全国過労死を考える家族の会

全国過労死を考える家族の会ニュース 第74号

【発 行】 全国過労死を考える家族の会  (2018.3.25発行)
【事務局】 東京駿河台法律事務所内  ℡ 03-3234-9143
東京都千代田区神田神保町2-3-1 岩波書店アネックス7階


「過労死家族の会」・加藤勝信厚生労働大臣と面談!
~過労死の実態を訴え、「高プロ・裁量労働制拡大」法案の削除を要請~

「家族の会代表」、衆議院予算委員会 公聴会 公述人へ

「働き方改革」関連法案、裁量労働制で働く人の労働時間の不適切なデータ問題をめぐり2月21日「中央公聴会」がおこなわれることになり、野党の推薦を受け「家族の会代表(寺西)」が招聘されました。随行は中原のり子さんと渡辺しのぶさん、傍聴席から東京家族会の皆さんに見守られ、準備の時間は取れないままぶっつけ本番状態でしたが、遺族の憤りと積年の思いを込めて意見陳述し、7党の議員の質疑に応じました。
要旨は、家族会の紹介、会員の事例(高プロ、裁量労働制の2事例と夫の事例)、「働き方改革」関連法案のなかで危惧する3つの問題点(残業時間の過労死ライン、高プロ制度、裁量労働制)を指摘し反対する理由を述べ関連法案の削除と実効性ある残業時間の規制を強く求めました。
公聴会の様子:http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47805

厚生労働大臣 田畑裕明政務官と面談

公聴会後、Wさん(裁量労働制のご遺族)と合流、家族会12名と野党合同ヒアリングに参加。
当初与党は2月中に(衆)予算委員会採決・本会議で上程し可決させる方針だったため、緊急対策として厚労大臣へ面談を申し入れましたが、公務で不在だったため政務官と面談し、週内に厚労大臣との面談を要請しました。終了後、厚労記者クラブ会見をしました。記者の質問で「政府が施行を一年延期する方針を固めた。」ことの感想を聞かれ「施行の延長は法案を通すことが前提になる。私たちは法案から削除を求めている。施行の一年延期は意味ない。」と反論しました。

「過労死家族の会」・加藤勝信厚生労働大臣と面談!

「週内は無理」との厚労省側へ強く要望し「2月23日(金)の夜、15分間」の面談が決まりました。
要請の持参資料として、「公聴会」の配布資料と寺西の意見陳述書、そして過労死防止全国センター代表幹事の声明文『前提となる調査データが撤回された裁量労働制拡大法案の再上程に反対します』を手渡しました。加藤厚労大臣は公務で定刻より到着が大幅に遅れたことで、「時間は気にせず自由に進めてください」といわれ、約45分間寺西の進行で面談しました。家族会10人の遺族と4人の当事者から地獄のような悲惨な実態を訴えました。加藤厚労大臣は「皆さんの思いがひしひしと伝わってきた、監督指導を強化し、与党内の議論を含め、過労死を無くすことを共有し健康を壊すことがないように努力する…」など、国会答弁のような答えに対し、「お言葉ですが」と切り返し、臨検監督の実情や過労職場で働く人の実態を訴え、成果主義への問題提起をし、高プロ、裁量労働制を削除するよう求めました。(※2月28日安倍首相は裁量労働制の対象拡大を法案から全面削除を決めた。)
(寺西笑子)

「全国家族の会」世話人会報告

開催日・場所:1月20日(日)10時30分より12時30分 中央大学駿河台記念館
出席者:玉木弁護士 事務局4名 世話人15名(北海道 宮城 東京 神奈川 長野 静岡 名古屋 京都 大阪 兵庫 岡山 山陰 四国 福岡 東九州)オブザーバー:岩城弁護士 他1名 計22名

【活動報告】

「過労死等防止について考える議員連盟」の総会への出席、「過労死防止協議会委員」のスカイプ会議の開催、日比谷公園野外音楽堂集会、「いの健全国センター」総会での公務災害報告、第73号全国ニュースの発行、過労死防止協議会委員事前会議などの報告があった。
今後の活動として、1月26日に開催される第10回過労死等防止対策推進協議会が、法律と大綱の見直しを協議する重要な協議会となるため、傍聴の要請があった。

【情勢報告】

玉木弁護士より働き方改革についての国会情勢と労災認定基準改定要請の報告があった。現在通常国会で審議されている「働き方改革」が過労死を促進する法案であることを訴え、今が正念場であると認識し頑張ることを訴えられた。
20年を経過した脳心臓疾患と精神疾患の発症後の過重負荷についての問題点を指摘し、過労死弁護団プロジェクトチームで改定案を検討中で、完成後の家族会への応援要請を求められた。
家族会より、過労死弁護団と車の両輪として深く連携して、各地から積極的に活動に参加し、遺族・当事者被災者として一番の真実の声を社会に広め、過労死防止を訴えていきたいと決意が述べられた。

【中央行動の総括】

厚労省要請では参加人数の把握と部屋の確保、要請者の取り決め方法などの問題があげられた。要請当日の予定外の参加や欠席、要請者の事前連絡、要請の方法など形式的な取り決め方と柔軟な対応方法を次回9月の世話人会で検討する。1日も早い遺族の案件の認定と、その職場の実態や改善要求の生の声を届ける目的のため、調整を進めることが提案された。
基金本部要請でも要請場所の狭さや参加人数の制限の問題があげられた。要請の対応は、時間も伸びて丁寧になり改善されており、個別案件にも回答があった。要請内容は厚労省と違い各支部には報告されていない問題があり、今後の要請に反映するための検討課題とした。参加者への各行動時間連絡の徹底が確認された。

公務災害担当者から要請参加への協力が求められた。会計担当から積極的に元気に活動できる「家族会」の運営のためカンパを含め外部に大きくアピールしていくことが提案された。遺児交流会担当者は参加した子供たちの輪が広がっている事や、100%満足のアンケートの声を紹介し更なる参加を呼び掛けた。
各地の家族会から進行中の裁判の状況などが報告された。神奈川、四国、東九州の家族会の結成報告など、積極的な活動の報告と意見が出された。
(記録 兵庫:西垣 稲葉)

各地のニュース

北海道

1月28日(日)午後2時から、札幌市内で「第6回北海道過労死を考える会」の総会が行われました。新会員さん4家族が参加し25名の参加人数でした。
総会前に佐々木潤弁護士が「精神障害に対する国(行政)認定基準の歴史的推移」と題し新認定基準に至った経過内容を説明して下さいました。
係争中の新人看護師(23歳)過労自死事案のSさん、新人看護師(34歳)パワハラ自死事案のIさんが裁判の報告をされました。
新人看護師(36歳)パワハラ自死事案のMさんも4月中に行政訴訟を提訴する予定です。
懇親会には昨年12月26日に民事調停で勝利解決をしたIさんがお子さん2人と参加しました。
2013年9月ご主人(30歳)が大手製紙工場内で感電死し、会社は労災事故で対応しましたがIさんは長時間労働などの労務管理に納得いかず、2016年11月札幌簡易裁判所に提訴しました。
9回目の調停で成立し慰霊碑を建立させる、謝罪文、解決金などを勝ち取った事が報告されました。
(菊地悦子)

長野

1. 家族の会の代表の方々「働き方改革」について、連日国会への傍聴や要請行動に取り組んで下さり感謝しております。「過労死」は大きな社会問題になっておりますが、依然として若者の労働状況は厳しく、過労自殺も後を絶ちません。働き方改革は、「弱い立場の労働者を守り、過労死がなくなるような施策を」と心から願っています。
2. 長野でも、息子さんの過労が心配と話された母親の相談やパワハラや体罰もまかり通っている職場で働いていた息子さんもいます(母親が退職させました)。過労死を未然に防ぐための相談所が必要で労基署はその役割を果たしてほしいと思います。
3. 労災申請をしても認定されない方々が2/3もいます。その方々への取り組みはどうして行ったらよいのかも課題です。
4. 息子の損害賠償裁判は、労基署より裁判所に提出された1590枚の書類から更に厳しい息子の労働実態が明らかになってきました。支援する会の方々に呼び掛け3月20日に「中間報告会」を開く予定です。尚次回の裁判は、4月13日10:30から伊那地裁にて行われる予定です。
(小池宣子)

神奈川

「グリーンディスプレイ青年過労事故死裁判」のご支援を賜りましたことを心から感謝申し上げます。息子は2013年10月入社して、時間外労働80時間を超える、長時間不規則労働、睡眠不足で疲労を蓄積させていきました。公共交通機関が利用できない時間帯の通勤がある為、原付バイクの利用の指示、容認がされていました。それらが原因で2014年4月24日、前日からの22時間以上の長時間連続勤務から早朝の帰宅途中に、原付バイクでの事故に至り、命を落としました。希望に胸膨らませ、社会に出たばかりの新入社員でした。そして2018年2月8日横浜地裁・川崎支部の和解決定においては、私の悲願であった、帰宅途中の事故においても、企業側の安全配慮義務違反が明らかになりました。事故の原因が過労によるものであり、今後の過労死問題において、「過労事故死」が公になることで、大きな影響があると考えています。この事件は氷山の一角であり、これからの課題と位置づけ、再発防止を強く願っております。
(工藤祥子)

東京

働き方改革を今国会の最重要課題と位置づけた安倍首相は、その法案の中に裁量労働制の対象業務拡大と高度プロフェッショナル制の導入も盛り込みました。
家族会ではこの制度を導入すると過労死が確実に増えるという危機感から、反対運動を展開しました。東京家族会では、全国の過労死家族の思いを背中に、連日国会に足を運び、国会議員の方々や厚労省にこの法案の危険性を訴えてきました。野党議員と連携し、報道の力を味方に、多くの人のご支援があり、今国会から裁量労働制ははずされました。この間の東京家族会の動きを簡単にご報告します。

2/6 民進党、希望の等による「働き方改革検討のための合同会議」参加 発言
2/16 野党6党緊急合同ヒアリング参加
2/19 裁量労働制データに関する厚労省の会見9時・11時・18時 同席した会員それぞれから発言、ニュース23でYさんの報道
2/20 衆議院予算委員会傍聴
2/21 寺西代表公聴会発言 傍聴、厚労省訴え、記者会見
2/23 野党決起院内集会発言、加藤厚労大臣面談、記者会見
2/26 衆議院予算委員会傍聴、参議員議員会館にて連合院内集会
2/27 連合会長街頭宣伝に参加(東京駅)
2/28 衆議院予算委員会傍聴、「労働時間法制を考える院内市民学習会」参加
3/1 厚生労働省交渉、厚労省記者会見、衆議院野党「高プロ勉強会」
3/2 参議院予算委員会傍聴、議員事務所ロビィング、職場のハラスメント勉強会参加

引き続き高プロ反対運動ご協力お願いします。
(渡辺しのぶ)

静岡

静岡では現在行われている過労による過労死の事案で報告します。
被告のA原子力発電所 の原告(被災過労死で35歳で亡くなった被災者の家族)への反論の文章を記載します。私たち原告側は過労で自殺したと主張する原告がなくなる20日前からほとんど、寮での朝、晩の食事をしていない事実を示しました。(寮の食事に対する清算処理から明らかです)
被告の主張は(寮の管理者がいつもどうりの食事をしていたとの証言を示しました。)その証言は誤った事実を話しております。そのことを原告が主張しました。すると被告の反論には次の文章が含まれていました。
被告主張
「各従業員のプライベートな行動である寮での食事の回数に至るまで被告がその都度把握する義務があるかのような原告らの主張は、使用者に課せられた安全配慮義務を従業員の就労場所での労働環境にとどまらず従業員のプライベートな行動まで課すこととなり、安全配慮義務を無限定に拡大するもので失当というほかない」
しかし家族の願いは多くの従業員が食事を食べていない様子、被災者が混乱を示したり、いつもと違う状態を見せる中で、何とか被災者を助けられなかったかと祈るような気持ちで記録を探しています。原子力発電所側は何があっても以上のように破棄捨てるように言い放ちます。しかし事実はどうでしょうか、長時間労働についてこの会社はタイムカードを使わずA原子力発電所でありながら、手書きの残業簿を提出させていました。働いているのにサービス残業とする時間の設定が毎日約1時間その後、帰ったとする時間の後、1時間以上後に仕事のパソコンを閉じた時間が続きます。時に書類の1週間の提出おくれでも許可されていました。そこに就労時間の安全配慮義務は全く見られません。そこに書かれているのは日々のサービス残業の事実で記録にあるだけでも、各月30~48時間に及ぶ残業の隠ぺいが公然と行われていました。そのうえ寮での残業は隠されております。多くの仕事を与え寮での残業も強要されていましたが、いざとなると隠蔽し否認しております。そこでも会社に安全配慮義務はないと強く主張する企業行動であると考えると、被災者をなんと考えるのか、どうして守るのか、残念でなりません。
(尾崎)

愛知

現在、名古屋の家族会は悲しみの中にいます。この原稿は締切日の3月5日に書いていますが、今日は会がお世話になった方の告別式になってしまいました。それは、愛知過労死防止シンポジウムで2年連続で司会をして下さったKさんです。まだ46才の若さで死因はくも膜下。突然の知らせに驚くばかりでした。ご自分の復職拒否事件の勝利和解後、愛知争議団で頑張られていた方です。ご存知のように、シンポジウムで落語を披露していただいた桂福車師匠も急逝されています。お二人のご冥福をお祈りします。
2月11日は名古屋家族会の総会でした。今回は29名の参加がありました。中京大学名誉教授の猿田先生より「人に寄り添うことの素晴らしさ」、水野弁護士より家族会の歴史と「目の前の過労死を救済することが働き方改革につながる」という話をいただきました。そして長年代表をされた美穂さんへ感謝品、カンパを下さった方への感謝状の贈呈などを行いました。会計報告では、全国家族会の会計監査をされた経験から全国会の財政を心配する声が出て、名古屋へのカンパの一部を全国へ入れてはどうかという意見が出ました。尚、会計はMさんに交代になります。
最後に会員ではありませんが、1月25日にK先生の労災認定裁判が名古屋高裁でも勝利しました。ぜひ、4月11日の寺井土木の判決にも繋げたいです。
(内野博子)

京都

1月に京都家族の会の第30回総会を開催しました。京都家族の会は1990年に結成されました。今回は参加者が少なく淋しい会となってしまいました。京都の過労死の現状、全国家族の会の報告、京都家族の会事例報告をしてもらいました。Aさんの裁判を支援する会から、支援の会が解散したこと、その後の状況や今後も家族の会を財政面などで支援していきたいという申し出もありました。闘う人を応援し、励まして共に闘うことのできる会でありたいと思います。
5月21日は、過労死防止京都連絡会の総会を予定しています。森岡孝二先生に「過労死防止法の見直しと安倍働き方改革」と題して講演していただきます。Aさんの裁判では、大きな課題が残されました。過労死防止啓発運動と過労死救済運動がかみ合っていないもどかしさを感じています。過労死等防止対策推進法制定後の現状をしっかりと学習し、過労死被害の救済や、過労死防止のための運動につながる総会を目指したいと思います。
(中嶌清美)

大阪

昨年12月15日、大阪家族の会忘年会を開催し、会員と支援者26名参加しました。それぞれ1年間の報告をし、交流を深めました。後半は、岩城弁護士のギター伴奏で、全国家族の会代表の寺西笑子さんが「ぼくの夢」の歌を披露され、みんなで合唱をおこない、心和むひと時を過ごすことができました。
今年2月17日、エル大阪で行われた民主法律協会主催「権利討論集会」に9名参加しました。法政大学・上西充子教授の「安倍政権の『働き方改革』の問題点にどう取り組むか」の講演を聴きました。まさに、今国会で裁量労働制拡大への問題が大きくなっているタイミングとなり、私達にとって関心深い内容で理解が深まりました。午後の分科会では、「働き方」の事例報告が行われ、参加者の過労死事件を具体的に議論することもでき、たいへん充実した集会になりました。
このように学ぶ機会はとても大切と再認識した一日でした。
(小池 江利)

兵庫

神戸の製菓会社でパワハラにより自死した20歳の息子の労災認定を!

息子は特定の上司からの毎日のパワハラと過重労働で鬱になり、電車へ投身しました。人生これからという若さです。仕事熱心でやさしい息子でした。
同僚たちの証言やタイムカードなどから、それらが明るみに出てもなお、会社側は
「そのような事実はなかった」と真っ向から否定しました。
労災認定にむけ2月から署名を募り、2月23日には1052筆15団体もの数になりました。家族や労働組合、その他たくさんの方々の協力で成しえたものです。
ただ、街頭で話を聞いてくださるのは現役を引退したであろう年代が多く、働き世代のほとんどの人が足を止めることもなく歩き去っていきます。足を止める余裕さえなく疲弊しているのだと感じました。そのことに本人や周りの人すら気付いてはいません。
後悔と悲しみに苦しみ続ける遺族を増やすことはもうまっぴらです。
企業の在り方や、仕事への取り組み方を変えなければ、日本に明るい未来などないことを知ってもらうためにも取り組みを続けたいと思います。
(兵庫家族の会 K・M)

四国

皆さん、こんにちは。四国の家族の会です。
昨年11月に設立し、はや4月、まだまだ、大きな活動ができていませんがメンバーそれぞれの地において地道な活動をおこなっております。
徳島においては、係争中の方の支援をお隣の香川県まで行っておこない、高知においては、地元の遺族の会への参加による情報収集活動、地元マスコミとの関係作り。
愛媛においては、地元大学での啓発授業、啓発授業開催先の拡充のための打ち合わせ、いの健愛媛幹事会出席による情報取集、NPOtel相談養成講座修了、同防止セミナー、遺族の会参加、遺族わかちあいの会(3月より)開催。
そろそろ11月のシンポジュームへの打ち合わせが始まります。
今年は、我々が参画、主導できるように、各地で活動をおこないたいと思っております。
「過労死」は減少させるものではなく「ゼロ」にすべきものです。
データは氷山の一角であり、そのデータに翻弄されることなく「ゼロ」に向けて!!(久保直純)

東九州

東九州家族会には、大分に労災申請中の会員が1人と損害賠償請求訴訟中の会員が1人、宮崎には損害賠償請求訴訟中の会員が2人います。その中の宮崎の1件が全面的勝利和解を2月に勝ち取ることができました。ガス会社勤務の40代男性の自死事件でした。労災申請段階では、労基、審査請求と不認定でしたが、再審査請求で認められたという劇的な労災認定事件でした。事件当時、小6だった遺児は、4月から高校生になります。心機一転、楽しい学校生活を送れるようにと願っています。
私の活動としては、1月26日に宮崎で開かれた九州労働弁護団の総会に出席し、各県の関係者と交流できました。この総会で、係争中の宮崎の会員の事件の報告もありました。年に2回開かれるこの総会に出席させていただき、交流することで、過労死家族会の存在と必要性を考えていただく一助になればと思っています。
(桐木弘子)

【ご案内】

• 6/2土~6/3日 第4回過労死防止学会総会 会場:北海学園大学キャンパス
お問合せ:過労死防止学会事務局<info@jskr.net>
• 6/13水  “過労死110番”30周年記念シンポジウム 会場:品川プリンスホテル
15:00~17:30 懇親会17:30~    お問合せ:各地世話人
• 7/15日~7/16祭・月 夏の一泊学習交流会 会場:(京都)聖護院「御殿莊」
お問合せ:各地世話人

【カンパのお願い】

*家族の会は皆様からのカンパで活動しています。ご協力を宜しくお願い致します。

ゆうちょ銀行 店名 〇五八 (ゼロ ゴ ハチ) 店番 058
預金種目 普通預金 口座番号 3713219
口座名義 全国家族の会(ゼンコク カゾクノカイ)

過労死等防止対策推進全国センター 声明文

前提となる調査データが撤回された裁量労働制拡大法案の再上程に反対します

2018年2月23日
代表幹事 川人 博、寺西 笑子、森岡 孝二

当センターは、2014年6月に過労死等防止対策推進法(過労死防止法)が成立したことを受けて、全国過労死を考える家族の会や過労死弁護団全国連絡会議と連携し、過労死(過労自殺を含む)の防止に取り組んでいる民間団体です。2015年3月には、過労死と過重労働を助長するという懸念から、①「高度プロフェッショナル制度の創設」と②「企画業務型裁量労働制の拡大」に反対する声明を発表し、同年4月に①と②が国会上程されて以降は、関連法案の審議の行方を見守ってきました。
昨年9月、③「時間外労働の上限規制」の法案骨子がまとまりました。当センターはこれについても、過労死に関わる脳・心臓疾患の過半が100時間未満の時間外労働で起きているという現実に照らして規制の名に値しないこと、および36協定の特別条項における時間外労働の限度を引き上げる恐れが大きいことから反対してきました。昨年10月の衆議院の解散・総選挙により①と②は廃案となりましたが、現在開会中の通常国会で、あらたに①・②と③が他の「働き方改革」の関連項目と一括されて国会審議に付されようとしています。当センターはこれについて、上記の経緯から深く憂慮してきました。
くわえて、ここ数日の国会論議において、企画業務型裁量労働制の営業職への拡大案の検討のために政府・厚労省が示したデータが、本来比較できない数値を比較していたことが明らかになりました。問題のデータでは、1日の労働時間は裁量制が9時間16分、一般が9時間37分となっており、これではあたかも労働時間の規制が弱く賃金不払残業を誘発しやすい裁量労働制の労働者のほうが一般労働者より労働時間が短いかのように見えます。この比較は、一般労働者については1ヶ月のうち「残業が最長の1週間」の数値、裁量制の人については通常の平均的な1週間の数値を元にしている点で、まったくでたらめです。さらに、咋日の報道では、新たに調査データの中から87事業場で計117件の異常値が見つかったと伝えられています。当センターは、このように裁量労働制拡大の国会審議の前提となる根拠が崩れた以上、政府は裁量労働制の拡大案の再上程を断念すべきだと考えます。
2014年6月に全会一致で成立した過労死防止法は、過労死等の実態の調査研究を国の責務としています。これにしたがえば、労働時間制度改革に当たっても調査研究を踏まえるべきですが、この間の経緯をみると、過労死等の実態の調査研究を脇に置いたまま泥縄式に高プロ制の創設、裁量労働制の拡大、および時間外労働の上限規制をまとめたと言わざるをえません。
裁量労働制の対象者の多くは、実際には業務にほとんど裁量性がなく、過大な仕事量を与えられて、みなし労働時間を大きく超える長時間の拘束的勤務を余儀なくされています。これについて政府・厚生労働省が十分な調査をしないまま法案をまとめ、立法化を強行することは、過労死防止法にも反し、許されるものではありません。
報道によれば政府は、裁量労働制のデータ問題をめぐる今回の紛糾を受けて、対象拡大の施行を1年延期しようとしているようですが、法案の審議のための重要データが間違っていたとして撤回された以上、裁量労働制の拡大を含む労働時間制度改革の関連法案の国会上程を取り止め、十分な調査研究を行ったうえで最初からやり直すべきです。

【主な活動報告】

1月15日 第73号全国家族の会ニュース発行
1月19日 厚生労働省と協議会会議
1月20日 10:30~12:30 全国家族の会世話人会
同日 13:30~16:30 過労死防止全国センター幹事会
同日   16:30~18:00 過労死防止学会幹事会
1月26日 第10回過労死等防止対策協議会
2月 6日 「働き方改革」勉強会
2月 7日 「過労死等防止について考える議員連盟」総会
2月20日 衆・予算委員会傍聴、野党合同ヒアリング
2月21日 衆・予算委員会 公聴会、厚労大臣 田畑政務官と面談、厚労記者クラブ会見
2月23日 野党合同院内集会、加藤厚生労働大臣と面談、厚労記者クラブ会見

【当面の活動予定】

3月16日 「働き方改革」院内集会
6月2日~3日 過労死防止学会
6月13日  “過労死110番”30周年記念シンポジウム
7月15日~16日 夏の一泊学習交流会

次回の全国家族の会世話人会は以下です。
9月1日(土)13:00~16:00 東京駿河台法律事務所http://www.surugadai.org/map/index.html

【編集後記】

緊急で全国ニュースの編集を引き受けることになりました。
今、労災申請中で現在審査請求段階でなにかと大変な時期なので、誰か編集代わってください。
実はぼくMicrosoft WORDもってないんですよね。パソコン買えばついてくるものだと思ってるかもしれませんが、あれってあくまでもマイクロソフトの商品の一つで、個別に買うと結構お高いんですよね。ので、互換ソフトのLibreOffice Writerを使って編集しています。で、これにはWORDのクリップアートみたいなのがないので、以前より殺風景な感じになっております。
(木谷晋輔)