全国過労死を考える家族の会ニュース 第88号
支給決定を取消す訴訟を認めた東京高裁判決は確定させてはならない!
1.2022年11月29日、東京高等裁判所は、前代未聞!とんでもない判決を下しました。概略は次の通り。事業主の一般財団法人・A財団は、職員が業務上認定(精神障害)されたことで労災保険料が引き上げられることにより不利益が生じるとし、国を被告に業務上認定を取り消す訴訟を提起しました。
東京地裁では、A財団の主張は認められなかったのですが、東京高裁は地裁判決を取り消し、労災保険の支給決定に対し、事業主による異議申し立てを認める判決を下しました。そこで、12月5日、過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の川人博弁護士と全国家族の会の寺西は、加藤厚生労働大臣へ最高裁に上告するよう強く要請をおこない、その報告を厚生労働省記者クラブで記者会見を行いました。
2.全国家族の会は、かけがえのない大切な家族を過重労働により生命・健康を奪われた被災労働者遺家族であり、早期の救済と過労死等防止を目的にしている団体です。労災申請者の実情は、使用者側の協力が得られない中、申請者側に立証責任があることで労働時間の客観的証拠と職場の出来事などの立証に困難を極めながら、やっとのおもいで証拠収集したなかで精査され、さらに高いハードルである認定基準の要件に当てはまらないと労災認定されません。このように厳格な調査と評価を受けて認定されたものです。決して安易に支給決定されるものではありません。
3.なおかつ認定率をみれば支給決定の厳しさが顕著に表れており、不当な決定を受けた人はやむを得ず行政訴訟を提起します。そうなると長期の闘いになり心身とも疲弊します。労災認定に10年以上係争している人も少なくありません。そのうえ万が一にも東京高裁判決が確定すれば、事業主が支給決定を取り消す裁判が可能になることで、さらに何年も不安定な日々を送ることになり争った結果、取り消されることになると受け取った補償金など国へ返還しないといけなくなります。そうなると労災認定されても使うことができず被災者の救済が明かに不安定になり、労災補償制度の考え方からも非常に過酷であると考えます。
遺族等は労災認定を受けるまで、経済的にも精神的にも非常に苦しい思いをします。それなのに事業主が支給決定を取り消す訴訟を認めると認定されてもさらにその苦しみは続くことになります。それでもいいんだと判断した今回の東京高裁判決は、遺族等にとって耐えがたい内容だと受け止めています。
4.このような労災被災者保護へ真摯に向き合うことなく、事業主の不服申し立ては断固許されるものではありません。なぜなら、事業主が支給決定を取り消す訴訟をすることで使用者責任は追及困難になり、職場改善と再発防止策がとられないことになります。
また、業務上の取り消し訴訟がまかり通ると申請すら恐ろしくて諦めてしまう人が増え、労災隠しの温床になります。いちばん危惧するのは、労働基準監督署が支給決定の際、必要以上に慎重になり非常に委縮することで被災者救済に対し労働行政全体に悪影響が生じるからです。
上記により、支給決定を取消す訴訟を認めた東京高裁判決は、絶対、確定させてはならないと考えます。
(代表世話人 寺西 笑子)
要請行動報告
厚生労働省要請行動
厚労省要請では、まず寺西代表が「こうして要請行動を行うのは今年で35回目になるが、過労死はなくならないばかりか、広がり続けている。被災者の相談は後をたたない。被災実態を適正に認め、一日も早い被害者救済と、過労死防止に向けての対策を行ってほしい」と要望を述べました。その後、要請者が自身の事案を訴えました。精神疾患の事案については、認定基準が厳しすぎる、発症前後の事情を総合考慮するように、そして、うつ病発症後の労働も考慮するよう改正して欲しいと要請しました。
また、精神疾患では特別な出来事として、労基署の調査で『「死ね」と言われましたか?何回言われましたか?』と聞かれたという発言があり、決まったフレーズを言われたかどうかという単純な調査が行われているのではないかという問題点を指摘しました。脳・心臓疾患の認定基準が改正された後、認定数が増えていないことについては、徹底調査をお願いしました。また、労基署が事業所を調査するときに会社側の代理人弁護士が立ち会った事案については、一緒に働いていた人が本当のことを話せなくなる可能性があり、申請者にとっては大変な問題であると伝えました。当事者の症状固定や治癒認定については主治医の意見を尊重して調査をしてほしいと要請しました。
要請にご参加された議員連盟の山井和則議員からは長時間労働、パワハラは増えており、過労死の被害は甚大すぎる、人が亡くなるというのは相当の被害であり、痛みを伴う、本日、ここで要請しているのは被災者の氷山の一角であり、泣き寝入りをしている被害者の代表である。亡くなった被害者は帰ってこない、訴えを全面的に聞き入れ、救済するのが厚労省の役目である、とご発言がありました。
要請者の訴えを聞いた厚労省労働基準局総務課長の古館さんからは過労死はご本人、ご家族にとって大きな問題であり、命の問題である、政府方針に基づいて対策を続けてきているが、依然として過労死が絶えないので、しっかり取り組んでいく必要がある、過労死を防ぐ重要性の理解を深め、周知啓発を行い、法律の理念が実現できるよう今後の対策をしっかり進めていく、と話がありました。
最後に寺西代表が、要請に対応してくださった厚労省に対してお礼と要望を伝えました。『本日の要請15件のうち13件が精神疾患である、働く職場はパワハラが増えているが、訴える余裕がなく、この場に来られない人もたくさんいる。パワハラ対策は企業任せでは進まない、パワハラに対して理解がない事業所もあり、やっている本人が気づかないこともある。国が主導して対策を行っていただかないと改善策は届かない』と厚労省に訴えました。
(東京家族会 渡辺しのぶ)
地方公務員災害補償基金本部要請行動
今年の基金本部要請の参加者は松丸先生、平本先生、家族の会より6人、合計8人でした。
基金本部からは、総務課、補償課、企画課の方にご対応頂きました。また臨時国会でご多忙な中、議員連盟の大西健介議員にもご同席して頂き、遺族の要望をさらに後押しして頂きました。
要請者は4人、そのうちお子様を亡くされてまだ日の浅いお母様が、深い悲しみの中、心からの訴えをされました。
地方公務員の働き方は役所勤務、教職員、消防、警察など様々ですが、共通することは市民の方々の生活を守るために長時間労働、休日も出勤して命を落としたり、健康を損なってしまったということです。「公僕」という言葉がまだまかり通っていることは大変悲しい事です。また、コロナ対応などで業務が増え続けていることも、過重過密労働の原因となってきています。
今年で35回目の要請行動ですが、基金本部の方々も特にここ数年で大変誠実に対応して頂いていると感じ、感謝しております。補償課の方もご参加頂けるようになり、こちらの話にも耳を傾け、必要な限りお答え頂けることは、長い間の要請の積み重ねだと感じております。
今回要請した内容は、脳心の認定基準の改正や精神疾患についても、厚労省で検討を始めているものは、基金でも同時に認定の基準などを進めてほしい、申請から認定までの時間を短縮して欲しい、基金本部自体が過労死等防止対策を積極的に出して欲しい、公務上についてもその認定理由をはじめから開示して欲しいなどです。地方公務員の災害を全て扱っている基金本部には、地方公務員特有の申請から迅速で公正な認定、防止対策に至るまで、私たちも期待し、共に改善していけたらと願っております。
(神奈川家族会 工藤祥子)
2022年度全国過労死を考える家族の会総会報告
日時:2022年11月10日(木)午前9時30分~午後12時30分( 総会・懇親会の2部構成 )
場所:主婦会館 3階 コスモス会議室
参加者:会員25名、弁護士2名 計27名
第1部【 総会 】 9時30分~10時20分 進行:桐木(東九州)
代表世話人挨拶 寺西
議長・書記選出 議長:久保(四国) 書記:深澤(山梨)・伊佐間(名古屋)
※時間の制限がある為、質問は最後に集約
- 活動報告 寺西
- 決算報告 久保 会計監査報告 桐木
- 活動計画 寺西
- 予算案 久保 ※次年度より代表の活動費を別途記載
- 世話人選出
代表世話人:寺西(京都)/ 会計:桐木(東九州) / 会計監査:久保(四国)
各地代表
【北海道】村山【宮城】大泉【長野】小池【東京】渡辺【神奈川】工藤【山梨】深澤
【静岡】尾崎【名古屋】伊佐間【京都】中嶌【大阪】西岡【兵庫】福永【岡山】中上
【山陰】高木【東四国】大島【四国】久保【福岡】安徳【東九州】桐木 - 2022年度事務局
寺西(活動全般・資料作成全般)/ 桐木(会計)/ 久保(会計監査)
小池(厚労省要請担当)/ 安徳(地公災要請担当)/中上(ニュース編集・総会資料作成)
伊佐間(ニュース印刷)/ 渡辺(遺児交流会)
※会計・予算・世話人等について議長が挙手にて賛否を求めたところ賛成多数で承認されました。 - その他
玉木弁護士・松丸弁護士より各要請行動についてのお話し
東京家族の会の会員より質問有
全国家族会への要望 → 各地の代表へ問題提起する事
第2部【交流会】
参加された方それぞれの事件の内容等をお話しされました。
家族会の存在がとても大きいと誰もが口にされていました。
シンポジウム報告
東京中央会場報告
メインホール・B会場報告
2022年11月9日(水)13;:00~16:15 イイノホールで開催されました。冒頭に加藤勝昭厚生労働大臣の開会挨拶(公務のため審議官が代読)があり、続いて過労死等防止について考える議員連盟の田村憲久会長より挨拶がありました。次に厚生労働省から「過労死等防止対策等の説明」があり、続いて川人博弁護士から「過労死等防止対策推進全国センター報告」がありました。その後「過労死を考える家族の会より体験談」では、4人の会員から報告がありました。昨年は、コロナ禍の影響で会場登壇出来る当事者がいないため代読や録画での報告でしたが、今年は、登壇されたご遺族の方々の、辛く悲しい体験と過労死根絶に向けての活動などの報告をリアルで聞き、同じ過労死家族として「職場環境、人間関係、いのちと健康」を考えることが出来ました。
後半の分科会は、3会場に分かれていて、事前申し込み選択制での参加でした。
私は、B会場の「ビジネスと人権の視点から見た過重労働・ハラスメント問題」講師:須田洋平氏(須田洋平法律事務所弁護士)に参加しました。須田先生の資料にある、職場環境の問題と人権の視点でのひとつに・過重労働により、あるいはハラスメント(セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなど)により、労働者が健康を損なう、ひいて生命を失うことがある。過労死防止とはこれを防ぐことである。とあります。マタニティハラスメントについては、深く考えていませんでしたが、ハラスメントを受けた妊婦・胎児どちらにも影響を与えてしまうと考えさせられました。ハラスメントや過重労働で健康を損ねることが無く、いのちも喪うことがない日本の社会になることを目指し家族会の一員として努力していきたいと感じました。
(北海道家族会 村山百合子)
A会場報告
A会場は「オフの量と質から考える働く人の疲労回復」と題し、久保智英氏(独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター 上席研究員)は、過労死等防止に関する疫学研究の労働現場で確かめ対策実装で成果を活かす研究をされ、慢性的な睡眠不足による過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な研究報告をされました。労働者の疲労回復はオフの物理的だけでなく心理的に離れることが重要との意義を強調され、勤務間インターバル制度が一律に規定するよりもメリハリをつけた導入方法と運用方法を議論すべきと問題提起されました。最後に寺西が閉会挨拶をし、貴重な調査分析による教訓を職場で活かされることが大事と訴え、終了しました。
(代表世話人 寺西笑子)
C会場報告
C会場は「働きやすい職場づくり等、企業、労働組合から取り組み事例紹介」と題した分科会が行われ、3事業所から具体的な事例が紹介されました。「株式会社キットセイコー」は、社員が働きやすく、成長していく会社づくりに取り組んでおり、実際の取り組み事例としてマイスター制度や特別有給の充実、お互い様の雰囲気づくなどの紹介がありました。
「大和美術印刷株式会社」からは、取引先からの無理な依頼に応えているうちに深夜までの残業が続き、社員が帰宅途中の車で大きな事故を起こしたことが取り組みのきっかけだったと説明がありました。会社全体で残業を減らすことに取り組み、5年間で平均残業時間が25.6時間削減されたそうです。「KDDI労働組合」は働き方改革の実行と社員の心身の健康をチェックする仕組みの発表がありました。『労使間で「仕方ない」という諦めは禁句である。亡くなった社員は帰ってこない』というフレーズが印象的でした。今回のような社員の命を大切にする実践をもっと多くの人に知ってもらい、過労死を無くして欲しいと思いました。
(東京家族会 渡辺しのぶ)
北海道過労死等防止対策推進シンポジウム報告
今回は、札幌駅近くの会場が予約できず、少し離れた札幌コンベンションセンターで154名の参加により11月2日の午後から開催されました。
基調講演は、津野佳奈美先生にお越しいただき「パワハラを起こす企業と起こさない企業は何が違うのか―パワハラ上司を生み出さないためにできることー」と題した、津野先生の講演を聴き、パネルディスカッションは、「パワハラ被害の救済・問題の解決に向けて」を弁護士のコーディネートで、津野先生、弁護士、遺族、そして、労働組合、の4名のパネリストが参加し討論しました。息子が職場のパワハラで自死に追い込まれた親として、基調講演も、パネルディスカッションも大変興味深く拝聴しました。
過労死遺族体験談は、北海道の民事裁判を和解された杉本さんの報告と埼玉新都心郵便局員のご主人をパワハラ自死で亡くされた小林さんの体験報告でした。ご遺族の体験報告時は、会場からすすり泣きも聞かれました。研究者、弁護士、労働組合、遺族が、それぞれの立場から過労死を起こさない取り組みをしていることを改めて確認できた充実したシンポジウムでした。
(北海道家族会 村山百合子)
福島過労死等防止対策推進シンポジウム報告
福島県のシンポジウムは、福島県郡山市の郡山商工会議所6階大ホールにおいて開催されました。福島県には過労死家族の会がまだできていませんので、宮城県の家族の会の会員が一人いるので、宮城の会が中心になって支援しています。福島県は県の面積が広いために、会場を福島市と郡山市の中通りの県北、県中を交互に開催してきました。そのために参加者の範囲が狭く広がりが見えません。浜通り、中通りの県南、会津地域での開催を検討しているが諸事情でまだ開催にこぎ着けていません。また、協力団体として、労働団体や法律家団体、中小企業経営者団体が入ってないので、福島県内にもっと広げる努力が必要と感じています。
今年は40名弱の参加でしたが、参加者は、50才以上の人たちが8割を超えて若い層が極端に少ないのが気になりました。
さて、基調講演は、「産業医から見る過労自殺企業の内側」として、産業医の大室正志氏から、お話しいただきました。過労死(自殺)を出さないために、企業として何をしなければいいのかわかりやすく話をされて、参加者の皆さんは真剣に聞き入っていました。遺族からの訴えは、東京から参加者と初めて地元福島の参加者からあり、福島にも遺族がいることにびっくりしていました。
次回のために、地元の団体での実行委員会を作って進められる努力していきたいです。
(宮城家族会 芳賀 直)
東京過労死等防止対策推進シンポジウム報告
東京家族会では、各地のシンポジウムで遺族・当事者が発言を行っています。介護業界で働いていた会員さんからは、この職場が抱える問題を具体的に指摘した発言があり、日勤から夜勤につながる長時間の連続勤務や法的な面での問題点・今後懸念される事柄についての話がありました。また、夜勤を含む長時間不規則勤務によって睡眠時間を削られ、過労事故死で息子さんを失ったご遺族が、命の大切さ・睡眠の大切さについて語って下ったシンポジウム会場もあります。報道機関に勤務していて、長時間労働とパワハラにより娘さんの命を奪われたご遺族が、娘さんと同じ職場でまたしても過労死が発生した無念さ、事業所の労務管理のずさんさについて語ったシンポジウムもありました。
今回初めて発言された会員さんからは以下のような感想を頂きました。
『6月に東京家族の会に入会したばかりですが、立川・千葉・群馬のシンポジウムで体験談を発表させていただきました。千葉シンポジウムのテーマが「パワハラ」だったので、夫の事例が該当していた事から、話すことを勧められました。夫は、2008年にアルコールチェッカーの誤作動で七夕に自死しました。14年間、子育てを理由にして現実逃避してきた私にとっては、原稿を作成することが過去の事実と向き合う時間となり、さらに発表する事が、とても悲しい事だと知りました。でも、私が話すことで「過労死・過労自死」を少しでも多くの方に理解していただけるのであれば、私の悲しみなど問題ではありません。発表後にパワーポイントを使えたらもっと分かり易い原稿が作成出来たはずだと感じました。』
(東京家族会 渡辺しのぶ)
神奈川過労死等防止対策推進シンポジウム報告
神奈川過労死等防止対策推進シンポジウムは、神奈川県と横浜市の後援を得て、例年どおり、日石横浜ホールで11月1日に開催されました。
第1部では、パワーハラスメントと長時間労働をテーマとし、産業医科大学宮本俊明教授の産業医の立場からの基調講演「パワハラが疑われる事例の職場復帰に向けた注意点」、横浜法律事務所 笠置裕亮弁護士の講演「過労死・過労自死を防ぐために企業に求められることとは」、第2部では、働きやすい職場づくりをテーマとし、ご遺族の西垣迪世さんの体験談「息子の過労死から過労死防止を願う-大手電子機器メーカー子会社システムエンジニア過労死事件-」、株式会社荏原精密さんから「変化を恐れない労働環境向上取り組み事例」、第3部は、演者をパネラーとして休憩時間に会場から寄せられた質問紹介を交えながらのパネルディスカッションが行われました。
時間が足りないと感じるくらい充実した内容となりました。思い切って学会のような形にするとより充実するのではないかと思いました。西垣さんの亡きご子息の会社は川崎市に在り、神奈川シンポへの特別な思い入れが痛いほど伝わり胸に迫りました。多くのみなさまのご協力に感謝申し上げます。
(神奈川家族会 小林康子)
長野過労死等防止対策推進シンポジウム報告
11月14日(月)に松本市のキッセイ文化ホールにて開催され、101人が参加されました。労働衛生コンサルタントの沖野智範氏より「長時間労働者の面談結果から見える労務管理の問題点」と題しての基調講演がありました。
長時間労働が健康に及ぼす影響は、自律神経のバランスが悪化し、生活習慣や睡眠への影響がある。就業時間の管理は進んでいるが、業務量や負荷にあまり変化がない印象である。そのため労働時間に反映されない精神的負荷・疲労の蓄積が懸念される。過重労働が身体的にも精神的にも疾病につながるリスクだという意識を職場全体で理解する必要がある。特に、たとえ時間外勤務を制限しても予定の業務が達成できないことにより、自分の能力が低いと思ってしまう負の連鎖についての説明は、仕事に追い詰められ過労死につながる実態がよく理解できました。
続いての遺族発言では、名古屋家族の会代表の伊佐間佳子さんの体験をお聞きしました。大切な娘さんを職場のパワハラで亡くされた辛い心情を思うと、胸が締め付けられる思いでした。人の命は何にも代えがたい、重く大切なものです。過労死のない社会を目指して、個人の力は小さいけれど家族の会の一員としてできることを担っていきたいと思いました。
<労災認定の報告とお礼>
松本市の吉田午郎さんの労災が10月27日に飯田労基署より認定されました。全国家族の会の皆様には多くの署名を頂き、最終的に18489筆を提出することができました。皆様のご協力のおかげです。本当にありがとうございました。
(長野家族会 小池宣子)
静岡過労死等防止対策推進シンポジウム報告
静岡では11月1日に静岡市民文化会館大会議室(ステージ付ホール)で行われました。1時30分から4時30分まで行われました。今回はシンポジウムのテーマとして何とか被災した人を助けられないかとのテーマをあげ計画しました。「メンタルヘルスの不調者の職場復帰の取り組みについて」の講演を産業医の足立様,「職場復帰支援の実際について」を障害者職業カウンセラーの浅井様にお願いしました。
それぞれ日々職場において多くの被災者や長期休職者などの復職希望者への復職支援を行っている実情も話していただきました。年間、浅井氏は70名の支援を行っていることを話されました。職場内の部署替えや職場変更についても切実な事例を対応されていました。静岡家族の会では「大学での仕事で被災した教師が闘病ののち復職をした被災者本人の体験談」を話していただきました。他に過労死防止学会の報告より裁判事例4件から7件の事例より考察した「労働災害の患者職員に対する厳格な復職補助規格の必要性の模索」の部分の発表を尾崎もしました。小笠原弁護士によるパネルディスカッションも行われました。
(静岡家族会 尾崎正典)
山梨過労死等防止対策推進シンポジウム報告
シンポジウム(山梨会場)は、11月29日18時30分から、甲府市内で開かれました。70名の参加を得て、コロナ禍対策の人数制限数最大に達しました。
山梨労働局から挨拶があり、続いて「パワハラをめぐる実態と課題の対策」として、弁護士の新村響子先生(旬報法律事務所)の基調講演がありました。パワハラ相談が増えていること、3人に1人が経験している調査結果、そしてそれが職場に悪影響を与えていることなど、山梨で起きた判例も挙げながらご講演をいただきました。休憩を挟んで、清水 豊氏(山梨県労働組合総連合 労働相談センター長)から「労働相談から考える問題と対策」、深澤 佳人(山梨家族会、山梨いの健センター事務局長)から「公務災害相談から考える問題と対策」と題して労働災害(労災)と公務災害(公災)の実態を話し、これら手続き上などの相違が浮き彫りになりました。また対策上でも違いがありました。
後日、このシンポジウムの反省や労災に関わる懸念の大きい東京高裁判決もあり、山梨家族会を開きました。全国総会で示されたことなども話し合い「全国総会を東京以外で開かれるようであるならば、山梨に誘致することもよい」もありました。
(山梨家族会 深澤佳人)
愛知過労死等防止対策推進シンポジウム報告
今年は過労死等防止月間最終日の11月30日、名古屋市中小企業振興会館7Fで開催されました。今年も愛知は、国が対策を講じても一向に無くならない「ハラスメント」について考えて頂く内容にしました。
愛知労働局からはハラスメントが起きた時に事業主が講ずべき措置についてお話しをされ、基調講演では長年過労死問題に携わっておられる静岡社会健康医学大学院大学 准教授の天笠 崇医師に「ハラスメントから来る労働関連疾患をなくすために」という内容でハラスメントを受けた場合の心身への影響やハラスメントを知った職場の対応等を、様々な統計表を元にお話しして下さいました。そして最後に大手放送局の記者だった娘さんを亡くされた佐戸恵美子さんに遺族発言をして頂きました。佐戸さんは何年経っても心の奥底にある子供失った悲しみと苦しみ、そして未だに何の対策もしようとせず新たな過労死事件を起こした会社に対しての怒りを、会場の方に問いかけるかのように、ゆっくりとした口調で切々とお話しをされました。心に響く訴えでした。仕事やハラスメントで大切な命を失くしてしまう人がこれ以上増えないよう願うばかりです。
(名古屋家族会 伊佐間佳子)
京都過労死等防止対策推進シンポジウム報告
京都の過労死等防止対策推進シンポジウムは、11月25日(金)の午後、池坊短期大学こころホールで開催されました。参加者は129名で過去最大となり、定員オーバーで参加できない人もありました。
はじめに、京都労働局から、過労死防止にかかわる京都の行政の取り組みの報告がありました。遺族の体験談では、父親が過労自死した息子さんが話してくださいました。ガソリンスタンドで働いていた父親は、まじめで強い責任感がありました。長時間労働と達成困難なノルマがあったそうです。遺書には、死ぬのが怖いということとともに、仕事の責任が果たせなかったことの無念さが残されていました。遺族には、信じがたいことが起こった絶望感や怒りがあるということともに、過重労働の対策を強く求められていました。
基調講演は、大和田敢太氏(滋賀大学名誉教授〉による「コロナ禍における職場のハラスメント問題」でした。コロナ禍での労働がハラスメントを誘導すること、過労死=ハラスメントの関係にあると話されました。ハラスメントは言葉で知っていても正しく理解できていなかったと痛感しました。シンポジウムへもっと多くの方々に参加してもらえたらと思いました。
(京都家族会 中嶌清美)
大阪過労死等防止対策推進シンポジウム報告
2022年11月22日(木)2時~5時、過労死等防止対策推進シンポジウム(大阪会場)が開かれました。JR大阪駅近くのグランフロント コンベンションルームに195名の参加、企業の人事管理担当の背広姿が多かったように感じました。
シンポジウムは①過労死防止の取り組みの報告(大阪労働局)、②講演1「ハラスメントのない職場環境に向けて」三木啓子氏(アトリエエム(株)代表取締役)③講演2「過労自殺とパワーハラスメント」熊沢誠氏(甲南大学名誉教授)。岩城穣弁護士からの問題提起もあり、理解が深まりました。その後に、④遺族の声、長距離トラックドライバーの夫(49歳)をくも膜下出血で失った遺族が悲しみ、体験を訴えられました。この事案は2022年3月に労働災害として認定されました。さらに ⑤過労当事者からの報告 現職の大阪府立高校教員から長時間労働でうつ病になった体験、大阪府教育委員会に対して損害賠償を提訴した貴重な取り組みを報告されました。公務災害と認定され、裁判は2022年6月に全面勝訴の判決が確定しました。最後に松丸正弁護士が閉会挨拶をされ、労働時間の正確な把握の大切さを訴えられました。
(大阪家族会 田村和男)
兵庫過労死等防止対策推進シンポジウム報告
兵庫県のシンポジウムは、11月18日(金)に神戸市産業振興センターのハーバーホールにおいて開催されました。参加者は194名でした。神戸新聞社の中部剛氏より、「過労死事件を取材して-記者として思うこと-」との演題で基調講演がありました。
厚生労働省の過労死等防止対策白書、労働安全衛生調査、テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン、取材での遺族等の言葉を取り上げられ、「過労死等の実情を知る」「過労死等について、自分の会社や自分の家族の問題として考える」「新しい過労死問題を認識する」の3点についてのお話でした。
労災認定されなかったケースなど、例年の基調講演とは異なる観点から考えさせられ、特に今後は「新しい過労死問題を認識する」視点を持つことが重要であると理解できました。兵庫家族会の遺族からの発言では、ご主人が十分な語学教育もないまま初めての海外勤務をさせられたうえ、本来の担当業務ではない仕事に苦しめられた末に亡くなったことが語られ、企業が労働者にとって健康で意欲や能力を発揮できる環境を整えることが過労死防止につながると訴えられました。
(兵庫家族会 福永)
岡山過労死等防止対策推進シンポジウム報告
岡山での過労死等防止対策推進シンポジウムは,11月11日にイオンモール岡山内にあるおかやま未来ホールにて行われました。
講演は2部構成で行われ,始めに産業カウンセラーの三木啓子氏によって「ハラスメントのない職場環境に向けて」と題して主にカスタマーハラスメント(いわゆるカスハラ)について講演して頂きました。この講演を聴いてカスハラは法的規制がないのでこの問題を解決するには,企業努力に頼るしかないと諦めるしかないと実感しました。次にびわこリハビリテーション専門職大学教授の垰田和史氏によって「生きること,働くことを,過労死問題を通じて考える」と題して、休息・特に睡眠が如何に大切であるかを講演して頂きました。遺族の訴えは兵庫過労死を考える家族の会の西垣迪世氏によって息子さんの死を中心に今でも若者の過労死・過労自殺が減らない現状を資料によるデータに基づいて訴えて頂きました。
今回のシンポジウムは岡山労働局側の強い要望でカスハラの講演を入れたので2部構成となりましたが,シンポジウムの時間をもっと長くしても良いから二人の講師の話を詳しく聞きたかったと思いました。また,会場が600名ほど収容できる会場に72名の参加者しかいなかったので,もっと小さい会場でも良かったのではないかと思いました。
(岡山家族会 中上裕章)
山陰過労死等防止対策推進シンポジウム報告
島根県江津市開催(2022年11月17日:151名参加)にあたっては一年前から、基調講演は寺西笑子全国過労死を考える家族の会代表にお願いすると決めつけ本人の承諾を得ていたのです。
2013年(平成25年)の1月、私は浜田市議として過労死防止法制定に向けた請願書を島根県市町村20議会に提出し3月~9月議会において全会一致(19県市町村議会)により、国に意見書を送付されたのです。※2014年(平成26年)6月20日国会において全会一致により過労死等防止対策推進法が成立したのです。画期的なことでした。しかし当時、江津市議会だけが3名の反対者により採択されなかったことが未だに悔やまれ、過労死防止シンポジウム江津開催が8市の中で最後になった経過から寺西代表に【過労死問題の本質】を行政・議員・市民の皆様に遺族の立場で説いてほしかったので講演を依頼しました。
寺西笑子代表の基調講演は、辛かった過去を遺族として性根の入った、とても分かりやすくお話しされ、来場者の方々から『十分理解しました。久々にいいお話を聞きました。』との声と感想が多かったのです。
一方で、江津市議会での不採択に対する批判の声『恥ずかしい話だ!』も数名からお聞きしました。
(山陰家族会 三浦一雄)
東四国過労死等防止対策推進シンポジウム報告
徳島会場報告
日時:11月17日(木)13:00~15:20/場所:徳島大学(けやきホール)別会場含め/参加者205名
遺族発言:中原 のりこ氏「夫の死後、職場の机で見つかったレポートには『閉塞感の中で私には医師という職業を続けていく気力も体力もありません。』とつづられていた。命を絶つまで働くようなことがあってはならない」と発言。取材の新聞記者から、疲れ果てて帰宅する医師1年目の姪を思い、「今日の話を研修医にも聞かせてあげて欲しい」と希望がありました。
基調講演:牧内 昇平氏、「取材から見えてきた過労死の実態」「仲間(労働組合、SNS、NPOなど相談機関、役所、同僚、家族、友人)」はたくさんいると多くの取材事例から学生たちに分かり易く話してくださいました。裁判の勝利、敗訴にかかわらず取材されている 姿勢に救われたように思いました。
香川会場報告
日時:11月16日(水)14:00~16:00/場所:香川国際会議場/参加者75名
基調講演:今野 晴貴氏「日本の職場における過重労働・ハラスメントの構造と課題」
講演から、権利行使の支援の重要性=権利の「発見」と支援。権利は主張することで作られる。過労死が引き起こされる要因に精神的圧迫を「戦術的」に行使する解雇戦術が行われている現実に至っては、残酷な経営者にどう立ち向かうか、逃げるか、教育が必要。
遺族発言:安徳 晴美氏、働きながら.お子さんと教育者であった長年寝たきりの御主人様のお世話、労災申請、お見送り。もし私であったらと思いながら苦しく聞きました。過労死等が起こらないように、起こさせないようにするにはどうすればいいのでしょうか、過労死等の元栓をしっかり締めなくてはなりません。子供たちには文科省による義務教育から少なくてもワークルールを学び、社会に出ていくようにしてあげてほしい。教育と救済の両輪が揃う必要があると考えます。
(東四国家族会 大島照代)
愛媛過労死等防止対策推進シンポジウム報告
今回の取り組みとしては、基調講演の後に、初めてパネルディスカッションを取り入れた事です。天笠先生による、「ハラスメントからくる労働関連疾患をなくすために」の講演では、数多くのデータ・実例をもとにハラスメントがいかに疾患への影響が大であるかがわかりやすく聴く事が出来ました。その後のパネルディスカッションでは、愛媛労働局天笠先生、いの健愛媛センター松木さん、家族の会久保の4名、コーディネーターに長井愛媛大学名誉教授を迎え、約80分意見交換を行いました。
しかしながら今回、愛媛労働局がパネラーに入る事により、労働局サイドの動き・考え方は、非常にいい勉強になりましたが、基本シナリオにかなりの意見が入り、本来の闊達な意見交換にはいたらなかったこと残念です。コーディネーターの長井先生も調整にかなりのご苦労をお掛けしたのではないかと思います。ただ、今回、初めてのことでもあり、次年度以降も新たな取り組みを模索しながらシンポの開催ができればと思っております。
(四国家族会 久保直純)
福岡過労死等防止対策推進シンポジウム報告
~しごとより、いのち~
2022年11月4日、過労死等防止対策シンポジウム福岡が開催されました。祝日後の金曜日にもかかわらず100名を超す人々に、会場となった博多駅近く(南隣)のホテルの会議室へお集まり頂きました。地元の過労死事案の草分けたる梶原恒夫弁護士の基調講演、全国過労死家族の会寺西笑子代表による遺族体験談、さらに福岡では初の試みである「パネルディスカッション」で2時間30分があっという間に過ぎました。
今回の企画のコンセプトは「ディーセントワーク」。すなわち「働きがいのある人間らしい仕事、より具体的には、自由、公平、安全と人間としての尊厳を条件とした、全ての人のための生産的な仕事」を実現しようということでした。パネルディスカッションでは梶原弁護士、寺西さんに加え、連合福岡ユニオンの志水照美さん、いの健福岡の渡邉宏さんにパネラーとしてご参加いただきました。それぞれの経験談を交えて「人間らしく生き働くためにどうしたらいいか」という命題への道筋が語られました。梶原弁護士の基調講演で「ディーセントワーク」の枠組みについてご説明をいただいた後に具体的な事例についてのお話を受け、「働きがいのある人間らしい仕事」のイメージがより多層的になったように思いました。
(福岡家族会世話人)
東九州過労死等防止対策推進シンポジウム報告
大分会場報告
大分シンポジウムは、精神科医の高野智樹氏が、「メンタル不調からの職場復帰支援」について、現状や復帰までのステップなどについて、講演されました。
復帰までの道のりが具体的に多方向から検討され、解りやすい内容で、宮崎でもぜひ、講演していただきたいと思える内容でした。
遺族発言では、佐賀県のMさんが、会社員だった当時40代のご主人の過酷な長時間労働の実態についてお話しされ、社会全体の対策の必要性を訴えられました。
宮崎会場報告
宮崎シンポジウムでは、岡田康子氏が、「パワーハラスメントを防止するために」と題して、主にパワハラ行為者に対するプログラムについて講演して下さいました。
遺族発言は、佐戸恵美子さんが登壇され、NHK記者だった長女に、パワハラともいえる過重で過酷な労働を強いて過労死させた会社が、さらにまた新たな過労死事件を起こしてしまったことに対する憤りと、「娘の事件が何も生かされていなかった」と、唇を噛まれていたことが印象に残る迫力ある御発言でした。
宮崎会場では、初の取り組みとして、事前質問を受け付け、岡田先生と桐木が、約10分(6問)に対してそれぞれの立場から、答えさせていただきました。
(東九州家族会 桐木弘子)
全国過労死を考える家族の会の活動
【主な活動報告】
9月26日 全国過労死を考える家族の会ニュース第87号発行:全国家族の会
9月29日 過労死等防止啓発・インターネット会場の録画撮り:京都駅前TKPガーデンシティ
9月30日 オンライン相談会準備会:WEB会議(zoom)
9月30日 過労死弁護団全国連絡会議総会:ANAクラウンプラザ大阪&オンライン
10月55日 働くもののいのちと健康を守る全国センター理事会:WEB会議(zoom)
10月56日 日本母親大会実行委員会へメッセージ送付:全国家族の会
10月20日 働くもののいのちと健康を守る全国センター労働行政検討会:WEB会議(zoom)
10月29日 第17回全国家族の会30周年記念誌準備会:WEB会議(zoom)
11月56日 全国家族の会事務局会議:WEB会議(zoom)
11月59日 全国家族の会統一行動(要請行動、宣伝行動、中央シンポジウム):東京・霞が関周辺
11月10日 全国家族の会総会・交流会:東京・四谷駅前、主婦会館プラザエフ
11月15日 過労死等防止対策推進協議会事前会議:WEB会議(zoom)
11月21日 第23回過労死等防止対策推進協議会:東京・新橋カンファレンスセンター&オンライン
12月32日 第4回遺児交流会準備会:WEB会議(zoom)
12月35日 厚生労働大臣要請および厚生労働記者クラブ会見:厚生労働省内
12月37日 働くもののいのちと健康を守る全国センター理事会および総会:全労連会館&オンライン
12月18日 第18回全国家族の会30周年記念誌準備会:WEB会議(zoom)
12月22日 過労死等防止について考える議員連盟総会:参議院会館B1会議室
12月24日・25日 遺児交流会:群馬県みなかみ町
2023年1月14日 全国家族の会事務局会議・世話人会:WEB会議(zoom)
カンパのお願い
家族の会は皆様のカンパを主な活動原資として活動しています。
カンパのご協力をよろしくお願いします。
ゆうちょ銀行 店名 〇五八(ゼロゴハチ) 店番 058
預金種目 普通預金 口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会(ゼンコク カゾクノカイ)
【発行】全国過労死を考える家族の会(2023.1.28発行)
【事務局】東京駿河台法律事務所内 TEL. 03-3234-9143
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