木弁護士より、「上申書・陳述書」の依頼文について
    上申書や陳述書の作成方法、提出方法、期限について説明がありました。
    提出方法(郵送)提出先(東京駿河台法律事務所)
    提出期限(第1次集約7月31日、第2次集約8月31日)
    ・松丸弁護士より、令和4年度「過労死等の労災補償状況」について
    脳・心臓疾患に関して認定基準改定後となり他の要因を考慮し時間外労働が60~80時間での認定数が増加したことを注目すべき点である。しかし5割~6割の申請者が切り捨てられているため目を向けていきたい。精神疾患は30%の認定を保っている。精神の認定基準は今年中に改正される来年、再来年の認定にどう変化するか注目したい。
  2. 重複会員は8月末までに連絡する。

【 9月2日(土)13:00~15:00 zoom会議 】

出席者17名:弁護士(1)事務局(1)各地世話人(14) ※書記:福永(兵庫)

  1. 玉木一成弁護士より、「労災支給決定の取消し訴訟」最高裁要請の取り組みについて
    上申書、陳述書の第1次集約は34通。8/18最高裁への補充書面に添付した。
    第2次集約は9通。合計43通を提出し、一旦締め切ります。御協力ありがとうございました。
  2. 大阪・関西万博協会からの労働時間規制除外について
    過労死弁護団は8/3「大阪・関西万博への労働時間規制の適用除外を求めたことへの抗議声明」で、労働時間の規制を除外しなければ間に合わないのであれば、開催の中止も考えるべきだと強く抗議し、意見書と抗議声明をだした。
  3. 9/1心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正した
    発症前6ヶ月の出来事を整理し具体例にカスタマーハラスメントを入れている。発症後の増悪事案は「異常な出来事」がなくても「著しく過重な出来事」があれば労災認定する余地を認めている。全体として大幅な改正ではない、過労死弁護団総会で討議する。
  4. 全国家族の会統一行動の日程を確認。(詳細は11頁に掲載)
    【1日目】中央シンポジウム 
    11月8日(水) 開場13:30 開会14:00~17:00
    申込みは、各自でネットから申し込む ※現在、受付中(可能ならA会場を選択)
    >過労死等防止対策推進シンポジウム申込み
    https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/
    【2日目】要請行動、総会・交流会 
    11月9日(木) 要請行動  9:50~(集合:弁護士会館)
    総会・交流会  13:30~16:30
    総会・交流会会場:千代田区立日比谷図書文化館スタジオプラス(小ホール)
    〒100-0012東京都千代田区日比谷公園1-4 TEL:03-3502-3340(代表)
    https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/
    アクセス:東京メトロ 丸の内線・日比谷線「霞ケ関駅」B2出口より徒歩約3分

オンライン相談室

遺児交流会報告 報告

2022年の遺児交流会のご報告を致します。夏開催の予定で準備を進めておりましたが、コロナ感染者が全国的に急増し、児童・生徒の感染も増加傾向にあったため、楽しみにしていた子どもたちには申し訳なかったのですが、直前に延期の決定をしました。そして、感染者数がある程度落ち着いた12月24、25日に群馬県水上町で開催されました。急な延期でしたが、冬開催となったためスキーができることになりました。開催日頃は冬型の気圧配置となり、気象状況の交通機関への影響が心配されましたが、それでも全国各地から参加者が集まりました。当日は大雪で、駅を出たら白一色でした。オープニングセレモニーで各家族紹介をした後、大人と子どもに分かれての話となりました。大人はこの一年の出来事や、悩み、子育ての心配事などを語り合いました。

過労死遺族は、子どもに過労死のこと、自死のことなどを話すタイミングや、どこまで話すかなど、それぞれが問題を抱えています。この一年の間に子どもに、「お父さんが亡くなった原因や過労死のことを伝えることができた」という話を涙ながらにしてくれた参加者がいました。過労死は起こった時から様々な付加的問題が発生しますが、子どもを育てている家族にとっては認定をとるまでの苦労はもちろん、認定をとれても、子どもにどう伝えるかの苦悩、成長に伴う進学、そして仕事選びの時など、ずっと心配事が続きます。この会で同じ体験をした人の意見を聞き、少しでも将来の見通しが持てるようになると、気持ちが軽くなると思います。

子どもたちは年齢の低いチームと高いチームに分かれて、それぞれの活動を行いました。小さい子たちは、お絵かきや粘土などで久しぶりに会った仲間と大騒ぎしていました。大きい子のうち希望者は、成人した遺児の話を聞き、自分のことを話す、という時間をとりました。親が一人の家庭にとって、年長の子どもは、お母さんを支えたり、下の兄弟の世話をしたりと、なかなか自分のことまでゆっくり考える時間が持てないことが多いです。この時間に少し先をいく遺児の話を聞いて、自分自身の好きなことや将来のことなどについて考える時間を持つことができたらと願っています。

その後、小さい男の子たちは、大きくなった子どもたちにお風呂に入れてもらい大はしゃぎしていました。翌日は雪の降る天候でしたが、子どもたちは張り切ってスキー場行きのバスに乗り込んでいきました。また、いちご狩り・クラフトチームも出かけていきました。その間に、お母さんたちは分かち合いと、子育て、子供の心理、ひとり親家庭の公的支援、年金について学ぶ時間となりました。夕ご飯の後はクリスマスということもあり、サンタも登場して大ビンゴ大会となり、子どもたちは大盛り上がりでした。以下は参加者からの感想です。

『昨年度も大雪でしたが、今年もスキーをする子供たちにとっては雪に恵まれました。娘は前回に引き続き2回目のスキーです。「寒かったけどサラサラの雪で楽しかった!」とのこと。私一人でスキーに連れていくことは難しいので、とてもありがたい経験です。わが家が初めて遺児交流会に参加したのは9年前の娘が年長の時。クリスマスを控えてキラキラと輝くホテル。暖かいロビー。子供たちのはしゃぐ顔。心身ともに解きほぐされた記憶が残っています。現在子供たちと母親は、別のプログラムを行っています。今回は、子供たちがスキーなどを楽しんでいる間、私たちは子供たちの成長に連れて出てくる問題や、年金等について話し合ったり、専門家の先生のお話を聞いたりしました。普段なかなか口に出すことができない話を吐き出すことができる、貴重な時間です。親子ともにこの貴重な機会をいただいたことに本当に感謝しており、次の機会を楽しみにしています。ありがとうございました。』

(渡辺しのぶ)

各地の報告

北海道過労死を考える家族の会 報告

今年の夏は全国的に猛暑でしたが、北海道も例年にない記録更新する暑い毎日です。
北海道家族の会は設立してから今年で11年目になりました。5月28日(日)に開催した家族の会総会は「北海道家族会設立10周年」の節目の総会となりました。

設立当初より家族会へご支援を頂いている皆川洋美弁護士よりご講演を頂き10年の家族会活動を振り返る良い機会になりました。コロナ禍の3年間も定期総会は感染対策に取り組み行ってきましたが、今回は5類へ移行したこともあり、総会後に懇親会を行い新会員との交流を深めることも出来ました。

活動としては、会員の裁判傍聴支援の他に、今年度も「働くことについて考える授業」「北海道シンポジウム」へ家族会として「過労死防止北海道センター」「いの健北海道センター」と協力しながら、過労死根絶啓発活動の取り組みを継続しています。

(村山百合子)

東京過労死を考える家族会 報告

東京家族の会では、北海道の村山さんの最高裁要請行動のご支援を行いました。いの健センターと協力して、6月20日の早朝のビラ配りと10時からの要請行動に会員さんが駆け付け、村山ご夫妻の訴えに同席して息子さんの労災を認めるよう口々に意見を述べました。7月にも要請行動が予定されていましたが、残念ながらそれ以前に不当な結果が出てしまいました。ここまで、長い時間をかけて息子さんのために闘ってきたご両親のお気持ちを思うと言葉もありません。しかし、要請行動が予定されていた7月19日は、村山ご夫妻といの健センターと共に抗議の気持ちを伝えてきました。最近は最高裁がかなり早く判断を出すようです。各地域で裁判をして、最高裁まで闘いが続いてしまった場合は、東京家族会は全国家族会と連携して会員さんの支援を行っています。

今年度のシンポジウムは、東京中央会場は11月8日(水)14時~ 場所はイイノホールで行われます。また、東京会場は11月21日(火)14時~ 場所はワイム貸会議室 荻窪 2階 RoomA,Bで予定されています。こちらの基調講演は株式会社クオレ・シー・キューブ岡田康子先生です。皆様におかれましても、ぜひご参加下さいますようよろしくお願い致します。

(渡辺しのぶ)

神奈川過労死を考える家族の会 報告

5月25日、第7回目の神奈川過労死等を考える家族の会の総会を無事に開催することが出来ました。
当日の総会は神奈川産業振興センターにて、正会員さん11名(うちzoom参加2名)、賛助会員さん10名と新規入会希望のご遺族の1人、合計24名の方にご出席頂きました。コロナ禍でzoomでの交流会が続きましたが、4月に3年ぶりくらいで対面にて会議室を借りて対面での交流会を開催する事が出来ました。対面での交流会は、今までのzoomでの経験を活かし、ハイブリッドでzoom参加の方ともかなり交流が出来たと思います。地方在住のご遺族が多い神奈川の家族会なので、対面での交流会、zoomでの交流会のそれぞれに良さがあります。

また、賛助会員の皆さまとの交流も、シンポジウム後と総会後の年2回、対面で行う事が出来て、神奈川らしい良い関係を築いています。今後も会員相互の交流のあり方を模索していきたいと思います。
今年は、3組の新たに入会した方に初めてご出席頂きました。  新たな被災が起きてしまう現状に、憤りや虚しさを感じますが、家族の会と出会ったご縁は有り難く思います。今後も交流会などで皆さんと沢山話をしながら、支え合って前進していきたいと思います。

(工藤祥子)

長野過労死を考える家族の会 報告

長野家族の会では、2ヶ月毎にzoomにて情報交換のため定例会を開催しております。
上伊那郡辰野町在住の織田みゆきさんからご報告させていただきます。織田さんは昨年6月にご主人を亡くされ、現在労災申請準備中です。被災されたのが神奈川県ですが長野でも支援させていただいております。

(吉田惠美子)

私の主人は、勤務していた長野県の企業で深夜残業が続き、うつ病を発病しました。その後神奈川県内の企業へ再就職し、気分の浮き沈みは有りながら、愛犬と共に、主人の好きな車で旅行などしながら楽しく生活していました。しかし、望まない昇格による重圧や年収の減少、他部署の管理職とのトラブルが原因で、うつ病を再発し、自死してしまいました。現在は、労災申請に向けて準備中です。主人が突然欝に落ちて、短期間で死を選択しなければいけない原因は何か?人はどんな言葉で傷つき、生きる力を失うのか?真実が知りたい。企業では未だにパワハラがなくならい上に、当事者の上司がそれに気付けない、また周りの社員も助けてくれないのが今の社会です。このような被災をしても声を上げる事が出来ない遺族が沢山いると思います。私の声が何処まで届くのかわかりませんが、誰もが安心して働く事のできる世の中になるように、家族の会の皆さんと考え、助けて行けるようになりたいと考えております。

(織田みゆき)

静岡過労死を考える家族の会 報告

静岡での過労死等防止対策推進シンポジウムの、日程と講演について、決まりました。
11月7日午後1時30分~4時 静岡市民文化会館 大会議室(ホール)です。
講演のテーマを決めていく中で、今回の講演に実行委員各位の今望むテーマが提案されました。

  1. メンタル不調者をキャッチして心理的負荷を抱えている職場の問題点を改善していく。
  2. ストレスを抱えている人を、いかに早くどのようにして、同僚や上司が見つけられるか。
  3. ストレスを生み出しているものをどのように解消していくのか。
  4. 教職員の新人の離職の対策として、メンタル不調者の早期発見、ストレスチェックをいかに利用するか。

などの案が出されました。その結果、天笠 崇先生に「職場のメンタルヘルス対策、早めの気付きと早めの対処を超えて」をお願いすることになりました。併せて静岡労働局様にも 「ストレス、復職」について健康課より講演していただくことが決まりました。安健センタ―静岡の報告、静岡家族の会の発言も予定しております。

(尾崎正典)

名古屋過労死を考える家族の会 報告

コロナ禍が過ぎても会員同士の親睦が出来ない中、4月には中部電力新人社員パワハラ自死事件の労災認定を求めた控訴審が逆転勝訴という嬉しい結果を迎えました。そしてその3か月後の7月には損害賠償請求裁判も和解が成立し、無事裁判は終わりました。しかし6月には労災・損賠2つの裁判を同時進行されている東濃信金パワハラ自死事件裁判の判決はどちらも棄却されてしまっています。ハラスメントについての証言や遺書があっても敗訴してしまいました。当事者がいない裁判で遺族が出来る事は限られています。どれだけ遺族が苦しめば良い判決が出るのでしょうか?

愛知は今年もシンポジウムのテーマを「ハラスメント」にし、労働局からパワハラ対策についての報告、基調講演ではNPO法人POSSE代表、今野晴貴さんにお話をして頂きます。そして名古屋の同朋高等学校放送部が作成した「過労自殺」をテーマにした映像ドキュメンタリーも流します。数年前になりますが「過労自殺」を生徒さん達が真剣に考えて作った作品です。来場された方々が「ハラスメント」について考えて頂けたらと思います。

(伊佐間佳子)

京都労災被災者家族の会 報告

6月3日、京都家族の会の総会を開催しました。コロナ禍では、Aさんの行政裁判の勝訴、Bさんの労基署での労災認定と会社と上司への民事訴訟での勝利和解などがありましたが、まだ闘いの交流は十分にはできませんでした。しかし、7月29日には京都職対連主催で、設立40周年記念プレ企画「労災・公災被災者を励ますつどい」が開催され、ここでは家族の会の闘いとともに、多くの闘いを学ぶことができました。パネルディスカッションと被災者や支援者の話があり、寺西代表はパネラーとして話しました。

Cさんの闘いは苦しく、医師意見書を依頼するために広島へ新宮医師を訪ねました。支援がどんどん広がり、大阪高裁で逆転勝利、他県の過労死事件へその影響を与えました。Dさんの件では、苦労して多くの人に聞き取り調査をしました。さらに、昼休憩が就業規則通りには休めないことを調べ、コツコツと労働時間を積み上げて審査会で認定されました。先に闘われた事件や先輩の姿に勇気をもらったことが共通します。他の過労死や仕事中の大事故などが報告され、現在も続く事案がたくさんありました。
私たちには、闘いに学び交流することが必要です。コロナ下で初めての例会を9月に開催します。Bさんの事例の学習会と交流です。分かち合って支え合う、いつまでも大切にしていきたいです。

(中嶌清美)

大阪過労死を考える家族の会 報告

6月10日(土)大阪市内で対面での総会を行いました。参加者は26名でした。
3年間、例会はもちろん総会もウエブ上で行ってきたため、コロナ禍以降に会員になられた遺族や当事者と対面が叶い、懐かしい会員ともお会いすることができました。総会開始前からあちこちで話し声がして、3年間を取り戻した気がしました。

松丸弁護士からは、「精神障害・自殺の労災認定改正」をご講演いただきました。岩城弁護士からは、「大阪家族の会の歴史」のご講演をお願いしました。家族の会がこれまで支援者のご支援をいただきながら今日に至っていることを改めて振り返ることができました。全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さんからは「労災取り消し裁判への家族の会の取り組み」についてお話いただきました。
今回の花束贈呈者は2名で、総会の2日前に認定の報告があった息子さんを亡くされたお母さまと、民事裁判で和解された当事者の方でした。

総会後の世話人会では、『会員同士が実際に会って交流する大切さを再認識することができた。今後はこのような機会を徐々に増やしていきたい。』という意見で一致しました。

(小池江利)

兵庫過労死を考える家族の会 報告

兵庫家族会では、偶数月の第3金曜日に定例会を開いています。最近では、昨年4月に2名、今年4月に1名の会員が新たに入会されました。会員が増えたということは、かけがえのない家族を亡くしたり疾患を抱えたりして苦しんでいる人が増えたということで、新しく入会された会員のお名前等を名簿に書き足す度に、やりきれない気持ちでいっぱいになります。この3名の会員は現在、労災認定後の損害賠償請求訴訟中、労災再審査請求中、労災請求準備中です。それぞれの事案が納得できる結果につながるよう、会員同士が支え合っていきたいと思います。

今年は、3家族が7月の遺児交流会に初めて参加しました。私は家族会に入会して、同じような遺族がたくさんいる、苦しいのは自分1人ではない、と感じました。同じような遺児との出会いは、子ども達にとっても貴重な機会になったことでしょう。「来年も参加したい」との言葉に安心し、子ども達の気持ちの和らぐ時間が少しずつ増えていくように願っています。

最後になりましたが、兵庫家族会Kさんの署名活動にお力添えくださっている皆様、この場をお借りしてお礼申し上げます。

(福永)

東四国過労死を考える家族の会 報告

東四国家族会として、徳島県教職委員組合の事務所で「学校には過労死防止の啓発授業案内が届いているはずですが、依頼がないのは何故だと思われますか」とお尋ねしました.「生徒に過労死、過労自殺遺族の話は刺激が強いから動けない」とのことでした。11月のシンポジウムに一度おいでいただきたいとお勧めしたところ、女性組合員がおいでくださいました。12月発行の徳島教育新聞には『過労死防止対策推進シンポジウムに参加報告として、若年層にうつ病と過労自殺が広がっている背景を受け、18歳成人を迎える前に自分を守る知識を伝えておく必要性を感じました。厚生労働省より学校講師派遣支援事業もあります。』とありました。後日講師派遣のパンフレットを100枚組合の先生に配っていただきたいと持参しました。「オンラインも可能なんですね」の確認があり,ワークルールの授業資料も見ていただきました。しかし、8月末現在啓発授業希望はありません。今年のシンポジウム案内の為に別の教職員組合と昨年の教職員組合を訪問しました。中学生、高校生への啓発授業がどこか一校から始まるように願っています。

(大島照代)

福岡過労死を考える家族の会 報告

福岡過労死を考える家族の会は2023年10月で6年目となります。現在の活動としては

  1. 会員同士が繋がりを持ち、辛い思いを共有し気持ちを分かち合うZOOMによる交流会「ジニア交流会」を不定期ですが開催しています。
  2. 啓発授業では今年度2校の新規申し込みをいただきました。今年度は5校開催を予定しています。年々福岡地域での周知がなされております。遺族の授業者も今年度より2名となりました。引き続き若い命を守るためこの活動に力を入れていきたいです。
  3. ホームページ https://zinnia-q.com。では活動報告、労働諸問題に関する解説。過労死遺族からの声などを継続発信しています。

ここ数年間はコロナ禍から会員と支援者がzoomでしか繋がる事が出来ない日々が長く続きましたので、コロナが社会的に落ち着いた7月に対面にて親睦会を開催しました。20人近く集まり再会を喜び合いました。そして人間らしく働く社会の実現に向け語り合い親睦が深まりました。

過労死等防止対策推進シンポジウム 福岡 11月2日(木)15時~

(安徳晴美)

東九州過労死を考える家族の会 報告

現在、東九州家族会で係争中の案件は1件です。
長崎在住のご遺族で、ご子息をパラハラと過重・長時間労働で亡くされ現在民事裁判係争中です。地裁で不当判決を出され、福岡高裁で控訴審を闘っておられますが、加害会社の言い分はあまりにも酷く、毎日懸命に会社の為に働いたご子息の尊厳を深く傷つけるものでした。

長崎での第一審の証人尋問は傍聴支援に行かせていただきましたが、第二審は福岡高裁での闘いになりましたので、福岡家族会が支援を申し出て下さり、大変心強く感謝しております。地理的に遠い為、直接お会いする機会は殆どありませんが、10月25日に行われる宮崎シンポジウムで遺族発言をしていただくことになりましたので、その機会に同じ体験をした母親同士、たくさんお話ししたいと考えています。シンポジウムは、そうした遺族同士の交流の場となる事が多いのですが、地元のシンポジウムだけでなく、興味のある講演があれば、過労死を防ぐための学びにも良い機会になると思いますので、他の地域のシンポジウムにも積極的に参加して頂きたいと思っています。

(桐木弘子)

2023年度全国過労死を考える家族の会の統一行動タイムスケジュール

【1日目】11月8日(水)
東京中央会場シンポジウム参加
イイノホール(東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング)
14:00~17:00(受付13:00~)参加無料(事前申込)

参加申込について

  • 会場の都合上、事前申し込みをお願いします。
  • 申し込みは Web または FAX でお願いします。
  • 受付番号を発行いたします。当日会場受付にて受付番号をお知らせください。
  • 定員になり次第締め切りとさせていただきますのでご了承ください。
  • 定員超過の場合は、電話またはメールでご連絡いたします。
  • 連絡先の TEL か E-mail のどちらかは必ずご記入ください。
  • 参加(証明)書の発行はいたしておりません。予めご了承ください

https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/

【2日目】11月9日(木)
要請行動・宣伝行動 / 総会・交流会
 9:50  集合、打ち合わせ会場:東京弁護士会館5階
10:00~ 地方公務員災害補償基金本部へ移動 (地公災要請者)
10:10~ 厚生労働省へ移動
10:30~ 厚生労働省・地方公務員災害補償基金本部要請 開始
11:40~ 厚生労働省前へ移動・宣伝行動
12:20~ 総会会場へ徒歩にて移動(日比谷図書館文化館)※昼食は各自とって下さい。
13:30~ 全国家族の会総会
14:40~ 交流会
16:30~ 終了
17:00  片付けの後、完全退室
※ 各参加について、事前に各地の代表へ申し込んで下さい。

*総会・交流会
千代田区立日比谷図書文化館スタジオプラス(小ホール)
〒100-0012 東京都千代田区日比谷公園1-4 TEL:03-3502-3340(代表)
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/
アクセス:東京メトロ 丸の内線・日比谷線「霞ケ関駅」B2出口より徒歩約3分
都営地下鉄 三田線「内幸町駅」A7出口より徒歩約3分
東京メトロ 千代田線「霞ケ関駅」C4出口より徒歩約3分

案内図

案内図

全国過労死を考える家族の会の活動

【主な活動報告】

5月26日 第2回遺児交流会準備会議:zoom会議
5月28日 第21回30周年記念誌準備会:zoom会議
5月30日 第24回過労死等防止対策協議会:東京・TKP新橋カンファレンスセンター
6月94日 全国家族の会事務局会議:zoom会議
6月95日 過労死防止広報委員会:zoom会議
6月17日 全国家族の会公務部会会議::zoom会議
6月18日 第22回30周年記念誌準備会:zoom会議
6月26日 第2回中央シンポ準備会議:zoom会議
7月91日 全国家族の会世話人会:zoom会議
7月97日 第3回遺児交流会準備会議:zoom会議
7月12日 過労死防止全国センター2役会議:zoom会議
7月15日 過労死防止全国センター総会:オンライン開催
7月23日 第23回30周年記念誌準備会:zoom会議
7月29日 遺児交流会開催:滋賀県琵琶湖周辺
7月30日       (同上)
8月92日 いの健全国センター理事会:zoom会議
8月96日 全国家族の会事務局会議:zoom会議
9月91日 遺児交流会会議:zoom会議
9月92日 全国家族の会世話人会:zoom会議
9月92日 過労死防止学会幹事会:zoom会議
9月98日 オンライン相談室会議:zoom会議
9月99日 過労死防止学会第9回大会:東京・明治大学駿河台キャンパス
9月10日       (同上)
9月17日 第24回30周年記念誌準備会:zoom会議
9月23日 全国家族の会公務災害部会会議:zoom会議
9月29日 過労死弁護団全国連絡会議総会:京都リーガロイヤルホテル

 

カンパのお願い

家族の会は皆様のカンパを主な活動原資として活動しています。
カンパのご協力をよろしくお願いします。

ゆうちょ銀行 店名 〇五八(ゼロゴハチ) 店番 058
預金種目 普通預金 口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会(ゼンコク カゾクノカイ)

 

【発行】全国過労死を考える家族の会(2023.9.25発行)
【事務局】東京駿河台法律事務所内 TEL. 03-3234-9143
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町二丁目3番1号 岩波書店アネックス7F