全国過労死を考える家族の会

全国過労死を考える家族の会ニュース 第72号

【発 行】 全国過労死を考える家族の会  (2017.10.2発行)
【事務局】 東京駿河台法律事務所内  ℡ 03-3234-9143
東京都千代田区神田神保町2-3-1 岩波書店アネックス7階


すべての職場に過労死のない真の働き方改革を!

1. 政府が歪んだ構成で推し進めてきた「働き方改革」は労政審にて、過労死ラインの時間外労働の上限規制と労働時間の岩盤規制を外す「高度プロフェッショナル制度」の創設および「企画業務型裁量労働制の拡大」について、一本化反対の強い声のなか議論を尽くさず「おおむね妥当」と認め、衆院選挙後の国会で上程される見通しになりました。

2. 政府の上限規制案では、1日、1週の時間規制がないため、休日なしで1日6時間~7時間の残業を1週間続けても違法労働にならないという恐ろしいことになります。高プロは1075万円の年収要件を付けていますが、一旦導入されると年収入要件を下げることがいとも簡単にできます。深刻なのは裁量労働制の拡大です。これは年収要件がないことで若者が定額働かせ放題になり、政府・経済界主導の「働き方改革」の本質はここにあります。

3. 過労死を生み出す大半の職場は労働時間管理が適正に行われていません。正しい労働時間が適正把握していれば、本人と上司、会社や職場で過労死防止の管理ができます。まんがいち被災した場合、労災認定に必要とされる労働時間の立証にまつわる苦労はなくなり、早期救済につながります。しかし、労働時間の岩盤規制が外されると労働時間管理を怠り長時間労働なのに証明が困難になり、企業責任は曖昧にされ自己責任になりかねません。生産性をあげるために長時間労働はやむなしということになれば、認定基準の壁が高くなり、企業責任は問えない、過労死は自己責任の風潮へと意識がマイナスの方向へ流れていくことになり、本末転倒です。

4. 『教師の働き方改革』長時間労働で緊急提言!
8月29日、文部科学省の諮問機関「中央教育審議会」特別部会において、7割以上の公立小中学校は勤務時間が教師の自己申告制で、校長らが適切に管理できていない現状を踏まえ、タイムカード導入など求める緊急提言をまとめました。
この提言を受けて、公務災害担当の工藤さん、前担当の中野さん、寺西代表、内田准教授、長沼教授で、記者会見を開き教師の長時間労働に向けて前進させたい思いを語りました。
今後は全国家族の会として、文科省へ緊急提言に関する意見と要望の申し入れをする予定です。
私たちは、すべての職場に過労死のない真の働き方改革を求めていきます。
(寺西笑子)

「全国家族の会」世話人会報告

9月2日(土)13時~16時、東京駿河台法律事務所にて開催しました。出席者は、玉木弁護士、代表世話人・事務局5名、各地世話人12名(北海道、長野、東京、神奈川、名古屋、京都、大阪、兵庫、岡山、山陰、東九州、四国は11月1日に結成予定。)でした。

主な議題

1.啓発授業の講師派遣事業について
厚労省過労死等防止対策推進室と委託業者(日本旅行(株))の担当者が参加され、講師派遣事業について説明と意見交換をしました。今年度は文科省から教育委員会を通して全国の公立高校へ事業案内が送付されましたが、担当の先生に降りていないなどの意見もあり、各地域の学校へ広めていただくよう取り組み強化の要請がありました。
2.最近の情勢
玉木弁護士から、「働き方改革では今秋が山場であり、改悪を許さないという運動が必要。認定基準の改訂について、過労死弁護団で8月に要請した。精神疾患の労災認定では、発症後の労働時間・出来事について、大変厳しく評価されるので、認定されない事案が多くある。しかし裁判では、発症前と後を同等に評価する判決が出た。脳・心臓疾患の認定基準改訂から20年が経過している。時間だけでなく、総合的な判断をすることなど、過労死弁護団の要請をふまえ、11月の家族の会の要請でも行なう。」
3.全国家族の会統一行動について
・11月8日(水)9:50 弁護士会館に集合。10:20~11:40 要請行動(基金本部・厚労
省)。11:45~12:15 厚労省前宣伝行動。イイノホールへ徒歩移動。
13:00~16:00 中央啓発シンポジウムに参加。
・11月9日(木)9:00~12:00全国家族の会総会。
・注意事項:厚労省要請文の送付先は内野さん、基金本部要請文の送付先は工藤さん。
要請文の書式と提出期限は厳守。文書のみ要請者は明記する。発言者は3分以内を厳守。
4.全国家族の会総会について
・代表世話人(案)、事務局(案)、各世話人(案)、議題、進行、資料など確認しました。
・10月に福岡家族の会、11月に四国家族の会が結成予定。
5.報告事項
・8月8日~10日「遺児交流会」長野県池の平にて開催しました。(紙面で報告)
・工藤さんから、「教師の働き方改革」について、プロジェクトの呼びかけ人に参加し、各地の講演に参加。8月「中教審」から提言がだされた内容をふまえ、全国家族の会として文科省へ要望書の申し入れをする予定。働き方を変えるチャンスが来ている。ここ半年、1年が頑張りどころで、全国展開で取材も積極的に受けている。」
・寺西代表から、マー君の詩「ぼくの夢」に、作曲・山本友英先生(元・東大教授)、歌・ダ・カーポさん、CDが作成されました。9月29日過労死弁護団の総会で初お披露目。
販売について、数量限定品なので、別途連絡します。
(書記 京都・中嶌清美)

全国過労死を考える家族の会 11月8日(水)要請行動・中央シンポジウム

9:50    集合・打ち合わせ:弁護士会館 5階 ☆丸ノ内線・日比谷線・「霞が関駅」B1-b 出口直通
10:00~   基金本部へ移動
10:10~   厚生労働省へ移動
10:20~   厚生労働省・地公災基金本部へ要請
11:45~   ビラまき宣伝行動:厚生労働省前
12:20~  厚労省前~イイノホールへ移動→昼食(各自用意する)
13:00~ 16:00(中央)啓発シンポジウム:イイノホール 開会 終了後解散
11月9日9:00~12:00 全国過労死を考える家族の会総会 全労連会館(例年と場所が違います)

遺児交流会の会 in 白樺湖

今回の過労死遺児交流会は初めて夏休みの開催となりました。
長い夏休み中なので、日程は決めやすいかと思いましたが、前半は、中高生は総合体育大会や各種コンクール、大学生はテスト期間、後半は北海道・東北では学校が始まり、しかもお盆は皆さん忙しいという、限られた期間の中で多くの子ども達が参加しやすい日程を決めるのは大変で、おまけにやっと決めた8月8.9.10日に、台風が日本列島を縦断するという予報が出て、ドキドキの幕開けでした。当日は悪天候が心配されましたが、全国各地から搭乗予定の飛行機はすべて定刻通りで、皆さん無事に目的地、白樺湖に到着することができました。今回の参加者は18家族50名で、3家族が初参加でした。厚労省の支援によって、交通費の心配なく遠方からも参加できるようになり、参加者は年々増えています。ただ、小学校低学年以下の子ども達も多く、賑やかでうれしい反面、若い父親の過労死が増えているという複雑な思いもあります。一人で頑張って子育てしているお母さん達から、「母親だけだとアウトドア体験をさせる機会がない」とか、「釣りをさせてあげたいが母親だけだと無理」という要望がでていました。そこで今回は野外活動中心の企画になりました。また、子ども達も3歳から大学生まで幅広い年齢なので、対象年齢を分けたプログラムもつくりました。内容も盛りだくさんになったので、今回は到着した夜にオープニングイベントがありました。みんなまだ出会ったばかりで、はにかみながら家族の自己紹介をしました。その後、みんなで打ち上げ花火を見て、さらに手持ち花火をする頃にはリラックスして、大はしゃぎで走り回っていました。さらに大きな温泉に入る時は、男の子にはお風呂の世話をしてくれる大学生ボランティアさんがついてくれたので、お母さんたちも心ゆくまでお風呂でお喋りを楽しみました。翌日は台風一過の晴天で、午前は小さい子達は白樺湖ファミリーランドという遊園地、大きい子達は白樺湖でカヌー、という二つのコースに別れました。小さい子達は3つのグループに分かれ、それぞれに大学生のボランティアがつき、遊園地の乗り物を楽しみました。カヌーグループは白樺湖で一人乗りや二人乗りのカヌーを、自分で操りました。
以下はカヌーに参加したA君の感想です。
今回、私は白樺湖でカヌー体験をしました。カヌーの上から見える景色はとても自然が豊かで綺麗でした。また、休憩の時に地下水を飲んだのですが、驚くほど冷えていてとても美味しかったです。このような機会があれば次回も参加したいです。

子どもと分かれた親達は、リラクゼーションのプログラムの後、グループミーティングで日頃の思いを分かち合いました。辛い話や悲しい話、頭にきた話など、過労死を体験した人でなければわからない気持ちをここぞとばかり、聞いてもらい、心身が疲れ、お腹がすいたところで、子ども達と合流して牧場でのバーベキューになりました。この牧場では、数家族で一班になり、子ども達は協力して薪を運び、火おこしをして、食材を調理し、焼いて、食べて、片付けまで、足りないところは大人がちょっと手伝って、みんなでやり遂げました。
午後は、小さい子ども達は牧場の体験コースで乳搾りをしてバターを作り、魚のつかみ取りもしました。大きい子達は釣りと乗馬のコースに分かれ、それぞれ体験を楽しみました。また、大人向けには心理・法律・年金等の相談会が行われ、希望者は日頃の悩みをそれぞれの専門家にお話して、アドバイスを受けていました。その後、子ども達がホテルに帰ってきてから、志村祥瑚さんのマジックショーを親子そろって観ました。疲れて休んでいた子ども達もここで合流して、全員そろってショーを見ることができました。 一日の活動を通して仲良くなった子ども達は、この夜、大きい子・小さい子とそれぞれ集まって、夜中まで大騒ぎをしていました。親同士も集まり、日付が変わるまで語り合い、それぞれが、日ごろのストレスを発散させていました。
一人親だと、遊びに連れて行く機会が少なく、夏休みの絵日記に書くことが無い、と毎年悩みの種だったが、今回は、宿題の絵日記を書くことができる、と夏休み開催は好評でした。その一例Bちゃんの文をご紹介します
「楽しい。」がいっぱいの旅行
わたしは、八月八日から八月十日まで、長野県のホテルに遊びに行きました。ファミリーランドで、ゴーカート、メリーゴーランド、フワフワランド、ウォーターボールで遊びました。バーベキューはお肉がおいしかったです。その後は、ちちしばりや、バターを作りました。もどったら、志村しょうごさんのマジックショーを見ました。その後、サイン入りトランプがもらえてうれしかったです。夜は、みんなで、ブレスレットを作ったりしました。楽しかったです。また、行きたいです。

まだ小学校に行く前から参加していた子ども達が今年は中学生になってきました。この子達が大学生になった子達に、夜中まで遊んでもらっているのを見ていると、遺児交流会の10数年の歴史を感じます。子ども達はここでは、思いっきりはしゃいで、日ごろのストレスを発散しています。この会がここまで続いてきたのは、子どもにも大人にも必要だったからだと思います。子ども達同士は、ほとんど過労死の事や父親の話はしません。でも、ここにいる子は突然父親が亡くなるという、あの辛さを乗り越えてきたんだ、という同じ体験がみんなを結びつけているのだと思います。日常の生活環境の中では、こんな体験をした子にはほとんど会えません。でも、ここに来れば、仲間に会える、そして、みんな楽しそうに笑っている、さらに自分より年齢が上の子が元気にしている姿を見て自分も大丈夫だと安心できる。遺児交流会に来ることで、父親が亡くなったという辛い体験を乗り越えていく励みになればと思います。今回は大きくなった遺児達がボランティア参加という事で、小さい子ども達と一緒に遊んでくれました。中には、ご家族の都合がつかなくて、一人で参加してくれた高校生もいます。そして、小さな子ども達の面倒をずっと見てくれました。自分の事より、小さい子が楽しめるようにと気を配ってくれていたのは、小さい子の中にかつての自分を感じたからでしょうか。遺児交流会は、回数を重ね、大きな子が小さな子と一緒に遊びながら、心理面でもフォローすることができるようになってきました。一人親家庭のレクリエーションの機会を増やすとともに、親にも子にも心理的ケアの役割もある遺児交流会を、これからもよろしくお願い致します。

最後にCちゃんの作文を紹介します。
遺児交流会に参加して一番うれしかった事は友達が出来た事です。8日に、みんなで花火をやったり、9日にファミリーランドに行ったり、バーベキューをやったりと盛りだくさんでとっても楽しかったです。今までにない楽しさを味あう事が出来ました。まだまだ、みんなと一緒にいたかったです。別れの時は、さみしかったです。今度みんなと会えるのは一年後ですが半年後くらいに、また会いたいです。私は10日の午前中プールで遊んでお風呂に入って帰りました。
8日9日にお風呂に入った時は、すごく混んでいましたが10日は、すいていました。8、9日は脱衣室も混んでいてドライヤーが休むまもなく次の人から次の人へとフル回転でした。10日はドライヤーが全部あいていました。前日と同じドライヤーなのに前日の半分くらいの時間で、髪の毛がすぐに乾きました。私は思いました。8,9日はドライヤーが休むまもなく使用され続けていたので、疲れて本来の力を出す事が出来なくて、乾くのに時間が掛かったのだと思いました。10日はドライヤーが使用されても、休む時間があったので前日と同じドライヤーなのに、すごい威力で、すぐに髪の毛が乾きました。8、9日はドライヤーは無理をしていたのだと思います。ドライヤーは使いすぎで無理をして壊れたとしても部品を交換すれば直ります。直らなくても新品を買えばいいのです。でも命は、お金では買えません。最近、過労死自殺の新聞記事を読みました。なんで、どうしてと思いました。社長さんが社長でいられるのは従業員の皆さんが一生懸命頑張って仕事をしてくれているからです。社長さんは従業員の皆さんに感謝して、従業員の皆さんを大切にしなければいけないと思います。出来ないのであれば社長の資格はないと思います。この事を全国の社長さんが自覚して過労死がなくなって欲しいです
【過労死遺児交流会担当 渡辺しのぶ】

各地のニュース

北海道

6月18日(日)札幌市内の老舗旅館で懇親会が行われ、釧路市、東神楽町、室蘭市、千歳市、小樽市など全道各地から大人13名子供2名が参加しました。
昼食後、近くの北大植物園を散策しながら森林浴気分を味わい短い時間でしたが交流を深めることができました。
7月19日(水)、過労死防止シンポジウムに向けて北海道労働局監督課が各団体に呼びかけた「意見交換会」に14名が参加しました。
道経済連合会、道商工会議所連合会、道中小企業団体中央会、道連合会、道労働組合総連合、道働き方改革推進室労働環境グループ、いの健道センター、弁護士3名、家族の会2名が11月24日(金)に行われる当日のプログラムと今後の予定などを確認し合いました。
現在係争中の裁判は行政訴訟1件(札幌地裁)、損害賠償請求訴訟1件(札幌簡易裁判所)です。
2013年7月、新人看護師(Iさん34歳男性)がパワハラにより自死した事案は行政訴訟に向けた準備が進められています。
(菊地悦子)

東京

今期第一回目の交流会を、8月26日、駿河台法律事務所内にて、新会員さんを含む12名が参加し、和やかな雰囲気で行われました。同じ痛みを持つ者同士、ここでしか言えない事や悩み事を話してもらい、前向きになってもらえればと願っています。私もこの会があって救われた一人です。会員さんも増える中、被災された方々の心のケアや分かち合うことの必要性を感じています。これからも皆さんに寄り添っていきたいと思います。
(古川美恵子)
9月9日 医師の長時間労働を考えるシンポジウムを行いました。
全国過労死弁護団・医師ユニオン・東京過労死家族会共催でシンポジウム行いました。120名の部屋は満員で、「過労死・過労自殺の一番の原因は、勤務時間の適正把握がなされていないこと」ということを確認し合いました。時間外労働のこと、医師の応召義務でオンコールの負担が大きいこと、体力の限界まで追い込まれて働く状況を常態化している医療界へ、これからもメッセージを伝えたい大きな一歩となりました。
(中原のり子)

神奈川

2017年5月25日、「神奈川過労死等を考える家族の会」を発足いたしました
神奈川県では、ちょうど3年半前、東京家族の会、過労死弁護団、各民間支援団体のメンバー10名ほどが初めて顔を合わせ、どのようなシンポジウムにしていこうかと話し合いを始目ました。その中で神奈川県でも、数多い労働被災者ご本人やご家族に、精神的にも実務的にも支援することが出来ないかと話し合いを重ね、やっと5月25日、全国14番目の家族の会として「神奈川過労死等を考える家族の会」を発足する事が出来ました。
5月25日の発足のつどいには、予想をはるかに上回る101名もの各方面からのご参加を頂き,大変気の引き締まる思いでした。
当日は、川人博弁護士の基調演説と共に、寺西笑子代表、東京家族の会、中原のり子代表に力強いご挨拶を頂きました。個人会員数8名からスタートです。
7月9日には第1回目の初顔合わせ兼交流会を、神奈川県らしく中華街で行いました。8名のご参加を頂き、初対面の方々も含め時間を忘れるほど話が進み、和やかな交流会となりました。
「神奈川過労死を考える家族の会」をどうぞ宜しくお願い申し上げます。
(工藤祥子)

山梨

9月10日過労死家族の会懇親会
2017年9月10日石和温泉なごみの湯で過労死家族の会懇親会が開かれ、7名が参加しました。
このたび3年にわたる裁判を闘った「深澤佳人さんの犬咬み裁判」の判決を9月12日に控えて深澤さんから、詳しい説明がありました。
8月に結審した東京電力の芦澤拓磨モラルハラスメント裁判の報告、これも9月に結審したNTT野中延吉突然死裁判の詳しい説明、現在進行中の奥山政一再発休業補償給付裁判の状況など、皆からの質問も交えて、なごやかに交流しました。
そして本日はじめて参加した中村律子さんが自己紹介を兼ねて説明し、甲府の国母団地で金属レンチの梱包を10年やってきて、3年前に解雇され、くやしくて小笠原忠彦弁護士に頼んで裁判をやっていると報告、和解の話も出ており、どうするか相談したいとのこと、参加者の全員が「過労死の会」を入口に加入されているので、Aさんも検討してほしいとお願いしました。
深澤佳人さんの「犬咬み裁判」は、一部勝訴部分はあるものの、「原告の主張を棄却」する敗訴でした。
早速東京高裁に控訴しました。みなさんのご支援を宜しくお願い申しあげます。
(保坂忠史)

長野

今年1月20日に伊那労基署で労災認定された、故小池雄志さん(31歳)の第1回「損害賠償請求」裁判が、8月21日、長野地裁伊那支部で行われました。50名近い方が傍聴に集まって下さいましたが、半分以上の方が法廷に入れない中、小池さんと松村弁護士の意見陳述が行われました。被告の野村建設は、弁護士のみの出廷でした。
次回裁判 10月30日(月)10時30分開廷(長野地裁伊那支部)
スカイマーク整備士過労死労災裁判は、今年1月27日最高裁に上告し、現在まで12回(内原告5回)の要請と最高裁前での宣伝を行いました。併せて、個人署名 12706筆  団体署名 427団体 を提出させていただくことができました。 労災の取り組みは10年目に入ります。引き続き皆様のご支援ご協力宜しくお願い申し上げます。
(猪又としみ)

静岡

静岡での今年の過労死防止対策推進シンポジュウムは昨年5時以降の開催で参加者から「シンポジュウムに参加するのも残業です。」との発言より午後の1時30分からの開催を検討しております。日時は11月29日と決まりました。医師による講演のほか静岡の災害事例による3名の発表を9月16日の静岡の家族の会の連絡会で決まりました。
1、富士機工障害者自死裁判の報告と裁判の重要な意味「障害者の雇用に対して注意、配慮を喚起する悲惨な事例」。
2、飲食店業界での過重労働によるうつ発症の報告事例
3、発電所内で自死した被災者のサービス残業の実態
過労死防止学会の報告事例からいくつかの案件について概略を紹介する計画です。3件~4件、各分科会
1件ほど過労死防止シンポジュウムのポスタ―は静岡県内にある上場企業の静岡にある本社50社に送付します。県内の図書館にも100ヵ所送付いたします。
(尾崎正典)

愛知

7月6日、岐阜市役所でのパワハラで自死されたAさんの判決が名古屋高裁であり、地裁に続き勝訴しました。ひどいことに、岐阜市役所では毎年1人ずつ自殺者が出ている深刻な事態があるそうです。でも今回の判決を機に市長が奥さんのBさんに謝罪したそうで、長年頑張ってきた左紀子さんは勝利報告会で涙ぐんでいました。今後、市役所が変わる事を期待します。そして、Bさんが岐阜で過労死問題のサポートを始めるようなので連携したいです。
寺井土木のCさん自死の労災認定裁判は長くかかっていますが、ようやく証人尋問の段階まで来ました。奥さんのDさんは裁判中に自身も倒れられ、一時期は命の危険もありました。半身不随と言語障害は残りますが、リハビリ病院を6ヶ月で退院後、ヘルパーさんの助けを借りて一人暮らしをしています。今回の証人尋問でどのくらい話せるかは分かりませんが、お兄さんと一緒に過去に出した陳述書を読み直すリハビリをして、尋問に備えています。労災認定は遺族補償なので、早く認定されるべきです。
トヨタ自動車のKさん自死の労災認定裁判は、仕事内容を明らかにするために会社に資料を請求しましたが、ほとんど白塗りされていて話になりません。会社は誠意をもって対応すべきです。
やまぜんホームズの裁判は医師の意見書も出すことができ、毎回傍聴席は満席です。奥さんの恵子さんは体調を崩しながらも精力的に頑張っています。早い認定を望みます。
最後に、中部電力に勤めていた息子さんを亡くされたEさんも、ついに行政訴訟が始まりました。今後のご支援お願いします。
(内野博子)

京都

歴史を刻むたたかい
最近、京都家族の会の古いファイルを見ました。家族の会結成以来3冊目のファイルで、2000年からの分でした.
職対連の使い古しのファイルをもらい、京都のニュースや全国の家族の会ニュース、参加した集会のチラシなどを残してきました。驚くほどの文章の量です。報告や感想文、労災活動を終えてのお礼の文章など。つらい報告でも、真摯に書かかれている姿勢が見えました。どれほど頑張っても、被災者・遺族の思いが国や企業に届く事案ばかりではありません。これらの闘いは、どれほど多くの人の心を動かし、奮い立たせ、力の源となったことでしょう。Aさんの闘いもこのファイルに残っていきます。
Aさんの行政裁判は大阪高裁で棄却されました。上告は検討されます。全国のみなさまにはご支援本当にありがとうございました。
(中嶌清美)

大阪

「夏の一泊学習交流会」を開催しました
7月15日~16日、(京都)聖護院「御殿荘」にて、夏の一泊学習交流会を開催しました。今年も北海道から九州の全国各地から65名が参加(45名宿泊)されました。
今年の特長は、約半数が初参加で、久しぶりに4歳と5歳のお子さん連れや、弁護士先生5名、学者の先生、また、韓国から2組4名が参加され、有意義で国際的な交流会となりました。
森岡先生の開会挨拶ではじまり、講演1は、東京新聞社会部記者の中澤 誠氏から「過労死の現場と働き方改革の行方」と題し貴重なご講演をいただきました。基調報告は、岩城弁護士から過労死防止法経過報告をして頂きました。講演2は、笑福亭松枝さんの過労死防止落語、「ケンちゃんの夢」(小林康二さん作)と題して、初公演が行われ、ケンちゃんの思いに涙する参加者が多く見られました。
夕食懇親会では美味しい京料理をいただき、エンドレス交流会では深夜まで語り合って交流を深めました。翌日の分科会はそれぞれの課題を共有し、全体会では、松丸弁護士のまとめの後、寺西全国家族の会代表の挨拶で閉会しました。
引き続き、午後から「第4回過労死防止全国センター総会」が行われました。
(小池 江利)

兵庫

私は、平成9年、マンション・デパート、大手大型店舗の飲食店などの排水管の洗浄清掃作業、貯水槽の清掃作業の会社に、責任者として勤務していました。入社後、僅か2年で責任者になり、すべての現場の陣頭指揮、後輩社員、アルバイトの指導、見積もり、現場の打ち合わせ、営業などをこなすようになってゆき、平成十三年頃から、大型店舗が年中無休になり、夜間、早朝作業が急速に増えてきました。責任者であったため、勤務外でも、緊急の対応などで携帯電話を常に持ち歩き、数少ない休日であっても休んだ気がしない日々を送っていました。こういった変則的、過酷な長時間労働と、責任者としての精神的疲弊により、平成十五年に、うつ病と診断されて休職、退職をしました。退職してからも、病状は芳しくなく、社会復帰を試みましたが、病状が不安定でまともに働ける状態ではありませんでした。平成一八年に労災申請をしましたが、棄却され、行政裁判を経て、平成二四年に、大阪高裁にて、業務でのうつ病であると認定され、勝訴となりました。その後、会社との民事訴訟も終わりましたが、失われた時間は取り戻すことはできません。
これからは、過労死、過労自死、過労で働けなくなってしまうような社会をなくすことを切に願いたいと思います。
(Aさん)

東九州

「東九州過労死を考える家族の会」からのご報告
昨年11月に発足した「東九州過労死を考える家族の会」は、結成当初は、宮崎の3家族と大分の1家族の4家族でしたが、現在9家族に増え、九州3県にまたがっています。
こういった事情から、全家族が一堂に会する機会がなかなか持てませんが、とりあえず宮崎で一回目の懇親会を4月に開くことができました。
大分の2家族と宮崎の6家族、弁護士、賛同者が集まり、和気あいあいと交流することができ、有意義な時間を過ごすことができました。
これからの定期的な会合をどうするのか、課題はありますが、当面はMLを通して情報を交換し、全国の情報等も当会のMLに転送することで、会員全員が情報を共有し、意見交換できるように努力しているところです。
8月に行われた遺児交流会に参加したのは、1家族のみでした。来年は、遺児のいる家族みんなが楽しい時間を持てるよう、遺児交流会の内容をしっかりお伝えします。
過労死防止シンポジウムは、宮崎が11月17日、大分が11月25日に決定しました。家族会員は両方に参加できるよう計らい、シンポジウムに合わせて、家族会総会を開く予定です。
(桐木弘子)

【主な活動報告】

4月27日 過労死等防止対策推進協議会:厚生労働省会議室
4月27日 労政審傍聴:中央審議会
5月20日~21日 過労死防止学会総会:専修大学神田キャンパス
5月24日 労働法制改悪集会:日比谷野音
5月25日 神奈川過労死等を考える家族の会結成
7月15日~16日 夏の一泊学習交流会:京都・聖護院「御殿莊」
7月16日 過労死等防止全国センター第4回総会
7月26日 「残業代ゼロ制度への反対」連合へ要請及び厚生労働省記者会見
8月8日~10日 遺児交流会
8月29日 中教審傍聴および記者会見
8月30日 労政審傍聴および街頭宣伝
9 月 2日 全国家族の会世話人会議・事務局会議
9 月14日 「働き方改革」一括法案を斬る院内集会

【当面の活動予定】

9月29日~9月30日 過労死弁護団全国連絡会議総会
10月21日 福岡過労死を考える家族の会結成総会
11月 1日 四国過労死を考える家族の会結成総会
11月8日~9日「全国家族の会」統一行動(要請行動・啓発シンポジウム)、翌日「全国家族の会」総会

♫ マー君の 「ぼくの夢」 が CD になりました!
歌:ダ・カーポ  作詞:マー君  作曲:山本 友英
限定品なので、数に限りがあります。お問い合わせは、各地の世話人へ。

編集後記

3年前、初めて参加した世話人会で思いもかけずお引き受けすることになってしまいましたニュースの編集も、今回で最後となりました。皆様の御協力を頂きまして、続けられました事心より感謝申し上げます。いつも印刷発送をして頂いた名古屋の皆様にも御礼申し上げます。また、次回から編集を引き受けて下さいました、東九州の野本さん、ありがとうございます!今後とも宜しくお願い致します。
編集・工藤祥子

次回世話人会

日時 2018年1月20日(土曜日)  10:30~12:30
場所 中央大学駿河台記念館
終了後、引き続き過労死防止センター幹事会、過労死防止学会幹事会が行われます